20.動き出した氷龍
「カタラード様、ベリーズが倒されました。」
氷で作られた宮殿に大きな二体の氷龍がいた。
「何だと?」
「ベリーズが倒されました。」
「何者にだ?」
もう一体の氷龍であるアランはびくびくしていた。彼の主君の怒りがひしひしと伝わってきていたのだった。
「それは現在調査中であります。ただ、強敵から奇襲を受けたという連絡を受けた後、連絡が途絶えましたので、何者かに倒されたと判断いたしました。
恐らくは他の龍種かと思われます。」
「そうか・・・」
カタラードの内心は穏やかではなかった。ベリーズは氷龍の中では中堅の方だった。レベルはまだ低かったが、将来の見込みがある若い龍だったのだ。
それを倒すということは、相手は只者ではないはずだ。
「いかがいたしますか?」
カタラードは悩んでいた。果たして自ら出向くべきかどうかを。中堅の氷龍を向かわせて返り討ちに会っては面目が立たない。
それに、今まで氷龍に喧嘩を売ってくる奴などいなかった。相手は氷龍の報復を前提として、ベリーズを倒したのだろう。
おそらく、相手はどこかの龍種だ、そうに違いない・・・もしかしたら、連合かもしれない。そうなると、カタラード自らが出て行かなければ、恐らくは勝てないだろう。
カタラードは知っていた。氷龍がほかの龍たちによく思われていないことを。しかし、それらを力を示すことで自分たちは支配者として君臨していた。光龍を退けてからは、氷龍に喧嘩を売ってくるものはいなくなった。
それに楯突く者が現れるとは・・・
カタラードは久しぶりに胸が躍っていた。
「我が直接出向こう。戦意のある者はついてこい。諸君、戦争の時間だ。」
カタラードはそう言って戦支度に取り掛かったのだった。
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