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どうして僕が単細胞に?  作者: 稗田阿礼
第三章 多細胞編
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8.進化があれば、別れもあり


 どうして、意識を失ってしまったのだろう。というか、最近意識失いすぎじゃねと反省する。あの後、レイさんが巨大魔法を発動して辺り一帯の水が蒸発して吹っ飛んだらしい。あの忌々しいサメどもが木っ端微塵に吹っ飛ぶところを見たかったのだが、それも叶わなかった。

『マスターはよく頑張ったと思いますよ。』

 それは知っているというか、自分でも褒めたいぐらいの働きぶりだと思う。いやはや素晴らしい避けっぷりと時間稼ぎっぷりだったと思う。


『そうですね。』

 レイさんがいつになく素っ気ない気がするが気のせいだろう。


『そういえば、レベルが大幅に上がり、進化条件を満たしていましたよ。』

「スキル:レイ により、進化先の候補の表示が請願されました。

 成功しました。

 個体名:原始の生物 (マイワシ) レイ の進化先の候補は以下の通りです。

 《原始の生物 (マグロ)魚類》

 《原始の生物 (カエル)両生類》

 《原始の生物 (トカゲ)爬虫類》」


 なんかおかしくない?何でイワシがさ、マグロとカエルとトカゲに進化するの?


『先ほどの戦闘で大幅にレベルアップしたため進化先の候補がより疎遠なものへも進化ができるようになったようです。』

 うん、なるほど、なるほど。ってなるかー。わかったぞ、これは作者の怠慢だな、そうだろう。物語をそろそろ陸上に移したくなったんだろう。

『うっ、決してそんなことはないです。』

 なんでレイさんが動揺してるの?まあ、そういうことにしておこう。


『で、どれに進化するんですか?』

 もちろん、この中じゃトカゲが妥当だろう。

『その通りです。では、移動しましょう。』

 なんで?

『進化した後に溺死したいんですか?』

 いいえ。そんな自殺願望は持ち合わせておりません。直ちに移動を開始します、と言いたいところだが、トカゲになるってことは陸上生活じゃん。


『そうですが。』

 レヴィに挨拶しておこうかなって思って。

『では呼び出しておきますので、さっさと移動を開始してください。』

 なんか、焦ってる?

『いいえ、そんなことはありません。』

 ならいいけど。


 まもなくしてレヴィがやってきた。

「レイが呼び出すのは珍しいわね。寂しくなったのかしら?」

 若干煽ってくる。

「そんなことないけど・・・」

「そんなに照れなくてもいいのかしら。この私に会いたくてたまらなかったのでしょう?」

 面倒くさくなった。そして投げやりに返事をする。

「はいはい。」

「そう・・・私に会いたかったの。」

 なぜかレヴィは満足そうだった。



「それでさ、僕トカゲに進化するらしいから当分会えなくなる。」

 突然要件を伝えられたレヴィは唖然とする。

「ん?なんていったのかしら?」

「だから、進化するから当分会えなくなるって。」

 レヴィは腰を抜かした。龍でも腰抜かすことあるんだと少し滑稽に思った。というか、腰が折れ曲がったのでめっちゃ面白かった。


「は?まじ・・・・かしら?」

「じまじ。」

「なるほど、じまじ・・・」

 レヴィはあからさまにしょんぼりしていた。僕がいなくなって寂しいって思ってくれるのは嬉しい。そして、滅茶苦茶寂しそうにした後になぜかツンになった。

「ふん、別に寂しくなんかないかしら。うん、決してそんなことはないわ。本当は寂しいけど・・・」


 なんか本音がバレバレなんだけど。

「ふーん。」

「別に私はボッチ生活が戻ってくるからって悲しくなんか思ってないかしら・・・」


 うん、これ思ってるやつだな。絶対に。僕は一人で納得していた。

「まあ、何でもいいから。そう言うことで。」

 僕は去ろうとする。

「ちょっと待つのかしら。」

「なんか、あるの?」

「私が陸まで送って行ってあげるわ。」


 急な浦島太郎的展開にびっくりした。たぶん、亀に送られる浦島ちゃんってこんな感じだったんだろうな。

 ということで道中すごくどうでもいい話をして、陸の近くまで送ってもらった。




「なにかしら、なぜか目から汗が・・・」

 流石にレヴィが最後の最後で泣き出したのはビビったけど、それを見て、これまじで言ってんのか、ツンデレで言ってるのかわからんなとも思った。いや、全然うれしくないよ、別に友達に見送られて泣かれるって全然うれしくないから。

『素直になってください。これ以上面倒くさいキャラを増やさないでください。』

 

レイさんが少々呆れていたので、僕は素直になることにした。別に、レヴィの真似してただけだし・・・

『素直じゃないですね。』


 大いなる矛盾を感じつつも僕はそれを華麗にスルーした。

「それ涙って言うんだよ。」

 なんかどっかの物語とかだと龍の涙とかすごくレアなアイテムだったな、とこの感動の別れの場面にそぐわないことを考えていた。

「これが涙・・・かしら。」


 これが恋・・・とか言っているどっかの恋愛ドラマを連想させるような初心っぷりに笑いを隠せずにいた。そして、先ほどの自分の疑問が解決したのを少し喜んでいた。

「そうだよ。じゃあ、僕は行くね。」

「レイ・・・達者でいるかしら。あと先生、レイをよろしくお願いするわ。」

『かしこまりました。』

「じゃあ、バイバイ。」

「バイバイ・・・かしら。」

 レヴィは僕が浅瀬の方、陸の方へと泳いでいくのをずっと見守っていた。それでも僕は振り返らずに進んでいく。前へ、前へと。


いつも読んでいただきありがとうございます。

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