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相馬美也1

「よう。元気になったか?」


「あ、ダンジさんとフレイヤさん!おかげさまで。私を治してく出さったのはフレイヤさんだそうですね。本当にありがとうございました」


「もう立ち上がっても平気なのか」


「そうなんですよ。というか、前よりも元気かも」


「妾の回復魔法は体の毒素をぬくからの。そのせいじゃろ」


「ほれ、これ、お見舞い」


「わあ、親子丼にもも肉の照り焼きですか?」


「だな。それと、アップルパイと紅茶」


 ちょっと組み合わせが変だとは思ったが。


「うわっ、凄すぎ。頂いてもいいですか?」


「遠慮なく」


「やった!頂きます!ああ、駄目、匂いからして素敵過ぎる……おおお、何、この親子丼。めちゃ美味しい。このもも肉も。ダンジさん、日本でも料理人だそうですが、超一流すぎませんか?」


「自分で言うのも何だが、日本時代よりも料理は美味いぞ。まず、素材が超一流なんだ。その素材処理技術、それと、俺のベストの腕をいつでも発揮できる。それが俺のスキルなんだ」


「はあ、この世界だと本当に羨ましいですね……ああ、あっという間に親子丼ともも肉食べちゃいました。続いて、アップルパイ……ああ、幸せ。この世界、甘いものが殆どなくて。あああ、もうなくなっちゃった……どうも、ごちそうさまでした」


「また、もってきてやるから」


「アップルパイはの、このダンジョンの者共も大好きじゃの」


「俺はこのダンジョンで食堂をやってるんだよ」


「ええ、ダンジョンで?お客さんは?」


「魔物さ。美也も見た通り、このダンジョンには凶暴な魔物と、おまえの面倒を見た民度の高い魔物がいる。このフレイヤにしても魔物だしな」


「ええ?エルフじゃないんですか?」


「妾はの、魔猫じゃ」『ボワン』


「え、可愛すぎる猫ちゃん……さ、触ってもいいですか?」


「構わんのじゃ」


「ああ……ツヤツヤのモフモフ……癒やされる」


「あのな、俺も魔物というか魔人らしいぞ」


「え」


「人が魔素に慣れると魔人になるらしい。俺なんか10階層で店を営業してるからな」


「10階層で?危なくないんですか?」


「ああ、かなり危険なんだが、まあなんとかやってるよ。俺も戦う技術はそれなりになったしな」


「それなりって……推測ですけど、ここの10階層って他のダンジョンなら数十階に相当するはず。並の強さじゃないと思うんですが」


「うーん、俺が強いってか、スキルが強いんだよ。俺には実感がないけどね」


「ああ、わかるかも。私は剣聖なんですが、不相応なもの頂いちゃってます。実は私、剣道3段なんです」


「凄いじゃないか」


「父親が剣道5段で幼い頃から鍛えられてきて。でもそれだから余計に解ります。私の今の技術、ありえません」


 ううむ。料理技術は俺のベスト以上のものはできないと思うが、解体技とか包丁技とかあれは俺の料理技術の応用だとしてもありえんからな。彼女にもそういうとんでもスキルがあるのかも。



「ところで、ダンジさん、何月何日に転移してきたか覚えてます?」


「勿論さ!開店日、9月1日だよ」


「ああ、やっぱり……」


 ミヤは語りだした。王国では王族が年2回召喚を行っていると。召喚日は3月1日と9月1日。ちなみに、暦は地球と王国ではまるっと同じだ。


「は?ていうことは、俺も王国の王族とかに召喚させられてってこと?」


「可能性は物凄く高いです」


「だけどさ、俺はこの森の中に転移したんだぞ?」


「私は去年の3月1日に王宮に転移しました。その後、いろいろあったんですが、彼らが言っていました。去年の9月1日の転移は失敗したって」


「ふざけんなよ。なんで奴らはそんなワケワカメのことをするんだ?」


「彼らは魔族の国に領土を広げたがっているんですよ。というか、魔族の国の金鉱山が目当てですね」


「要するに、侵略したいんだ。そのために、召喚を?」


「勇者が欲しいんですよ。召喚者は次元渡りのために、適正のある人が選ばれます。すると、質の高い職業やスキルを得やすい体質になって転移してくるらしいです」


「なるほど。俺も大調理人とか究極スキルとかS級の職業とスキルを持っていたよ」


「さっきも言いましたけど私は剣聖でした」


「職業とかは俺達の得意なもの・経験豊かなものを忖度するって話だよな」


「私もそう聞いています」



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