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森のダンジョン食堂~ドラゴン定食始めました  作者: REI KATO
10 召喚者による桃源郷の設立
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村の完成

 さて、ダンジョンの外ではいよいよ本格的に農業を始めることになった。


 セリア街の管理者に話を聞いてみると、どんどん開発してくれとのこと。ダンジョン周辺は厳密には誰の土地でもなく、早いもの勝ちらしい。


「ダンジョン内だと簡単に植物が成長するんだけど」


「ダンジョンで作られた作物はですね、魔素混じりで人間には厳しい場合があるんですよ」


「それと、ダンジョン内では大規模耕地はムリです。ダンジさんところは結界を張ってることもあってイケるみたいですけど、ボクたちレベルだと結界はムリだし、そもそも広大な耕作地を想定してますから、ダンジョンの外で耕作するしかないんですよ」


 

 ダンジョン外では様々な妨害がある。ダンジョンではあまり気にしていなかったが、病気・害虫・連作障害・気候変動など農業には大敵となるものがのしかかってくる。


「そこは雲母頼りですね」


 雲母の職業となる大農民は農業に関する多くのスキルが発現する。病気・害虫には薬師スキルが、連作障害にはバイオスキルが、大雨・干ばつには4属性魔法が発現し、対処をより簡単にする。


 ◇


「農地開発と平行して、住む場所、そして道路、水路の建設ですかね。そして、耕作地」


 雲母が中心となって土・風魔法で広大な山林や荒れ地を切り開いていく。肉丸・南足・馬越たちにもそれなりの4属性魔法が発現しており雲母を助けるわけだが、高位魔物たちもダンジョンの外に出て彼らの作業を手伝った。



「凄いね、高位魔物の皆さん」


「雲母の土魔法もかなり実力が上昇して驚くんだけど、高位魔物たちはそれ以上だよな」


「ああ。手をかざして唱えるだけで半径100mぐらいの森の木が根こそぎ木片に変わるとかさ」


「川の水を引くときだって、500m程度の水路なら一気だもんな」


「だよなー。雲母はともかく、俺達の土魔法だと必死にやったって道路なら1日に10mぐらいだよな」


「雲母だって、1日に100mぐらいだろ?」


「だな。それで魔力が枯渇してダウンさ」


「いいんだけどさ。終わった後の温泉は最高だからな」


「エールが美味いんだよな」


「俺達、未成年だけどちょっと大人になったな」


「この世界的には15歳で成人だぞ。20代で孫のいる人もいるらしいぞ」


「孫か。俺達は果たして結婚できるだろうか」


「その前に彼女が欲しい」


「そうだ。切実だぞ」


「クラスメイトの女子は」


「彼女たちは美人だけど、しっかりものしすぎてちょっと厳しい」


「つか、相手にされんだろ」


「だよな。学年でもトップクラスだったもんな」


「優等生でしっかりものでとなると、モブの俺達は凹むよな」


「棲息域がちがうというか」


「あああ、待て待て。意外とイケてるかもしれんぞ」


「そんな気休めを」


「何言ってるんだよ。この世界では俺達のほうが先行してるぞ」


「うーん、城からリリースされたのは俺達のほうが早かったからな」


「リリースっていうか、逃走したんだけどな」


「まあいいじゃないか。村もできつつあるし、彼女たちが村に住みたいって言うなら是非とも住んでもらいたいし」


「彼女たちっていうか、ボク的にはミヤさんが来てくれないかな、って思うよ」


「ああ、ミヤさんは綺麗だし、優しいからな」


「望みなしだろ。ダンジさんにべったりじゃないか」


「うーむ、やっぱりそうか?」


「なんだか、いつも同じ話してる気がする」


「これから村を立ち上げようっていうんだ。出会いならいくらでもあるさ」


「おー、そうあって欲しいぜ」


「脱!彼女いない歴=年齢!」


「「「おー!」」」


 ◇


「おお、村らしくなったのじゃ!」


「建物、畑、外壁、水路、道路と一通りは完成したな」


「ええ。お陰様で、快適に過ごしてます」


「ダンジさん製作の魔道具がいいですね。上下水道、エアコン、トイレ、お風呂、掃除、料理とか日本の電化製品以上の性能ですよ」


「エネルギーとなる魔石は自分たちで取ってこいよ」


「ええ。ダンジョンで修行がてら魔物狩りは継続しますから大丈夫です」


「で、これからどうする?」


「まずは、農業を始めて、街に売り行こうかなと」


「そうか。ダンジョンの外だと農業も難しくなるな」


「はい。僕たち、農業経験ありませんから。雲母のスキル頼みとなります」


「上手くいかなくても、食い物は提供してやるから頑張れよな」


「はい、ありがとうございます!」


「しかし、いくら雲母が大農民だからとはいえ、経験に乏しいの。どうじゃ、スカウトでもしたら」


「ですねー。頼れる人がいると助かりますね」


「ただの、信用できる人間を探すのがポイントじゃの」


「それがですね、肉丸が大商人になったときにチートスキルを授かりまして」


「ほお」


「誠実度チェッカーです」


「そりゃ、便利そうなスキルだな」


「ええ。とはいっても、かなりアバウトなんですけど、こちらに危害を加えそうな奴はわかるみたいなんです」


「使ってみた?」


「それが、今のところは低位魔物ぐらいですね、赤く光るやつは。高位魔物の皆さんとかチェックしても、反応しない、つまり緑色のままなんですよね」


「だから、肉丸連れて一度街に行ってみようかと」


「おまえらの手配書はもうないと思うが、一応、俺のほうから冒険者ギルドとかに話を通しておくか?俺は女神様のしもべ扱いになってるし、ギルマスは時々俺の食堂にくるからな」


「ああ、お願いします」


「ついでに冒険者ギルドに村人の募集をかけてもいいのじゃ」


「ああ、いいですね」


「あとの、今まで通りブラックハウンドを用心棒がわりにつけておくからの」


「はい、黒犬は頼りになるしよく懐いてくれるから大歓迎です」



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