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侵入


「よし。『耀きの珠』が祭壇から外されたな」


光の矢が止んだのを確認して、俺はダンジョンラットたちとともにエルシドに侵入する。


エルシドの街は大混乱に陥っていた。


「うわっ!ラットに噛まれた!」


「は、早く助けを呼んで来い!」


突然ラットに襲われた住人たちは、棒切れや箒をもってラットを叩き殺している。


ラットは弱いので一般人でも対処は可能だが、何しろ数が多いので噛まれるものが続出した。


「うろたえるな!我々は敬虔な神の使徒である。この程度の魔物など、敵ではない!」


騎士団が出動して、魔法を使ってラットを殺し始める。奴隷も市民も騎士たちも一丸になって対処したおかげで、夕方になるころにはラットたちの大部分は駆除された。


「ラットに噛まれた所が痛い……ポーションはないか?」


「それより、ダンジョンラットは毒を持っている。解毒薬をもってこい」


神官や修道女たちが必死に傷付いた市民たちを治療してるが、あまりにもけが人が多いため手が回らなかった。


それでも、街はダンジョンラットを退けたことによって、市民たちの士気は高まっていた。


「やったぞ!魔物を退けた」


「神のご加護だ!教皇様万歳!」


騎士も市民も、抱き合ってお互いの健闘を讃えている。


「よし、頃合いだな」


そう思った俺は、エルシド大聖堂前の広場に姿を現した。


「なんだあれは!」


「空を飛ぶ黒いローブの男……まさか、魔王ライト?」


俺を見て恐れおののく市民たちの前で、高らかに宣言してやった。


「エルシドの民たちよ。よく聞くがいい」


俺は自分が冤罪に落とされ、復讐の為に魔王になったことを告げる。


「すでに王国の各都市は滅びた。次はこの宗教都市エルシドである。真の勇者である俺を認めず、盗人扱いをして石を投げて罵声を浴びせてきた愚かな民たちよ。これから恐ろしい罰がお前たちに下るだろう」


それを聞いた市民たちは、怒りの声を上げた。


「何をいうか!この罪人め!」


「このエルシドは神の祝福を受けた聖なる都市だ。貴様など、聖女マリア様と教皇様が必ず倒してくださる」


傷付いた体を起こし、必死に俺に向かって石を投げてくる。


「面白い。その強がりがどこまで続くか、じっくり見させてもらうとしよう」


俺はそう告げると、その場を去る。


「教皇様、聖女様!なにとぞ邪悪なる魔王から、我らをお守りください」


広場では、救いを求める市民たちの祈りの声で満ち溢れるのだった。




魔王ライトがエルシドに侵入したという知らせは大灯台にいる教会の上層部を揺るがせた。


「魔王の侵入を許しただって?」


「これからどうすればいいんだ!」


動揺する枢機卿たちを、教皇は叱りつける。


「うろたえるな。『輝きの珠』があるかぎり、魔王など敵ではない」


『耀きの珠』を高く掲げながら、教皇はそう告げる。


「し、しかし……」


「忘れたか。ワシも勇者ライディンの血を引く勇者の子孫の一人だ。だから『輝きの珠』を使いこなすことができる。『聖光結界』」


教皇が再び『耀きの珠』を祭壇に安置して呪文を唱えると同時に、大灯台を中心とした光による結界が張られる。


「これで魔王は大灯台に侵入することができなくなった。ワシらは安泰じゃ」


それを聞いて枢機卿たちはほっとするが、一人の年老いた者が尋ねる。


「し、しかし、結界の外にいる騎士や市民たちはどうなるのでしょうか」


その問いかけに、教皇は残酷な笑みを浮かべた。


「知らぬ。だが、外に居る者たちを虐殺するために、必ず魔王は現れる。そこを光の矢で狙いうちにするのじゃ」


教皇は、騎士や市民たちを囮にして、安全な場所から魔王を倒す作戦を練っていた。


「おお、さすがは教皇様」


「それなら、確実に勝てますな」


それを聞いて、枢機卿たちは安心するのだった。



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[一言] ラットが死んだ
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