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どうして僕が単細胞に?  作者: 稗田阿礼
第二章 魔女編
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10.殺し屋と王女




異世界に来てから一か月がたった。私は暇なときに図書館へ通い、この世界についての常識などを身に着けた。もちろん、戦闘技術も身に着けた。こちらに関してはミルフィ王女が命令してくるので目立たない程度に強くなっていっていくようにステータスを偽装している。実際は王城の誰よりも強くなってはいるが、ステータスを他の人も偽装している可能性があるので慎重に事を進めている。


 浩二君が連れていかれてからは特に変わったことは起こっていない。ぼこぼこにされた訓練場もあっという間に魔法で元通りになっていたが、城内の雰囲気はピリピリとしていた。緘口令が敷かれ、城外に情報が漏れないようにされた。幸いにもけが人はいなかった。


 そして、私たちは毎日奴隷を一人ずつ殺していく。王城に資金があるのか知らないが、毎日奴隷が運ばれてきて私たち一人一人が殺してレベル上げをする。始めの方はやはり吐いたり、悪夢にうなされたりする人が多かったが、今はもうほとんどの人が慣れてしまっている。そして、一日一人殺せることは私の生き甲斐のようなものにもなっているのでとてもありがたい。


 この世界のステータスやスキルについてもいろいろわかってきた。王女の洗脳はスキルによるもので自分よりもレベルが低いものかつ精神攻撃耐性の持たないものに使えるものである。王女はレベル80くらいでこの城で一番高い。普通の人はレベル10から20くらいだ。戦場に行く兵士だと30から50くらいで騎士団長レベルでやっとレベル60くらいだ。


 私は夜に森で魔物とかを狩っていたので、レベル100くらいになった。それでも浩二君をさらっていった奴らには勝てそうにない。しかも、レベルが100を超えると急にレベルが上がらなくなってきた。レベルは高レベルの魔物や人間を殺す方が経験値を得やすい。でも、高レベルの魔物は早々いないし、人も然りだ。


 そして、何より私はストレスが溜まっていた。やはり、彼と会えないのは辛い。私にとって彼の存在は大きなものだと実感した。ある程度の常識と強さを手に入れた今、彼を探し出すためにも、私はここに留まっている意味はほとんどなくなった。







「ぎゃあ、やめてくれ。」

「ふっふふ、その表情いいわね。ぞくぞくしちゃう。」

「うっ。」

 私は微笑みながら、目の前の兵士を殺す。床にはすでに他の兵士の血で染まっている。私の機嫌はとてもよかった。何せ今まで我慢していたことを想い存分楽しんでいるからだ。禁酒期間が終わったアル中のおじさんのような感じだ。


 城内の兵士及び使用人は片っ端から殺していった。どいつもこいつも骨がない。別に寝込みを襲ってるわけでもないのよね・・・まあ、ステータスが違いすぎると言うのが大きいだろう。騎士団長でも一撃で死んでしまった。しかし、さくさく殺せるのは気分がよい。


 私はすでに返り血で真っ赤に染まっていた。そして、城内も紅に染まっていた。


「あとは・・・」


 私は王女の部屋の前についた。王女は最後に殺すと決めていた。ちなみに私と一緒に異世界に来た人たちは殺していない。流石に可哀想かなと思ったし、何か使えるかもしれないと思って全員眠らせておいた。


 私は扉を開いた。


「やはりあなたでしたか・・・」


 王女ミルフィは凛として玉座に座っていた。

「わかっていたの?私の洗脳が溶けていること。」


「ええ、あと連れていかれた方も最初から洗脳されていなかったでしょう?精神攻撃耐性を所持している異世界人が来ることは想定済みでしたから。」


「じゃあ、何で?」

「そうですね、本来なら真っ先に殺していたはずなのですが、あなたがあまりにもあの方に似ていたので・・・」


「あの方?」

「いずれわかるでしょう。それより、私を殺さなくていいのですか?」

「まるで殺してほしいみたいな言い方ね。」


「私はもう約束を果たしましたから。」

「じゃあ、遠慮しないわよ。」


 私は目にも止まらぬ早さで王女の心臓にナイフを刺す。王女は私に殺された後、ふふっと笑ってそのまま死んだ。生温かい血が私の手に流れてくる。


「経験値が一定に達しました。

 個体名:人間 近重来葉 LV.99 がLV.100になりました。

 各種ステータスが上昇しました。

 スキル:叡智 の機能が上昇しました。

 進化条件を満たしました。

 個体名:人間 近重来葉 が 魔女 ヘ進化します。」


 そして、私の意識は沈んでいった。


いつも読んでいただきありがとうございます。次からレイの話になります。

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