4.サミットってなあに?
「それで、その会議は何をするの?」
「大体は龍種間の争いの調停とか、領土決めとか、新しい龍王の紹介とか、協定の改正とかかしら。今のところ龍種の政局は安定してるから、特に何もすることがないわね。」
前世の国連の龍バージョンみたいなものか、力は結構強そうだけどね。それにしても、レヴィは本当に行かなくていいのだろうか、聞いた感じ重要そう。まあ、僕が気にするところではない。
「そうなんだ。ああ、そう言えば今地上ってどんな感じ?」
このことは僕にとっては重要なことだ。魚類から両生類に進化したときに環境が安定しているほうがいい。氷に覆われているのなら進化しても死に絶えるだけだ。それなら、いっそ進化しないほうがましなのだ。
『マスターには熱耐性があるので、多少は耐えしのぐこともできます。』
あ、ゆうて関係なかったかも。
『しかし、食料は存在しないと考えてよいでしょう。』
「相変わらず、真っ白かしら。氷龍王カタラードも健在だしね。ここの海域と魔大陸の一部以外は氷に覆われているの。正直、奴が世界を治めていると言っても過言ではない状況よ。奴が強すぎて誰も何も言えないの。だから、サミットに行っても行かなくても変わらないかしら。」
レヴィはその巨体を動かしながらつまらなそうに言った。
氷龍王カタラードねえ・・・・厄介そうだ。少なくとも彼がいる以上僕は魚類脱出を試みることさえできない。迷惑極まりない。他の生物もそう思っているだろう。カタラードってどれくらい強いの?
『検索します・・・・検索結果を表示します。』
「個体名:氷龍王 カタラード LV.382
スキル:全異常状態無効、全魔法無効、物理攻撃無効、自然影響無効、氷魔法(極)、光魔法(中)、闇魔法(上)、水魔法(下)、風魔法(極)、雷魔法(下)、空間魔法(上)、龍王、鉄壁、剛腕、威風堂々、絶対零度、強欲、憤怒
称号:強欲の王、憤怒の王、覇王、氷の支配者、威風堂々、絶対零度、神徒
ステータス:HP-9,800,000 MP-11,200,000 PA-54,300,000 MA-12,000,000 PD-10,600,000 MD-13,500,000 SP-88,000,000 LP-76,500,000」
・・・いや、化け物、チート?そこらのレベルじゃない。正真正銘の化け物だ。
『化け物って最初言ったじゃないですか。』
何か聞こえた気がするが放っておこう。
「強いな。」
思わず、念話してしまう。
「何?私のことかしら?」
「ん?ああ、まあ、レヴィも強いけど、カタラードってやばくない?やばいよりのやばいだよね?」
「何言っているのかわからないけど、奴は私よりも強いわよ。」
そりゃ、誰も挑もうとしないわけだ。挑んでも待つのは死のみ。まあ、元からこの世界終わってる気がするけどさ。
「何でカタラードってあんなに強いの?」
「それは私も不思議に思ってたのよね。私と同じで古の龍の一柱ではあるけど、ほんの数千年前まではわしと同じくらいの実力だったかしら。」
そうなると、何かのスキルか称号?強欲と憤怒はあるけど、ヴィレンドも傲慢持ってるしあんまり関係ない気がする。とすると怪しいのは威風堂々と神徒かな?
「称号:神徒・・・神の使徒。神によって選ばれた存在。すべてのステータスが十倍になる。闇魔法以外の魔法が通用しなくなる。取得条件:不明。
究極スキル:威風堂々・・・弱者の攻撃が通用しなくなる。取得条件:不明。」
なるほど、大体理解した。レヴィのステータスの十倍以上になっているのは神徒のせいだな。しかも、闇魔法以外通用しないってやばい。しかし、神に選ばれたってね。いくらファンタジーでも神はいないでしょ・・・
『否定はできません。情報開示請求をしたところ、神に関するものはいくつかヒットしました。』
そう言えば、そんなスキルあったな。でも、それでヒットするって神様無用心すぎない?
『情報開示請求を使えるものはほとんどいません。このスキルは知能系スキルであるレイや叡智、賢者などを媒介しないとできません。両方取得できる確率は限りなく低いです。』
限りなく低いのに持ってるんだ・・・運がいいものだな。
『私が率先して取得しましたからね。』
そうですか、あざす。
カタラードの強さの秘密はわかったとして、なんで、神様はこんな迷惑な奴を神徒認定してるのかな?
『わかりません。』
流石にわからんよな。まあ、わかったこととしては神様の性格はくそっていうことだ。
「あのさ、レヴィ。」
「なにかしら?」
「神様っていると思う?」
「はあ?何を言っているのかしら、人間じゃないし私はそんなものを信じていないわよ。」
「だよねー。」
これ以上レヴィに聞いてもわからなそうだ。もちろん、僕もいないと思っているがレイさんは嘘をつかない。だから可能性はあるのだ。
「ねえ、カタラードって話が通じる相手なの?」
「通じてたら、この氷河期もとっくのとうに終わってるかしら。奴は人間に仲間を襲われてから怒り狂っているの。だから、サミットにも出席せず北極に引きこもっているの。」
「じゃあ、サミットには?」
「奴の妻が来てるわ。正直、当てにならないかしら。」
「ふーん、じゃあ潰すしかないか。」
「潰す?カタラードを?」
レヴィが驚いてそう言った。
「うん、だって邪魔だし。」
「レイは野心家かしら。」
ここで否定しないのがレヴィいいところだ。何もかも否定していては何もできないことを知っているのか、ただ僕を信頼しているのか。
「人間目指しているくらいだからね。」
「でも、倒せるのかしら?」
「それはレイさんと相談するよ。」
「おーほっほほ、私に何か協力できることがあれば遠慮なく言うのかしら。」
そう言ってレヴィは去っていった。当分の目標は決まった。強くなってカタラードを倒す。
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