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星と僕らの××の扉  作者: 楠木 勘兵衛
★第1章:新学期の春編
3/35

★第3話 3人組勝負

修正(2024.08.31)

→超修正(2025.01.06)終



 ◆



 入学式終了後、僕たちの教室にまた誰かが入って来た。今度はちゃんと人が入って来た。海軍の軍服みたいに真っ白な学ラン風の服装に金や黒の装飾がある。真っ黒な髪色で毛先は長めのスポーツ刈りのショートヘアで、白の不織布マスクで糸目の顔。

 僕はこの人を知っている。まさかまた会えるとは思わなかった。衝撃で一瞬僕の体は固まってしまった。だって、あの日、幼い僕のことを助けてくれたあの時の人だ。名前を聞くことは無かったから、確証はないけど、でも僕の勘がこの人があの憧れていた人だと訴えてる。



××「どうも、今日から君たちの担任。水島みずしま静史郎せいしろうだ。よろしくな」



 憧れた人(多分)の名前は水島静史郎…水島先生か。じっくり見るけどやっぱり雰囲気が同じだ。真面目で暗そうに見えて、冷静で芯があるような鋼のようなその漂うオーラがある。



水島「君たち20名は一般受験による生徒。この特殊科は定員35名、残念ながら定員分は入らなかったが、学科の中では飛びぬけて難関のところによく合格できた」



 この学園の一般受験で定員35名。こっちは20名で…あれ、でも、R組は12人だ。3人足りない。それに特殊科は推薦受験もあったはずじゃ…



水島「察しの良い奴は分かったかもしれないが、今回の特殊科受験において、一般受験で合格したのは君たちQ組だけだ。R組は全員推薦入試の合格者、分かるか?これが学園の理事長の思い付きだ」



 クラスに電撃が走る。本来定員35名の一般受験のはずが、その12人分を推薦受験者に使ってしまったという無茶苦茶な話だ。しかも定員分も生徒を入れてない。これ、不合格だった人可哀想じゃ…。



水島「まあここは私立で特殊科がたった2クラスだ。この学園は毎度あの国立の【勇星高校】の”滑り止め”に最適だからな。んな話はどうでもいい。君たち体操着に着替えてグラウンドA棟に来い」



 先生から体操着を渡された。これを着て、グラウンドA棟…ってどこ?入学で配られたプリントの地図を参照すると、ここから特殊科の棟から渡り廊下で一直線にいけるところにあった。一体何をするんだろうか。

 渡された体操着は入学前に制服と一緒に買ったやつだ。上着は白地に黒色の線が袖口に、あと背中にはSAIKAとカッコいい筆記体で書かれてる。ズボンは真っ黒で横側には黄色と学年の色の線が2本並んでいる。僕たち1年生は青色の線が入ってる。2年生は赤色、3年生は白色となってるって確かパンフレットに書いてあった。ジャージは真っ黒に黄色とまた学年の色がズボンと繋がるようにデザインされている。白色でまた筆記体のSAIKAが小さく左胸の方に書かれている。



「本当にこの学園で生活するんだ…」



 僕は心の中で実感した。今から新しい生活が本当に始まるのだと。



 ◆



 僕たちは制服から体操着に着替えて、本当にグラウンドA棟にやって来た。大きな壁に観客席がズラリとあって、だだっ広い砂のグラウンドが続いていた。先生は既に何か準備をしているようで、空中の何か金色に輝いてる物に話しかけていた。



水島「ちゃんと来たな。今から君たちの能力と協力関係を見るテストを行う」



「「「テストーー!!?」」」



小神「能力は分かりますけど、協力関係って初めてなのに…?」




水島「君たちは扉からの”災い”をほうむり、能力者の犯罪を取り締まる【禍福課】を目指す卵だろう?人間の犯罪ならば単独でも取り押えは大規模でなければ可能だ。だが、扉は訳が違う。やって来るのはどいつもこいつも人智を超えた化物ばかりだ。俺らの常識が通じる相手じゃねえ奴ばかりだ。そこで大事なのが、本人のイカれ具合と、協力による相手の行動を上回る判断と行動力だ」

「…」

水島「どれほど化け物に優位に立ちまわり、予測されないイカれた動きができる奴が、昨今で一番必要な時代だ。今さら自他の能力の優劣で語っているようでは4流以下だな」



 禍福課を目指すならば…。僕は憧れから漠然とした思いだけで生きて来た。勿菟君みたいに凄い努力をしているわけじゃないし、今まで自分は夢を抱いただけで思い出に昇華されるだけだと思ってた。でも、燈爾君に出会って、学校に現れたあの化物を倒して少し自分の夢に輪郭りんかくが浮かび上がったと感じたんだ。この思いは偽物なのかな。



水島「それじゃあ、3人と4人チームを今から適当に組む。オーリーステージ作りは任せる」

オーリー『畏まりましタ』



 水島先生はさっきの金色の物…名前をオーリーというAIらしい。オーリーは天高く飛びあがると、ホログラムか何かでグラウンドに壁を生み出した。あまりの出来事に驚愕で周囲を見ると、他の皆もだいたい僕と同じ反応だった。一部無表情がいるけど。壁でどんどん区切られて、グラウンドに草や木が生えていく。気が付けば僕たちは箱庭に閉じ込められていた。



水島「今から名前呼ぶから、呼ばれた人は指定された洞窟を通れ」



 3人ずつ先生に名前を呼ばれていく。呼ばれた人たちは先生に指定されたトンネルをくぐっていく。4人組は2つだけ。そうして一人一人といなくなり、ここには僕と燈爾君と小神さんが残った。じゃあ僕のチームはこの2人になるのか。友達と優しいクラスメイトが一緒で良かった。



水島「君らはここでテストをする。チームずつではなく、一斉に行うからな。俺が視ていないチームはオーリーが確認する。手を抜くようなマネは今回は許そう。まだ最初のテストだからな。期末試験はまた敷居が高いぞ」

「……」

水島「それじゃあ6チーム全員、今から扉からの化物を殺すか帰すかのテストする」


釣瓶「(初めてだしそんなヤバいの出ないよな…?)」

「(わかんない。もしかしたらってのもあるけど)」


水島「こっちも手を抜こう。撃退の例がある奴の方が訓練にもなるな」


小神「く、来るよ…!!」



 僕たちを囲む大きな箱庭の空中に扉が現れる。真っ白で人工を意味する”artificial”と大きな黒文字で書かれている。ゆっくりと扉が開き始める。殺気か迫力か、もうう感じるくらいにはそこにいる。物凄く嫌な予感がする。ガイダンス無しで急に始まる実力を試すテスト。そしてパンフレットを開いた時に、見開き堂々と書いてあったこの学園の理事長の言葉。



理事長『人を育てこの学園を巣立ちさせるには、手加減をしないのがモットーです。いつ如何なる災厄に備える為に、真摯に本気に時に茶目っ気を見せる。その思いを先生方、そしてこの学校の生徒の心に刻ませることが、私がこの学園を作った原点です』



水島「真摯に本気に、時折茶目っ気を…理事長の教えだからな。茶目っ気を見せてやるよ」




 ブオオオオオッと冷たい冷気が飛び出す。真っ白に光を反射する金属のボディに大きなシルエット。重い金属が関節を曲げるごとに軋む音を出す。地面にズドンと土を削り着地する。その姿には見覚えがあった。現実に会ったわけでは無い。あの鋼鉄の姿に冷酷そのものの目。間違いない。僕の好きな実話を忠実に書いた小説の一つにいたあの化物。


 第二次世界大戦の終戦直後に、世界に漁夫の利の如く各地で現れた【17の悪夢】。1946年ソビエト連邦のスターリングラード(現ヴォルゴグラード)に現れた13体の最新鋭技術の結晶体。撃退された後の話で、ソ連がその遺体を回収し研究したことで、核兵器の増産を容易にしたとアメリカが言ったあのニュースもセット。



水島「歴史好きは知ってるだろ?【17の悪夢】位わな。まあ頑張って勝てよ。」

××『敵生物を確認。これより目標を抹殺する』


小神「嘘…!何アレ!!」

釣瓶「本気すぎるってコレ…」

「わっ。【冷炎れいえんのゼスト】だ」



 現れたその鋼鉄と冷徹な姿は一体だけ。そこはガチにならなくて良かった。ただ、どれほど強いのかは分からない。自分が生まれなかった時代の歴史の中で現れた、この未知数の化物を相手にすることになった。


 これは先生からの挑戦状だった。



釣瓶つるべ燈爾とうじ:男・15歳・173cm・5月7日生まれ・一人称【俺】出身地:東京(西側)

能力:火を操るなどの能力(0から生み出したり、そこら辺の火も操れる。攻撃も照明利用も可能。その髪の毛は釣瓶火を表しているのか能力の影響で髪が燃えていて感情で色が変わる)※ただびっくりするくらい元の火力は無い。

明るく元気な気さくで親しみやすい性格。人に無理強いはしない性分で、心冶の能力は本人が言うまで待ってる。中学時代は孤高な存在だったが、心機一転で明るく友達を増やしている。1人兄がいる。

好物:おでん・遊ぶこと・友達


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