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森のダンジョン食堂~ドラゴン定食始めました  作者: REI KATO
10 召喚者による桃源郷の設立
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ダンジョンのマリンレジャー施設2

「それにしても魔物がしょうもないの。イザナミとリーナがおるから恥ずかしがって出てこんのじゃ」


「あら。そうですわね。障害物がないと燃えませんわね。では……」


 イザナミ様がなにやら唱えると、突然、海がざわざわと泡立ち次々に水棲魔物が飛び出してきた!


「少し限定的なスタンピードを起こしてみましたわ」


 いや。おこしてみましたわ、じゃなくて。


「では、フレイヤ様。一騎打ちですわね。以前を覚えていらっしゃるかしら。他のダンジョンのスタンピードでどちらがたくさん獲物を狩るか勝負しましたのを」


「あら、イザナミ様。いつの間にそんな楽しそうことを」


「あの時は妾が勝ったのじゃ」


「そうなんでございますのよ。ですので、リベンジですわ!よろしくて?それ!」


 吹っ飛んでいくイザナミ様。

 それに続いてフレイヤも飛び出していく。


「ああ、ああ、楽しそうですわ!ダンジさま、もう一艘、作れませんの?」


 俺は急遽大ピッチで3艘目を作ることになった。


「女神様、エンジンはちょっと時間がかかりますから、どうですか、女神様の魔法でかっ飛んでいかれては」


「まあ!そうですわね!問題ありませんわ。どうも、ありがとうですわ」


 女神様も猛ダッシュですっ飛んでいった。他の二人もそれを見て、どうやら自分の魔法で船を操り始めたようだ。プラス、魔物を迎撃。海面上は船を波しぶきと各種魔法乱れ打ちでとんでもなく騒々しくなっている。


 ◇


「ふぅふぅ、流石にへばりましたわ」


 三人は濡れた体をあっという間に乾かしてしまった。俺はさらにドリンクの追加と各種スィーツを並べていった。


「まあ、本当によく気のつく方。どうもありがとうございますですわ」


「ダンジ、確かにお主の言う通り『マリンレジャー』は楽しいのじゃ」


「だろ?あと、ここに簡単な休憩所作って飲み物とか取れるようにすればイケるでしょ」


「お腹がすいたのなら、転移魔法で10階層に行けばいいしの」


「まあ。楽しそうですわね。早く計画を進めて頂きたいですわ」


「本当ですわね。つきましては、このボート競争、自分の魔法を使えない決まりにするのもいいかと思いますのよ」


「確かにそうですわね。完全にボートの性能によりかかって勝負するというのも一つの提案ですわ」


「そうじゃの。1人で遊ぶ時はともかく、競争する場合は各自の能力に差がありすぎるからの。ボートによりかかることで不自由さが拡大するから、もっと楽しめるの」


 などなどいろんな意見が飛び出した。

 俺はガルムやリュージュさんたちといった常連さんもこの遊びに付き合ってもらい、なし崩し的に18階層マリンレジャー計画を進行させた。


 ボートも水上オートバイを中心とした。また、サーフィンやボードセーリングにも人気が集まった。ボードにのって海上を100km以上の速度でかっ飛ばしたり、10mクラスの高波を魔法で作り出して波乗りをしたり、次々と遊びを開発していった。


 人気一番はやはり、限定スタンピードだ。これで競争するのが一番燃える。そのために、撃破確定魔道具を作った。撃破した魔物の数をカウントする魔道具だ。



 他の施設としては、アーチ水槽を海底に設置してみた。横浜・八◯島シーパラダイスのドル◯ィン ファンタジーを参考にした。


 底面以外の水槽は強化ガラス張り。キラキラと揺らめく陽光が降りそそぎ、風のある日は水面が揺れ、幻想的な光景の中、荒れ狂う水棲魔物たちが水槽めがけて突撃してくる。その獰猛な生態を池の中から見るという、まさに海底散歩をしているかのような感覚を体感できる。


 ダンジョンの高位魔物の皆さんはあんまり水と戯れない。下手すると泳げない魔物も多い。だから、水槽越しとはいえ、海底を見学できるのは新鮮な驚きと喜びを与えた。

 

 将来的には海底をサンゴで埋めたい。これは将来の課題である。


 あと、魔物の品種改良に手を出してもいいか、と思いはじめている。もっと綺麗な魔物がいてもいいんじゃないかと思うからだ。


 ダンジョンの魔物はおどろおどろしいのに全振りしている傾向があって、もう少し映えを気にしてほしいのだ。



 俺はマリンスポーツを大いに楽しみつつ、大発明もしていた。


 それが魔石製作魔道具だ。その名の通り、空気中の魔素を集積して魔石を作る魔道具だ。これは女神様やイザナミ様といった人智を越える存在がいてこそ開発できたとも言える。


 もともとは俺が包丁に魔法を纏わせたことから始まる。


「それができるのなら、空気中の魔素もコントロールして魔力を包丁に纏わせるんじゃね?」


「魔素をコントロールできるのなら、魔素を集積して魔石作れるんじゃね?」


 と発想がすすみ、技術的な解決をみんなで解決していったのだ。



「こんな単純なことをなぜ今まで誰も考えなかったのかしら」


「本当ですわね。でも、これで魔道具がほぼ永久機関になりますわね」


「そうなのじゃ。しかし、こうなるとダンジ、食堂で魔石を払ってもらう意味がなくなるの」


「そうなんだよなー。まあ、当初から魔石の意味は薄かったんだけどさ。でも一応、魔石はおさめてもらうよ。なんらかの対価が必要だからな」


 けっこう、根源的な問題なんだよな。


 でも、ダンジョンの中では一種のコミュニケーションツールになるよな、魔石の支払いって。俺達が料理を作ってそれを高位魔物のみなさんが楽しんでそれでお互いが交流を楽しむ、それで今のところは俺的には満足してるからな。


 だって、金儲け不要だし。1人で生きるのならば、不足がないんだよ。これも結構、根源的な問題なのかもな。この世界で俺は何のためにやっていくのかってこと。


 これがダンジョンの外なら金儲け一択になるんだけど。まあ、男子元高校生のためにこの装置を使ってみるか。



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