表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
どうして僕が単細胞に?  作者: 稗田阿礼
第五章 彷徨える魔女編
104/106

21.逃亡の先に、、、3

いつも読んでいただきありがとうございます。

 その後、私たちはアドルフの書斎にて、少し話したあと、客室に案内してもらった。


「ここだ。ゆっくりくつろぐがいい。」

 アドルフがドアを開いてそう言う。


「わー、ありがとう!広いねえ。」


「広い・・・」

 私もこの世界に来てから一番豪華なホテル?な気がする。まあ、王城だしそんなものか。


「気に入ってもらえたようで何よりだ。それで、どうせ朝になったらいなくなっているのだろう?」


「うん、よーくわかってんじゃん。」


「えっ・・・」

 こんな豪華なところだからゆっくりしたいのに・・・しかし、自分の伝手ではないから、発言権はない。


「では、またいつか、だな。」


「あの子のこと大事にするんだよ。」


「それは言われなくてもそうする。」

 そう言ってアドルフは部屋から出て行ったのだった。



「あんな軽い別れ方でいいの?」


「まあね、どうせまたいつか会えるしね。それよりも、ライちゃんはここでゆっくりしたい感じなの?」


「まあ、そうだけど。」


「ここにいてもいいことないよー。アドルフいるし。」

 過去に何があったのだろうか。聞いてはいけない気がするから、聞かないでおこう。

「ふーん。まあ、いいけど。」


「じゃあ、明日の朝、龍大陸に向けて出発ね!」


「うん。」


「それよりライちゃんはなんで龍大陸を目指してるの?」


「・・・」

 これは素直に言ったほうがいいのか・・・うーん、でもなんかベルってやばい人な気がするんだよな。でも、どうせ一緒に行動してくるなら、言っておいた方がいい気がする。


「生き別れた、幼馴染を探しているんです。」


「それと龍大陸とどんな関係があるの?」


「信じてはもらえないかもしれませんが、その幼馴染が五百年前のこの世界に転生したらしくって、もし龍とかに転生してたら生きてるかなっていうので・・・」


「ふーん。」

 ベルは少し考えている様子だった。


「まあ、転生っていうのは珍しい話じゃないしねー。実際、私も転生者だし。」


「えっ?」

 ベルが転生者なのは驚きだ。もしかしたら、同郷なのかもしれない。今は聞かないでおこう。


「でも、龍種に転生するのはあんまり聞いたことないかな。少なくとも、肉体が変わるような転生は見たことはない。」


「おそらく、魂だけが転生したみたいな感じなんですよね・・・」


「だったら、ありえない話じゃないと思うけど。五百年前に転生しているなら、生きてる確率はかなり低いと思うよ。ヒトの寿命も最近伸びて70歳くらいだし、最長でも150年くらいじゃないかな。」


「それは・・・わかってます。」

 ベルは私の瞳を見つめる。


「ふーん、確かに龍に転生してたら、寿命は千年以上になるしね。まだ、生きている可能性はあると思うよ。あとは特殊なスキルを取得してたら寿命が大幅に伸びたりするけど。」


「可能性はそれくらいですよね。」

 わかっていた話だ。それだけど、一縷の望みにすがりたい自分がそこにいる。せめて、彼が生きた証でも掴めたらいい。そう思ってしまう。


「一つ気になるんだけど、何で可能性が低いってわかってても、そこまでするの?」

 ベルには、理解できないだろう。たとえ理解できたとしても、表面の部分だけだ。この想いがわかるのはきっと自分自身だけだろう。世間はそれを愛と呼ぶ。しかし、私にとってはそれは愛であり、それはまた殺意でもある。


「そうですねえ・・・わかりやすく言うとしたら、愛ですかね・・・」

 私はそう言ってニヤリと笑った。


これで、彷徨える魔女編(前編)は一旦終わりです。なんかぱっとしないよなあ。


次から新章が始まりますので、お楽しみに。


ただ、幕間にたぶん登場人物紹介とかあらすじ解説などをはさむ予定です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ