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星と僕らの××の扉  作者: 楠木 勘兵衛
★第2章.嫉妬にまみれた体育祭編
10/35

★第10話 体育祭開幕 

全部修正(2025.03.04)

修正をしている時に気づいたこと、全く記憶にない設定と名前のキャラが意外といること。



 ◆



 気が付けば、もう体育祭前日になっていた。時の流れはなんとも無情だ。今日もしっかり運動したし、明日の為夜更かししないよう、僕はそろそろ就寝しようとベットに入った時、勉強机の上でルナが何かをいじっているのが見えた。



「あれ、ルナ?何いじってるの?」

ルナ『きゅう!』



 僕が確かめればそれは紅い羽根だった。そんな鮮やかな鳥に出会ったこと無いし、いつ入手したのかな?問いかけても、あんまり意思疎通が取れないし。拾った!とは主張してるけど。

 そのルナの頭に乗っていた羽根は、赤色と橙色の綺麗なグラデーションの派手な羽根だった。尚更どこで拾ったのか疑問だけど。



「そんなの持って楽しいの?」

ルナ『きゅ!』

「要らないよ」



 ルナは僕に羽根を渡してくる。どこの鳥とも知らないそんな羽根を渡されたって困る。僕はジップロックを取り出し、その中に入れる。あとで可燃物で処理しよう。うん。ルナはしょぼくれているけど、そんなにいいものか?


 僕はその羽根を勉強机の引き出しに入れて、ベットに眠りついた。



 ◇



[・・・]


 深夜のR組寮内にて。仄暗い照明だけが灯ったリビングに、羽の少年と蛇の少年がいる。



××「なあ、大丈夫か?」

羽海「何が」

××「前から思ってたけど、最近印象変わったよな…何かあったのか?」


羽海「……うっ」

××「大丈夫か!?」



 羽の少年は胸を抱えて座り込む。蛇の少年は異変に気が付き、すぐさま彼の下に駆け付け声をかける。



××「なあ利旺。やっぱりお前変だよ。なあ、病院とか行こう?」

羽海「要らん。そんなもの、病気でも何でもない」

××「でも!」

羽海「黙れ、蛇島…」

蛇島「………!」



 羽の少年は蛇の少年の助け舟を否定する。優しさも、”今の”彼には余計なお世話なのだろう。何も見えていない。そう思ってしまう程に、蛇の少年は羽の少年の姿を憂いていた。彼はこんな人間では無かったのに、口にして止められるのならどれほど良かったのだろうか。



蛇島「お前が死ぬ姿なんか見たくない」

羽海「そんな未来は無い」



羽海「舐めた人間よりも、完璧を目指した俺が絶対勝者だ」



 体育祭は通過点に過ぎない。全ては”努力”を知らしめるために。あの憎き存在の顔に泥を塗りたくり、こうべを垂れて這いつくばる姿をさせる為に。苦虫を噛み潰したような顔の羽海利旺は、その指の爪を強く噛み、世界を妬んだ。



 ◇



[悟川心冶]



 新しい1日の始まりだ。僕は早速体操着に着替え、ジャージを上まで閉める。首から口元までを覆い隠す少しぶかぶかなやつ。父さんがわざわざ制服屋さんに特注で作ってくれたもの。僕の首にある”傷”を隠すため。



「ルナ行くよ」

ルナ『きゅう!』



 ルナは体を小さくして僕のジャージのポケットに入り込む。ハンカチよし、水筒よし。荷物を詰め込み、寮を出て学校の方へ向かった。


 学校でいつも使っている教室は今日だけ自分達の控室という役割持ちだ。僕よりも早く来てる人がちらほら。燈爾君は他の友達と来るって言ってたし(なんか朝に弱いクラスメイトがいるらしい)致し方なし。僕は自分の机の上に荷物を置き、独り外の景色を眺める。


 ふと、前日の先生の話を思い出す。



水島『今年は例年通り、全学年別でクラス対抗の体育祭が始まる』

小神『クラス対抗……てっきり、赤白組とか学科対抗だと思ってた』


水島『うちは毎年クラス対抗だ。基本的に観客が見るのは3年。1,2年も劣りはするがそれでも大勢の客が来る』

河野『それってどれくらいんね?』

水島『知らん。500人はいるだろ』



水島『お前ら、面倒事を起こすなよ。それと怪我しないよう、水分補給もマメにやることだな』



 と、そんな会話があった。僕は少し眠くなり、微睡みながら外の景色を眺め続ける。あんまりうたた寝するのは良くないのだけども…。


 ザワザワと蝉の鳴き声のように声が頭の中で反響する。何処かの誰かが楽しそうな心の声を響かせているんだ。それが沢山いて、輪唱して僕の元へ伝わってくる。勿論流れてくるもの全部が楽しい感情じゃない。やりたくない、めんどくさいとネガティブな気持ちも、ポジティブとは違って言葉としてちゃんと流れてくる。



小神「500人来るんだ…恥かかないように気を付けないと……」

河野「そんなに気にしなくて良いんね雷ちゃん」

小神「凛童ちゃん…。だって、中学校時代と規模が違うんだもん!」

河野「うちは田舎の方だったから寧ろ楽しみだね。沢山の人に存在を知らしめてやるんね」



 少し離れた場所で、小神さんと河野さんが会話しているのが聞こえてくる。500人がどれ程の規模なのかは想像つかないけど、ライブ会場よりかは多分小さい…はず。それでも、ここは私立の高校。公立の学校じゃできないことがいっぱいだ。あ、でも国立の勇星は比べ物にならない位にスゴイらしい。


 クラス対抗だから足を引っ張らないよう気を付けないと。

 それと、別クラスの彼。彼のことをもっと知りたい。体育祭まで同じ学科でも関わることはほぼ無かった。だからこそ、あの彼の心情を知りたい。


 僕は自分の荷物を漁る。体育祭のプログラムとは別に、入学式の時から持っていた1枚の紙。これには今年度の1年生のクラス分けが書かれている。誰かの名前を知りたい時様に残していたもの。



「えっと、どこかな…」

河野「誰探してんの?」

「わっ!びっくりした」



 名前を探していると、気配鳴く僕の後ろから河野さんが現れた。



河野「もしかして工業科の子?だったらこの子は知ってるよ」

色身しきみ彩華あやかさん?」



 河野さんは工業科の人の名前を指さす。女性の名前だから違う。でもこの苗字どこかで見たことある気がする。ニュースでたまに出てくる禍福課の皆さん御用達ごようたしの武器と装備、さらには扉からの災害対策道具を作っている企業【色身コーポレーション】と同じだ。いや、単なる偶然か。【ト○タ】があっても、全国の豊田さんが社長の関係者とは限らないのだから。



「えっと、違うね。知りたいのは同じ特殊科の…」

河野「あーだったらこの羽海利旺って人?羽が生えてる…」

「そう!その人!」

河野「この人はニュースで何となく知ってたからねー」

「ニュース?」



 河野さんはスマホを取り出し、何か検索をする。そして見つけると僕にその画面を見せてきた。そこには、あの羽根が生えた彼が表彰されている姿だった。今よりずうっと幼く目はキラキラと”紺色”に輝かせている。



河野「これはねー。うちらが小学生の時に、あの人はファミレスに出没した化け物を抑制したってやつ」

「でも、能力を使ったら怒られるんじゃ…」

河野「甘いんね。彼は人を避難させるために使ったんよ。避難誘導と羽を囮にしたり、最低限で被害を出さないように努めたことと、後は通報して、到着した人たちに許可を貰ったことが功績だって。基本能力を使って怒られるのは、許可証または免許なし、大きな被害を出してしまうこと。彼は全て怒られないように考えて行動したんね」


「す、すごい!かっこいい!」



 河野さんの解説を夢中になって聞いてしまった。だってこんなにすごいんだもん。僕とは全然違う。しっかり大人に通報し、能力を使って良いかしっかり許可をとって、災害の抑制に協力をした。凄すぎる。僕と同い年なはずなのに、ずうっと聡明で正義感がある人だったんだ。

 何だが勿菟君のこと思い出すなあ。正義感があって、しっかりしてて、努力も欠かさない。ただ、今の彼はそのニュースに映る姿とは180度も違う。…何かあったのかな



布紙『はーい放送でーす。保健の先生こと進行役の布紙ぬのがみ包治つつじでーす。そろそろ開会式を始めますので皆さんグラウンドへ集合してくださーい』



 先生の放送が入る。僕は紙を荷物入れに戻し、河野さんはスマホをしまう。教室を見れば、もう全員が集まっていて、各々グラウンドへ向かっている状況だった。僕も遅れないように教室から出る。



「…!」

羽海「…やあ」

「こんにちは…頑張ろうね…お互い」



 偶然のタイミングか、僕が出たと同時に隣の教室から羽海君が現れた。しかも目が合ってしまい話しかけられる。僕は取り敢えず挨拶をし、お互いの健闘を称え、僕は先にグラウンドの方へ向かう。もっとちゃんと話せばよかったかな。



羽海「……」



 ◆



 グラウンドに集まり、目立つ箱台に保健室の先生の布紙先生がマイクを持って立っている。

 その先生の見た目は、まさに可愛らしいの言葉が似合う顔の人。ミント色のボブカットにピンクのつぶらで大きな目が女性だと見間違える程に童顔を印象付けてる。体格も細いし、喋らなければ騙せてしまう程に。



布紙「それでは!2年間連続優勝の3年R組のリーダー!瓶長かめおさ水樹みずき君!開会スピーチをお願いします!」



 3年生…!もう免許も取って、休みの日があれば日夜周辺地域の災害を相手にしているかっこいい先輩たちだ。その中でも、体育祭を2年間勝ち続けたR組の人…体格が良く白銀の髪に水色のメッシュが後ろへ流れている。大きなその主人公のような目には、宝石のような水色を宿している。体操着の腰には古風な瓶らしきものが装備されている。



瓶長「はーい皆さん!今年も無理せず楽しく頑張りましょう!以上です」

布紙「シンプルイズベスト!それじゃあ、今年も福禍高校の楽しい体育祭を始めるよ!!」



 爆速で宣誓というかスピーチが終わった。あれくらい軽いノリがこの学校のエンターテインメントなのかもしれない。


 そんなこんなで、布紙先生の言葉によって体育祭は幕を開けたのだった。



「(てか、開会式これだけなんだ…)」


布紙ぬのがみ包治つつじ:男・26歳・167cm・9月19日生まれ・一人称【俺】・出身地:岡山

能力:包帯になる布を体中から出せる(治療にも捕縛にも使える万能能力)

福禍高校で保健室の先生を担当している。(※他にも優しいおばあちゃん先生がいる)小動物のような可愛らしい童顔の持ち主だが、その実煙草を吸う自他ともに認める屑男。たまーに女装しているのが目撃されるが、あれはかつての同級生である恋山先生の命令によるもの。恋山先生に命と財布の手綱を握られている哀れな人。自業自得でもある。

好物:焼肉・ラーメン・競馬・競輪・煙草・よくつるむ先輩(水島先生)と先生仲間みんな


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