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4人の劣等召喚者たち1 カス男子高校生の逃亡劇

 さて、召喚者たち。今年の3月1日に召喚された日本の若者。総勢8名。同じ高校のクラスメイトだという。近年稀に見る大量召喚だった。


「大成功だ!」


「召喚者が8名!」


「おお、勇者様がいらっしゃるぞ!」


 構成はこうだった。

 全員高2、17歳である。

 勇 者 女性 神宮寺 なぎさ

 弓 聖 女性 如月きさらぎ 美桜みお

 聖 女 女性 東雲しののめ 彩花あやか

 魔導師 女性 ひいらぎ  優奈ゆうな


 作 男 男性 雲母きらら 悠希ゆうき 

 運び屋 男性 肉丸 蒼人あおと 

 遊び人 男性 南足きたまくら 聖名せな

 素 破 男性 馬越んまこし 玲央れお


「なんだ、役に立つのは女だけか。男はカスばかりじゃないか。牢獄にでも放り込んでおけ」


 無論、すぐさま拘束・奴隷の腕輪をはめた。女性4人は修行だ。男性4人は使い道を考えつつ、どうにもならないなら処刑する手はずであった。


 彼らは有名な進学高の生徒で女性陣は学校でも優等生だった。ルックスも悪くない。名前からして主人公だ。


 しかし、男たちはどちらかというと落ちこぼれで外見も見栄えがしなかった。


 そもそも名前が珍名だった。雲母とか肉丸はまだいいだろう。南足とかいてきたまくら。南に足をむければ、頭は北である。馬越とかいて、んまこし。日本で唯一の『ん』で始まる名字である。

 

 召喚魔法もこの名字に注目した可能性がある。むろん、黒目黒髪、頭が良い、誠実従順である、という召喚基準をクリアしたうえで、名前の独特さに期待を持ったのかもしれない。



【カス男子高校生の逃亡劇】


「なんだよ、いきなりこんなところに連れてこられてさ」


「扉、鍵かかってるよな。明らかに閉じ込められてる」


「俺達、放課後に教室で、マックでもいくかって相談してたよな」


「そうだよ。そしたら、淡い光が」


「どういうこと?召喚されたって言ってなかった?」


「うーん、信じられないけど、異世界転生ってやつか?」


「は?オレもいよいよ勇者でハーレムか?」


「肉丸、おまえ、職業鑑定してもらったろ?運び屋だよ」


「そうだよ。ウーバーイーツだよ。僕なんて作男だぞ。なんだ、これ」


「俺、遊び人じゃねえぞ。金もないし、女の子にももてないし」


「素破ってなんだよ?謎の職業じゃねえか」


「まあ、待て。異世界転生したんなら、最初に行うことは?」


「「「ステータス、オープン!」」」


「おお、本当に出てきやがった」


「よし、使えるスキルとかないか?」


「まずさ、マルチ・翻訳スキルってのがあるな」


「ああ、だからこの世界の人と簡単に会話ができるわけだ」


「素破ってなんだかわからないけど、ゲームで言うシーフポジションみたいだな」


「馬越、じゃあさ、鍵開けとか」


「鍵開けスキルマックスだって。転生特典らしいぞ」


「馬越、凄いじゃん!気配を隠したりできる?」


「隠蔽スキル、気配探知スキルも持ってるぞ」


「おお、馬越んまこしが優勝!ちょっと外に出て調べてこれないか?」


「まあ、待てよ。夜になるまで待ったほうがいいだろ。それとな、気になるのはこの腕輪だよ」


「ああ、そうだよな。ここに来たらいきなりつけられたんだよな。なんのため?」


「あのさ、俺、鑑定スキルがあるんだわ。馬越同様、転生特典って記述がある」


「おお、南足きたまくら、異世界チートスキル!腕輪の鑑定はよ」


「よっしゃ……この腕輪な、『拘束の腕輪』って鑑定されたぞ。別名奴隷の腕輪。何かおかしいことをすると電撃ショックが来るらしい」


「なんだと。あぶねーな。どうにかできんのか?」


「馬越、おまえの鍵開けスキルの出番だぞ」


「よし、やってみる」『カチャ』


「なんだよ。あっけないな。みんなのも外してくれ」


「うん……鍵、はずれたな。じゃあ、夜になったら彷徨ってくるわ」


 ◇


「おー、馬越、待ってたぞ」


「まずな、ここ牢獄っぽいぞ。扉出ると右手はどんつき、左手に警戒所があって見張りがいる」


「ふむふむ」


「警戒所はボクのスキルで簡単に突破」


「おおお」


「で、暗い中探ってみたんだが、ボク、闇目が効いてきて暗闇でも暗視状態になるんだよ。で、ここどこかの城だな」


「JK、王城だろう」


「多分な。でな、ある部屋の外で会話を聞いていたんだけど、ボクたちピンチだぞ。役に立たなければ、処刑だって言ってる」


「は?」


「勝手に俺達を召喚しておいて、処刑だと?」


「めちゃやばいぞ!」


「だから、ボクも何かないか、城を探してみた。するとな……」


「おお、それ金貨か!」


「金庫室があった。金貨、銀貨、宝石がたっぷりとあった。他の部屋には武器・防具なんかが」


「馬越、おまえ、本当に有能だったんだ!成績は悪いが」


「うるさい。南足、おまえ、オレと一番しかちがわないじゃないか」


「一番でも俺のほうが上だぜ」


「まあまあ。俺達4人とも似たような順位だろ。で、どうする?」


「また行ってきてもいいけど」


「オレさ、マジックバッグ持ってるみたいだ。俺の転生特典みたいだな」


「え?容量無制限と言われる?肉丸、マジか」


「ここにもチートがいた。肉丸は運び屋だからか?」


「だろうな。運び屋っていったらやっぱり輸送とか保管は欠かせないもんな」


「ただのウーバーイーツじゃないんだな」


「馬越、おまえオレにも隠蔽スキル使えるか?」


「おし、やってみるべ……どうだ?」


「おおお、肉丸が消えたぞ!」


「ああ、デブがいないと妙にスッキリするな」


「うるさいわ」


「よし、じゃあボクと肉丸でちょっと漁ってくるわ」


「頼んだぞ!」



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