33 二人の女神は見守る
休憩回的な感じですね。
三人称です。
ナギルとゴブリン・キングが対面しようとしている頃、神界ではシルテとアステルがお茶のようなことをしていた。
そんなお茶をしている最中、不意にテーブルの上の空間が歪んで一人の人物が映る。
「ん? あれってナギルくんだよね?」
クッキーを食べようとしていたアステルが、シルテをつつきながら口にした。
「ナギルが?」
作業をしていたシルテだったが、アステルにつつかれてしまったので手を止めて確認をしてみる。
「あ! 本当だ!」
映っているナギルをしっかりと確認するかのようにして、そこへ体を近づけた。
しかしその数秒後、
「んー、ナギルは何してんだろう?」
首をかしげながら口にした。
「なんだろうねー」
アステルもシルテのその言葉に釣られて、同じことを口にしてしまう。
そこからしばらく見ていたシルテとアステルだったが、分かったことは、ゴブリンを倒しているということだけだった。
そういうことで、シルテは見ることを止めて今までしていた作業の残りの続きを始めることになるのだ。
それからまたしばらくの時間がたった頃、作業を終えたシルテもお茶をしていた。
「アステル、……あなたって……暇人……なの?」
クッキーを手に取って口の中に放り込むと、もぐもぐしながらアステルにそう尋ねる。
アステルもまたクッキーを一枚頬張ると、
「……んー、どうだろう……ねー。正直……暇人なの……かも」
もぐもぐしながらシルテの問いに答えた。
お茶を口に含んで、なくなった水分を復活させる。
「そうよね。……だってアステル、毎回私のところに来るじゃない」
「そ、それはそうだけど」
事実を言われてしまったアステルは、何も言い返せずに黙り込む。
「別に誰かに言おうとしないわよ。私たち昔からの親友だしね」
その言葉を聞くと同時に、黙り込んでいたアステルは一気に笑顔になった。
「ありがとね、シルテ!」
そしてアステルはイスから立ち上がると、飛ぶようにしてシルテの横に移動をして、両手で手を握った。
「ち、ちょっと、こぼれちゃう」
片手にお茶の入ったカップを持っていたシルテは、少し驚きながら言い返す。
そんな時だった。
テーブルの上に映っていたナギルが、ゴブリン・キングと遭遇してしまったのである。
「「え!?」」
何が起こったのかわからなくなってしまったシルテとアステルは、同時に同じ言葉を口から出して驚く。
しかし驚いてしまったところで、何かが変わるわけではないのだ。
驚いてしまっても、目の前で起こっていることは変わったりしない。
なので、シルテとアステルは何かをするわけでもなく、黙ってナギルとゴブリン・キングの戦いを見守ることになる。
だが、そんな戦いを見ていたアステルが口を開いた。
「ナギルくんのあの力、制御があまりできてないように見えるけど?」
それに続けて、
「私もそう思う。今のナギルからすると、大きすぎて強すぎてまともに制御ができてないみたい」
賛成の意見をシルテは述べる。
そこから十分も経たないうちに、ナギルはゴブリン・キングを難なく倒してしまった。
ただ、その戦いを見ていたシルテとアステルからすれば、少しどころか、下手すれば世界を崩壊させてしまうのではないのだろうかと考えていた。
「あれはちゃんと制御しないとダメみたいね」
「うん。あとでここに呼ぶことにするわ」
「ということは、私は抜けておいた方がいいよね」
そんなアステルの言葉に、
「いや、制御の方法の伝授だから、これはアステルに任せることにする」
そう言い返すシルテ。
それから色々話し合いをしていった結果、シルテとアステルは、ナギルに力の制御の方法を伝授することにしたのだった。
第31話では一人称に戻ります。




