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森のダンジョン食堂~ドラゴン定食始めました  作者: REI KATO
第1部 1 なぜか転生した
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店ごと森のダンジョンに転移した1 困った時はひき肉とジャガイモのオムレツ

 俺は森野弾児。

 35歳にしてようやく独立、

 自分の店をもった。

 創作料理店だ。


 居抜きの店だが、俺の希望にかなり近い店だ。

 2階が住居を兼ねている。


「仕込み。機器の動作確認。衛生チェック。知人へのメール。販促。その他もろもろ、オールクリア!」


 俺はしっかり準備をし、興奮しつつ就寝した。



 そして本日は9月1日。

 いよいよ開店日だ。

 俺は朝の6時にばっちり目が覚めた。


「よし、やるぞ!」


 俺は玄関扉の鍵を解除し、

 くもりガラスの引き戸をあける。

 そして、気合十分にて電動シャッターを上げる。


「?」


 俺はフリーズした。

 店は街の繁華街にある。

 通りには洗練された店が並ぶ。

 ところが、俺の目に映るのは。


「森?」


 店のすぐ前は野草の生い茂る空き地。

 その向こうにはぎっしりとした樹木。

 上を見ると、僅かに明るい空が見える。

 夜ではない。

 にもかかわらず、森は薄暗く鬱蒼としている。


「なんじゃこりゃあ!」


 俺は脳が停止したまま、

 まず電動シャッターを下ろし鍵をロックし、

 ガラス戸を閉じて鍵をかけた。


 俺は、思いっきりパニクっていた。

 血圧があがり、呼吸も荒い。


 仕方ないよね?

 誰だってそうなるよね?


 俺は半分混乱、半分涙目だ。


「落ち着け。まだ慌てる時間じゃない」


 俺は漫画の有名なフレーズを繰り返しながら、

 頭を抱えて店内をうろつく。


「夢か?」


 顔をげんこつで殴ってみた。

 痛い。

 痛すぎる。


 俺は殴ったことを後悔しつつ、

 これが現実であることを確認した。



「とにかく、現状把握だ。まずは、スマホ……駄目だ。圏外だ。ネットも電話も全く繋がらねえ……どうすんだ?ライフラインの確認か?」


 電気。照明がついている。

 水道。生きてる。

 ガス。火OK。

 オーブン。問題なし。

 冷蔵庫。満杯だ。

 酒。棚に並んでいる。


「畜生。倉庫がない」


 備蓄品の倉庫が店の裏にあるのだが、それは倉庫ごと消えてなくなっている。食材は店の中にあるのが全てだ。



「うーむ。嘆いても仕方ないな。まずは腹減ったからなんか作るか」


 ひき肉とジャガイモのオムレツ。これは俺の大好物で朝の定番メニューだ。それから、トマト・ミネストローネ。要は野菜いっぱいのスープ。あと、トーストとミックスジュース。俺は朝はがっつり食べる派だ。


 食べようとしたその時だった。


「ガンガン」


 シャッターをノックする音が。


「ちょっと開けて欲しいのじゃ」


 のじゃ?


 女みたいだな。

 俺は警戒心マックスで


「どちらさま?」


「なんや大きな波動を感じたから来てみたのじゃ。そしたら、いい匂いがするでないか。ちょっとご所望なのじゃ」


 なんだかずうずうしい奴だな。

 「こ」の字のつく人か?


「間に合ってます」


「そうつれないことを言うな。なあ、お主。今、混乱しておろう?」


 なんで、わかるんだ。


わらわはの、以前に同じような波動を感じたことがある。その経験からの、お主がどこから来たのか、そして今どうなっておるのか。ちょっとはわかっておるつもりなのじゃ」


 宗教関係か?


「お主。ステータスオープンと強く念じてみよなのじゃ」


 なんだと?

 ステータスオープン?


 ■ステータス

  氏 名 森野 弾児

  年 齢 35

  性 別 男

  種 族 渡り人

  祝 福 大調理人

  スキル 究極調理


「うぉっ!なんじゃこりゃあ!」


 本日2度めのなんじゃこりゃあ。

 松田優作検定に合格できるか?

 とにかく、へんなものが視界に浮かび上がった。


「お主、よく見よ。渡り人、などの表記があるじゃろ?」


 おお、本当だ。

 なんじゃこりゃあ3度めだ。


「お主はの。転移してきたのじゃ。この森に」


 は?

 転移?

 まさか、異世界転移?

 漫画とかアニメでは見たことがあるが。


「職業とスキルに何がかかれてあるか教えて見ろなのじゃ」


 職業?スキル?


「大調理人?究極調理?」


「職業が大調理人でスキルが究極調理か。なかなか凄いスキルをもらっておるな。じゃあの、ちょっと周りに燃えるものがないか注意しての、指を前面に突きだして【ファイア】って唱えてみるのじゃ」


 うお、厨2ぽくてなんだか恥ずいぞ。

 周りは……指差しおk。


「ファイア。うわっ!」


 突き出した俺の指から小さな炎が!



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