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42 助けに向かう

 大量の魔物たちが倒されてしまったその日の夜。


 リーナたちが寝静まった頃だ。


 ヒヨコ亭にて俺が制御の特訓をしていると、1階の方から聞き覚えのある声が聞こえてきた。


 正確に言えば、俺の耳が声を拾ったといえばいいのかな?


 これも多分、俺のステータスとかが理由で、とりあえずの範囲は聞こえてくるのだと思っている。


 「ナツナギさんを呼んでくれませんか!」


 「いや、たとえ誰であろうと、こんな時間帯に来られても無理なものは無理なんです」


 「そこをどうか。本当にお願いしますっ!」


 「あ、頭を下げられましても……」


 「えーっと、どうかされたんですか?」


 「あ、ナギルくん。冒険者ギルドで働いてるっていうウサギ・シルエットさんが話さないといけないことがあるみたいで」


 「あ、あの! ナツナギさん、こんな時間で本当に申し訳ないんですけど、話を聞いてくれませんか?!」


 「まあ、全然大丈夫ですよ? とりあえず中に入りません?」


 「じゃあ、飲み物を持ってくるから、ナギルくんは彼女をテーブルの方へ連れて行っといてね」


 「いえいえ、わざわざありがとうございます」


 「あ、ありがとうございます! 本当にっ!!」


 ペコペコ頭を下げてお礼をしてくるウサギ。


 なんだろう、この光景を見ているとウサギって名前がなんていうか、行動とは真逆に感じてきたんだけれど。


 いや、そんなことを考えるよりも今は、ウサギがなんでこんな時間に俺に用事があるのかを聞かなくちゃいけないんだ。


 「はい、飲み物どうぞ」


 俺とウサギが席に着くと同時に、フィナがコップに注いだ飲み物をテーブルへと持ってきてくれた。


 「フィナさん、ありがとうございます」


 「あ、ありがとうございますっ!」


 ものすごく焦って走っていたのだろう、フィナが持ってきてくれた飲み物を一気に口の中に流し込んでいく。


 これは、光魔法を使って体の方の回復をさせてあげないといけないかもしれないな。


 というわけで、本題に入る前に光魔法の回復の魔法をウサギに使うことにした。


 「え、あ、ありがとうございます!」


 「いえいえ、気にしないでください。それでウサギさんの聞いてほしい話っていうものは何ですか?」


 俺のその言葉を聞いてウサギはハッと我に戻る。


 「そうです! ウイゴーンさんが冒険者の皆さんを緊急招集させて、ナツナギさんが大量の魔物を倒した場所へ向かったんです!!」


 少し早口だったが、何を言っているかは理解することができた。


 「あの、それはどういうことですか? 俺はその森でちゃんと大量の魔物を倒して、原因だったものも破壊してきたはずなんですが」


 話が見えてこない。


 たしかに俺は今日、森へ向かい、情報にあった大量の魔物たちを倒して、紫色の石を破壊した。


 「はい、その通りです。ですが、その場所に向かった冒険者の2人がまた大量の魔物が現れたと報告をしてきたんです。その他にも黒いローブを身に纏っている人たちもいたという報告もありました」


 なるほど……大体理解できてきたぞ。


 だけど、なぜこんな時間に?


 それにウイゴーンはなんでこんなことを俺に言ってくれなかったんだ?


 考えようにも全くわからない。


 でもやっぱり、これは俺もそこに向かわないといけないよね。


 そうやって俺が考えていると、


 「あの、それでなんです! ウイゴーンさんや他の冒険者の人たち、この場所を守ってください!! お願いします!!!」


 ウサギが席から立って、必死に頭を下げてきてお願いをしてきたのである。


 「ちょっ、ウサギさん! 頭を上げてください!」


 さすがの俺も戸惑ってしまう。


 しかしだ、ここまでされるとこの話を受け入れるしかないと思う。


 いや、この話を聞いた時点で覚悟はできていた。


 色々お世話になったウイゴーンに死なれてしまっては俺でも困るが、まあ、そのくらいで死ぬとは思えない。


 だけど、ウサギの話にもあった黒いローブに身に纏っているという存在が俺の脳が危ないと信号を出してきている。


 今は、こんな命令をしてくれた脳に従うべきだ。


 「ウサギさん大丈夫ですから、頭を上げてください。ちゃんとウイゴーンや他の冒険者の人たちをここに連れて戻ってくるので」


 「ほ、本当ですか?」


 「本当です。嘘じゃないです」


 「ありがとうございます!」


 ウサギはどこか嬉しそうになりながら、涙を瞳からこぼした。


 「あ、あれ、どうして私泣いてるんだろ……?」


 そんな泣いているウサギを見て、俺は心のどこかでホッとしてしまった。


 どうしてホッとしてしまったのかはわからないが、ウサギは人のために一生懸命になってくれているような気がした、かもしれない。


 俺自身もわかっていないんだから、ホッとしてしまった理由なんかわからない。


 それから俺は、


 「ということなので、こんな時間帯ですけどリーナのことよろしくお願いします、フィナさん」


 「はい、リーナちゃんのためにちゃんと帰ってくるんですよ」


 「よろしくお願いします、ナツナギさん」


 フィナさんに状況の説明をした後に、リーナのことを頼んで、ウサギによろしく頼まれたのだった。


 それと今回はエルを連れていくことにした。

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