32 どうにかしてみる
遅くなりました
目の前に映っているとてつもなく大きなゴブリン・キングを見ながら、俺は同じことをもう一度大声で、
「これアクシデントだよね?絶対!」
大事なことだと思うからもう一度口にしちゃった。
でもなぁー、なんというか、倒せないという気持ちが俺の中にはまったく出てこない。
正直に言ってしまえば、今の俺はこのゴブリン・キングを前にしても負ける気がないということなのである。
何故かと言えば、エルと戦って普通に勝ってしまっているからだ。
そういうことで、今目の前にいるゴブリン・キングに対して、俺の中には絶対勝てるというそんな気持ちがあった。
「ふぅー」
とりあえず色々と落ち着くために、深呼吸を。
しかしそんなことをしている間にもゴブリン・キングは、自分で跡形もなく潰してしまったゴブリンの死骸から視線を外すと、俺の方をゆっくりと向いてくる。
「倒すとするか」
落ち着きながら口にすると、再びゴブリン・キングに向けて剣をしっかりと構える。
すると、ゴブリン・キングはそんな風に剣を構えた俺を見ながら、
「ギャアアアアアアアアア!!!!!」
叫び声を上げてきた。
そんな威圧が感じられそうな叫び声を聞いても、特にビビろうともしない。
まあ、たんなる慣れなのかもしれない。
叫び声を上げたゴブリン・キングは、俺の方へと突進をしてくる。
それと同時に俺も地面がえぐれるくらい思い切り蹴って、ゴブリン・キングの方へ突っ込んだ。
俺とゴブリン・キングは同時に動いているので、距離は一気に狭まってしまう。
「――ッ!?」
まさかこうなってしまうとは、ゴブリン・キングは予想していなかったらしい。
ま、そんなことなど俺からすればどうでもいいことなので、無視して斬らせてもらうとしよう。
【滅多刺し】を使って倒せれるかどうかわからないので、違うスキルを使うとしよう。
「【二段切り】」
そう口にすると、すでに目の前にいたゴブリン・キングの腹付近を剣で二回斬った。
俺の剣は、滑らかにゴブリン・キングの腹付近を斬り、斬られてしまったところから大量の血が溢れ出る。
正直言って力の差はまったくなかったと思っているので、腹付近を斬られてしまったゴブリン・キングは、力が抜けるかのようにして前へと倒れこんできた。
「おっと」
さすがにこのままゴブリン・キングの前にいるのは危なかったのでバックステップで後ろに回避する。
後ろに回避すると、ゴブリン・キングは力なく前へと落ちていき、地面に倒れこんだ。
んー、あとは死んでるかどうかの確認だけかな。
「【自動解体】」
その声に反応して、ゴブリン・キングの体からは光が出てくる。
【自動解体】が反応したということは、ちゃんと死んでいるみたいだ。
そしてその数秒後には光は収まり、ゴブリン・キングの死体があった場所には、ゴブリン・キングの大きな頭と大きな牙二本が残っていた。
「ふぅー」
血で汚れている剣を水魔法を使って綺麗にしながら、ため息をつく。
「なんていうか……どうにかなったみたいだな」
綺麗にし終わった剣を鞘に戻しながら俺は、口にするのだった。




