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どうして僕が単細胞に?  作者: 稗田阿礼
第四章 地獄編
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21.最後の試練3





 今まで本気じゃなかったの・・・というのが僕の本音であった。


 まあ、でも、さっきのが本気だったら神様としてはちょっとあれれ?みたいな感じになるから、理解はできるけどさ。


 誰もそんな無敵な神様求めてないから!普通にいらん。敵は弱ければ弱いほどいい。神様は優しければ優しいほどいい。


 人生イージーモードが一番!何事も平穏が一番!世界は平和が一番!


 それなのに僕は何でこんな状況に・・・


 今更しょげていてもしょうがないか。たぶん、ロッギは何でもできるはず。正直、そんな存在にかなうはずはないのだが・・・


 さっきの一撃でロッギは少しはダメージを受けたようだったが、今まで本気じゃなかったと言い切ったところを見て、致命傷にはなっていないはずだ。


 そして、僕とベルはまだまだ動けるがアドルフとヴィレンドは厳しそうだった。




取りあえず僕たちはまたロッギの四方を囲むようにして、ロッギを包囲した。そして、息を合わせて一斉に攻撃を仕掛けたのだった。


もちろん、僕たちは瞬間移動もできないのでロッギには僕たちの動きが鮮明に見えたのだろう。


「さてと・・・こいつからじゃな。」


 ロッギは一瞬で僕の攻撃を完全に見切って躱したあと、まずはヴィレンドのパンチしようとした腕を掴み、背負い投げをした。


投げられたヴィレンドはアドルフにぶつかり、二人とも投げ飛ばされてしまった。そして。ベルの攻撃も不意打ちのタイミングのはずだったのに見事に避けられてしまう。


 ぼくとベルは即座にロッギから離れる。


「アドルフ、ヴィレンドだいじょうぶー?」


 ベルが二人に聞くが、返事はない。意識を失っているようだ。



「ほっほっほ、あとは二人だけのようじゃな。」


 ロッギは満足そうにそう言った。


 まあ、アドルフとヴィレンドが倒れるのは時間の問題だった。ここまでは想定内だと一言で片づけることもできるが、もう少しは粘れると思ったし、さっきのベルの渾身の一撃をよけられたのは誤算だった。


 普通に詰みじゃね?最初からわかってたけどさ。だが、僕たちは抗うしかない。この過酷な意味のわからない不条理な運命に。


 理不尽は人間にとってつきものだ。それが大きいか小さいか、多いか少ないかの違いだ。それで人は幸せになれたり、なれなかったりする。


 本当に理不尽な世界だ。自分の手の中にある運命なんてほんの一握りの砂もない。もしかしたら、運命っていうのは自分でコントロールできないのかもしれない。だが、それでも、尊厳のある人として、僕は自分の運命を決めていきたい。ライちゃんに告白したい。ここで頑張らないと今までの努力は無意味なものにしかならないし、誰も報われないし、それよりも僕自身が嫌だ。


 だから、頑張るしかない。可能性がほとんどないとしても。前向きに生きていくしか方法はない。希望的観測にすがるしか方法がない。



 本当に理不尽以外の何物でもない。



「レイ、大丈夫?」


 考えに耽っていてベルが近づいてくるのに気が付かなかった。


「うん・・・」


 まだ二人も残っている。二対一だ。絶対こちらの方が優位なはず。それに、ベルは僕の考えが読める。これは攻撃を仕掛けるうえで重要になってくるのだ。


 ベル、囮お願い。


 ベルは僕にわかったよというような目線を送る。


 そして、ベルはロッギに向かって駆け出した。


「ほう・・・」


 ロッギはベルが一段階スピードを上げたのに気が付いて感心していた。だが、それはロッギには遠く及ばなかった。僕もベルに続いて駆け出す。そして、地面を勢いよく蹴って、空中へと飛び出す。


 空中では自由が利かないが、ベルが囮になってくれて、ロッギの注意を引き付けてくれているはずだから大丈夫。


 そう思った瞬間にロッギが目の前に現れて、彼の蹴りによって僕は強く地面にたたきつけられたのだった・・・


いつも読んでいただきありがとうございます。

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