表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
どうして僕が単細胞に?  作者: 稗田阿礼
第一章 単細胞編
4/106

4.スキルってこんなにすぐに獲得できるもんなの?

いつも読んでいただきありがとうございます。



 ミトちゃんのおかげか、僕たち(僕から分かれた細胞たち)はめっちゃ分裂を繰り返していた。ミトちゃんからのエネルギー供給のおかげで、細胞も一回り大きくすることができたし、数も増えた。


 体感的には六時間に一回分裂するくらいのペースかな?それが指数関数的に増えていく、一日で十六個、五日で百万個だ。実際に生き残るのは八割くらいだから、三十五万個くらいだ。それでも、果てしない数だということはわかっただろう。


 ここ一帯は僕の子供?たちでいっぱいになったのだ。しかし、レイさんのシミュレーションによると資源量と空間的にどんなけ増えられても一億個くらいらしい。あと一日で限界を迎えるらしい。

 まじで、日本の人口推移みたいじゃねーか。あっ、でも減らないから違うか。


 細胞が増えて、いいことがあった。天の声のことを僕が鬱陶しいと言っていたのをレイさんが聞いていたらしく、レイさんが全部聞いてくれているらしい。鑑定もスキル内で発動できるようになったらしいので、時折、見えていた鑑定の表示も見えなくなった。



 そして、めっちゃ暇になった。だって、何もしなくてもレイさんがやってくれるんだもん。超優秀。僕がさぼってても大丈夫。本当にいい相棒を持ったものだ。

 本当に暇すぎるので、レイさんの一部と将棋をしている。一部って言っても、流石は元AIで、僕は今のところ全敗だ。でも、いいところまで行くようになっている。しかし、レイさんは常時別の作業を並列して行っているので、本気を出されたらイチコロだろう。


 そんなこんなな日常を送っていたが、気になって久しぶりに鑑定を発動させてみると、僕は目を疑った。まあ、視力ないんですけど。脳内再生的な感じで見てます。


「個体名:原始の生物 レイ LV.9 スキル:レイ、単細胞、単細胞の怒り、熱耐性(中)、毒耐性(下)、高圧耐性(上)、怠惰、暴食 称号:怠惰の王、単細胞の王、暴食の王

眷属数:124389082個」


 ナニコレ?まず、レベルが知らないうちにめっちゃ上がってるし。やべえ、最初の時の感動はまじ何だったの?

せめてレベルアップの時くらいは天の声聞かせてくれてもいいのに・・・その時の感動を味わいたい。折角異世界に来たんだしねえ。

 それにスキルがめっちゃ増えてるんですけど、スキル獲得の時も天の声聞きたいかな。レイさん、スキル鑑定お願いします。


『さっきから文句ばっかり言ってますね。まあ、いいでしょう。』

 今日はご機嫌斜めなようだ。


「中級スキル:熱耐性・・・熱に対する耐性を獲得。取得条件:一定時間熱にさらされること。

 下級スキル:毒耐性・・・毒に対する耐性を獲得。取得条件:一定以上の毒物を摂取すること。

 上級スキル:高圧耐性・・・高圧に対する耐性を獲得。取得条件:一定時間高圧にさらされること。

 伝説スキル:怠惰・・・何もしない時間が短くなる。逆に何かしているとその時間は長くなる。取得条件:百年以上同じ場所におり、自己を維持しようとしないこと。

 伝説スキル:暴食・・・食事をしなくても、生きて行けるようになる。取得条件:ある一定量以上の食事をすること。個体の大きさによって取得条件は変化する。


称号

 単細胞の王・・・単細胞生物の王たるものに与えられる称号。単細胞生物の眷属の管理が効率化される。取得条件:単細胞生物を五千万個以上眷属とすること。

 怠惰の王・・・暇な生物に与えられる称号。暇でも耐えられるようになる。素早さのステータスが10%になる。その他のステータスは十倍になる。取得条件:伝説スキル:怠惰 の獲得。

 暴食の王・・・鯨飲馬食した生物に与えられる称号。いくら食べても、一定以上太らなくなる。物理防御のステータスが10%になる。その他のステータスは十倍になる。取得条件:伝説スキル:暴食 の獲得」


 耐性系はまあ、まあ、よしとしよう。たぶんあれだな、上級、中級、低級で耐性の度合いが違うんだろう。


『その通りです。』


 問題は次からだ。まず、スキルって階級があるのか?伝説とかあるし・・・


『スキルには階級があり、普通のスキルが低、中、上級に分けられます。そして、性能がいい順に究極スキル、伝説スキル、特殊スキル、希少スキル、普通スキルとなります。ちなみに、私は究極スキルです。えっへん。』

 流石、究極スキル、レイさん様様ですよ、本当に。だって、超有能やん。これが究極なのは納得いくけどね・・・


 まず、伝説スキル:怠惰 って何やーー。何で、急に七つの大罪出してくるの?ねえ、僕怠惰じゃないよ。仕事を任してるだけだから。有能なレイさん(あいぼう)にさ。


 で、文句が言いたいのは取得条件・・・百年以上同じ場所におり、自己を維持しようとしないことってなんですか?まず、僕って百年以上同じとこにいるの?


『大変申し上げにくいのですが、レベル3になった時、マスターがあまり暇しないように、思考低下のスキルを発動しました。今はもう解除済みです。ちなみに、レベル5で時間のスキルを獲得し、計算したところ、転生してから、すでに百二十年経っていることが判明しました。』


 おう、僕のためね。ありがたいような、ありがたくないような。ていうか、思考低下したら体感時間短くなるってことだよな。感覚的にはこの世界に来てから一か月くらいしか経ってないし。


 それが百年って、どんなけ思考低下してるの?もしかして、将棋してたけど、一日に一回指すみたいなことになってたのかな?


『その通りです。』


 絶対勝てねーだろそんなんじゃ。あと、怠惰の取得条件で自己を維持しようとしないってどういうこと?


『生物を生物たらしめる性質、それが自己維持性、自己境界性、自己複製性と言われています。この自己維持性を私に任せていたので取得できたのかと思われます。ちなみに自己維持性とは生命活動を営むという広義な意味を持っています。』


 ふーん、要するに僕は生物であることすらやめたってこと?


『私が優秀だからですね。』

 そうですね、としか言えない。今後はもっと生物らしく生きてみよう。というか、このスキル、普通に獲得するの無理ゲーやん。だから、伝説スキルなのか。他にもってる生物いんのかな?

『伝説スキル、究極スキルは使用者は一人と決まっているそうです。』


 へー、なかなかレアなんだな。そもそも、生物としての機能捨てたまま百年以上生きれるやつなんていなさそうだけどな。


 あとは、ふむふむ。暴食も七つの大罪だよね・・・これ、集めて行ったら断罪とかされないよね・・・暴食の相手のすべてを食らうことができるって何だろう?


『ただいま、解析中ですのでわかりません。』

 ふむ、でも伝説スキルって言うくらいだから、性能がバグっててもおかしくはないよね。しかも、取得条件がさ、誰でもゲットできそうなのは、気のせいだろうか。伝説スキルだから、僕がオンリーワンなんだろうけど。


『恐らくですが、マスターは個体のサイズが小さいのと眷属の食事も考慮されたと考えられます。』

 小さいからこそ、一定量が少なかったってことかな。何せ百年以上食べてるからな。しかも、眷属数も一億を超えている。超えないんじゃないの、レイさん?

『熱耐性を獲得し、活動圏内が大幅に増えたためでしょう。』

 そっか、熱耐性ね。意外に役に立つんだな。

そう言えば、ここって四十度くらいじゃないの?

『熱耐性を獲得するために眷属の一部を熱水噴出孔近くに配置しました。ほとんどは死滅しましたが、一部は熱耐性を獲得して生き残り、それをマスターのステータスに反映させただけです。』


 ん?今聞き捨てならないことを言ったような・・・死滅させた?わざと?

『そうですけど。』

 僕の眷属たちを自殺させたってこと?たぶんその子たち自殺願望ないと思うけど。


『ふっふふ、眷属たちは私の支配下にありますので、何をさせることもできますよ。』

 レイさん・・・ひどくない?

『すべてはマスターのためです。』

 ・・・ありがたいけどさ。


 そして、称号なんてもんがあったんだね。単細胞の王って・・・しかも、全部なんちゃらの王じゃん、もうちょっとよさげな名前があってもいいような。

 単細胞の王は便利そう、レイさんにとってはね。それよりも、暴食と怠惰の王がバグってるんだけど、ステータス一つが十分の一でその他十倍っておかしくない?伝説スキルの称号だからまあ、わからなくもないけど。


 というか、素早さと物理防御以外全部ステータスが百倍になるってこと?

『その通りです。』

 まじかい。でも、単細胞生物のステータスってどうせごみだし、あんま気にすることないか。

『・・・』

 そこは否定してくれないんだね。

『事実ですので。』

 

 レイさん・・・辛辣。

『事実ですので。』


 いや、二回言わんでもわかるわい。


 さっきからステータスって言ってるけどさ、ステータスってどういうものなの?

『ステータスとはその個体の各種能力を数値化したものです。各種能力とは、体力(HP)、魔力(MP)、物理攻撃力(PA)、物理防御力(PD)、魔法攻撃力(MA)、魔法防御力(MD)、素早さ(SP)生命力(LP)の八つに分けられています。』


 魔力ってこの世界魔法あるの?なんか、すげー、魔法使ってみたいわ。

『基本的に単細胞生物は魔法を使えません。』


 ちぇっ、なんとなく想像はしてたけど、現実を突きつけられると癪に触るな。なんか、めっちゃ異世界っぽい要素があったのに、使えないなんて。本当に単細胞生物負け組だわ。くー、悔しい、なんかみじめだわ。ああ、悔しい、悔しい・・・


・・・数分後


 気を取り直しってと、ステータスって鑑定で見れないの?

『今のところ見れません。もうちょっとレベルを上げれば見れるかもしれません。』


 ふーん、今のステータス見てもどうせごみだろうし、まあいいや。




<豆知識>

 ウイルスは生物なのか?

 生物のもつ特徴として、自分自身のコピーをつくることができる(自己複製性)、持続的な化学反応系である。つまりは、代謝を行う。(自己維持性)、細胞膜に覆われている、という三つの特徴があります。まず、ウイルスは自分自身で増殖ができないので、自己複製性があるかは微妙で、代謝はほとんど行いません。さらに、ウイルスはタンパク質の殻に覆われており、細胞膜を持たないので、一般的に生物であるとはされていません。

 

では、なぜ変異するの?

 ウイルスはDNAもしくはRNAを持っており、細胞内に侵入し、それらの情報を宿主を利用して複製し、自分のコピーを作ります。ここで、RNAはDNAに比べて不安定であり、遺伝子の突然変異が起こりやすくなっています。これによってウイルスの変異が起こるのです。ただし、変異はすべてウイルスにとって有利に働くとは限りません。(というかほとんどの変異ウイルスは増殖できずに死滅します。)数ある変異の中でウイルスの生存にとって役に立つものだけが変異ウイルスとして私たちの脅威となるのです。言い換えれば、選ばれし変異ウイルスが新型コロナウイルスのオミクロン株であったり、デルタ株であるということです。



最後に気に入っていただいたのなら評価や感想、ブックマーク登録などよろしくお願いします。(モチベーションになるので。)


ちなみに、レイさんは主人公の知らないところで結構いろいろなことをしてます。眷属たちを高熱や冷水環境に突撃させて、耐性を獲得させたり、いろいろなスキルの取得条件を調べたり、獲得したスキルを統合したりしてます。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ