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森のダンジョン食堂~ドラゴン定食始めました  作者: REI KATO
第2部 8 ダンジョン食堂、リニューアル。そして精霊たち
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アイスクリームとラズベリーケーキ ペロペロが止まらんのじゃ

「はよ、アイスなんとかを作るのじゃ」


 チョコレートづくりの際にこぼした一言、「ケーキやアイスクリームにかけても美味しいんだよ」、食い下がってきた。チョコレートが絶品なうえ、さらに美味しいスィーツが提供されるとなるといてもたってもいられない。


 アイスクリームは無論素材も重要だが、やはり温度管理と撹拌が大切だ。


 ①牛乳・砂糖・卵黄を白っぽくなるまで混ぜて

  とろみがつくまで加熱する。

 ②生クリームを7分立てにして①に混ぜる。

  ※7分立て

   クリームのあわ立て具合。

   あわ立て器で持ち上げるともったり重たい

   がツノが立たず、すじが残るくらいの状態。

 ③冷やして固める。

  ここで凍らないギリギリの温度で冷やす。

  凍らせてしまうとシャリシャリ状になる。

  途中、何度かかき混ぜる。

  空気を含ませまろやかにするため。

  そして、最後に急速急冷させる。

  これで口溶けの軽い滑らかなアイスになる。


 素材の生クリームであるが、まだこの世界にはないようだ。生クリームの製造には遠心分離機を使う。


 遠心分離機は理屈も構造もシンプルだ。構造は円筒とそれを高速回転させる器具からなる。すると、比重によって素材が分離するのである。こうして、ミルクから脂肪分を分離させる。


 俺は遠心分離機魔導具を作って対応した。

 また、アイスクリーム製造装置も魔道具化した。



「ほう。冷たい甘みか。いいではないか」


「バリエーションも作るからね」


 ラムレーズン

 丁度、ラムを蒸留してた。

 ブドウもたくさんある。


「おお、大人の味ではないか」


「これには殆どアルコールがはいっておりませんわ。ですので、セーフですの」


 禁酒中の女神様はいろいろ大変なようだ。



「本当はストロベリーがあるとなー。スィーツの女王なんだけど」


「ラズベリーとかブルーベリーとか◯◯ベリーならたくさんあるではないか」


「ちょっと野生種すぎるんだよ。酸っぱい」



 そこで、品種改良をすることにした。種を植えればすぐに成長する。そのたびに俺の希望を植物に伝える。すると、少しずつその希望に沿った植物になる。前世界の研究員の皆さん、すみません。


「うむ。ラズベリーもブルーベリーも香りが素晴らしくなったの。甘さも随分とましたし、ほんのりした酸味がいいではないか」


「これ、ジャムにして……はい。新しいアイスクリームのバージョン」


「うむうむ、いいではないか!」


 もちろん、チョコレート・アイスクリームは真っ先に作った。


 ◇


「せっかく果物を品種改良したんだ。ケーキを作ってみようか」


「ブルーベリーケーキとラズベリーケーキか?」


「ああ、普通のショートケーキとチーズケーキに使ってみるか」


「チーズもケーキにするのか」


「クリームチーズをそのまま使ったレアチーズと焼いたベイクドチーズケーキの2種類があるんだ」


「ほお」


「それだけじゃないな。ケーキにはタルトとかムースとか。チョコレートケーキに合わせてもいいよな」



 結局、

 ラズベリー

 タルト

 ショートケーキ

 ムースケーキ

 レアチーズケーキ

 チョコレートケーキ


 ブルーベリー

 レアチーズケーキ

 などなど、どんどんとバリエーションが増えた。



「このショートケーキのスポンジ、すごいですね。フワフワしてるのに、パサパサじゃない。しっとりしてるなんて」


「おお、ミヤ、わかる?」


「コツはどこにあるのですか?」


「まあ、いろいろだけどさ、特に卵の泡立て方」


 スィーツ全般に言えることだけど、滑らかにしなくちゃ!とばかりにガーとやりすぎることがよくあると思う。


 だけど、往々にしてそれが失敗の原因となる。クッキーがそう。適当にサクッと混ぜるのが肝心。


 スポンジも卵の泡が潰れないようなソフトかつ迅速に泡立てるのが大切だ。


「ええ、そうなんですか。いつも、焼いた後はふんわりするんだけど、冷めるとしぼんじゃうんですよね」


「一緒にやってみよっか」


「お願いします!」


 ◇


「ああ!人生はじめてのフンワリしっとりのスポンジができた!」


 ミヤは何度かのチャレンジのあと、見事なスポンジを焼き上げた。これに泡立てた生クリームを……


「すまんの。我慢できなかったのじゃ」


「美味しいのは罪ですわ」


「ダベ」


 こいつら、全部なめやがった。まあ、いんだけどね。3人とも、生クリームの泡だて練習をさせるから。


「ダンジ、そろそろ堪忍してほしいのじゃ。腕が疲れたのじゃ」


わたくし、フォーク・ナイフより重いものをもったことがございませんのに」


「ガルム、お前勢いが強すぎてボールの中は空っぽじゃねーか」


「ダベ……」


 勿論、俺は魔道具を作ってらくらくだ。


 

 他にも好評だったのは、タルト。タルト台にたっぷりと泡立てた生クリームをたっぷりと盛り付け、そこに思い思いにフルーツをのせていく。見栄えが抜群だ。


「タルトって思ってたよりも簡単ですのね」


「本格的にやればもっと難しくなるんだろうけど、簡易的なものだからね」


 タルト台を粉砕クッキーで代用している。


「でも、見栄えするし、とっても美味しいです!」


 あ、フレイヤはすでに試食している。


「ずるいですわ、フレイヤ。わたくしも」


「オデも」


 あっという間になくなってしまった。


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