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24 再会

遅くなりました。

 受付嬢がカウンターから離れて、またカウンターに戻ってくるのはあっという間だった。


 そして今は、受付嬢に連れられて、とあるドアの前に立っている。


 すると、受付嬢がドアを三回ノックした。


 「どうした?」


 扉の向こうから、男性の声が聞こえてくる。どこかで聞き覚えのある声だ。


 「ウイゴーンさん。ナギル・ナツナギさんを連れてきました」


 「おぉ、そうなのか。ナツナギくんをこの中に入れていいぞ」


 そんなドアの向こうから帰ってきた声を聞くなり、受付嬢はドアを開いた。


 そして、俺に中に入るように言ってくる。


 「……失礼します」


 中に入ってみると、そこはまあ、色々なものが置かれている部屋だった。


 なにより、部屋の奥にあるテーブルのところに見覚えしかない男性がイスに座っていたのである。


 「久しぶりだね、ナツナギくん」


 イスに座っていたドリルバさんは立ちあがると、ソファーの方に再び座る。


 俺にも、座るように手招きをしてくる。


 「えー、お久しぶりです。ドリルバさん」


 座りながら、俺はそう言い返した。


 しかし、今話してみて一つ妙な点が生まれてしまった。


 「いやぁー、まさかこんなに早く来てくれるとは思ってもなかったよ」


 そして、生まれてしまった一つ妙な点が、どういった妙な点なのかはっきりと分かってしまった。


 それは、どう考えてもシルルテ村での仮試験で感じられた妙にピリピリとした感覚。話している時の口調が、その感覚を感じさせてきていた。


 だが、今話してみると、その時感じたピリピリとした感覚が全く感じられないのである。


 さすがのこの妙な点をはっきりさせたくなってしまい、


 「あのー、仮試験の時の口調とは全く違う感じがするんですけど……」


 ドリルバさんに聞いてしまった。


 それを聞いたドリルバさんは一瞬首をかしげるも、すぐに口を開いてきた。


 「あぁー、そのことか! あれは……なんというか、演技だよ。特に演技をする理由はなかったんだけど、ギルドマスターをやってるからこんな親しみのある口調だと、逆に不安にさせるかなと思ってしまってね。だから仮試験の時は、親しみのない口調で話してたんだ」


 へぇー。だから、こんな妙な点が俺の中で生まれてしまったのか。


 一つの妙な点を解決できたことにより、俺の中にあったその妙な点は綺麗さっぱりとなくなってくれた。


 「――ギルドマスターなんですかっ!?」


 そして気が付いた時には、ドリルバさんがギルドマスターをやっていたということに驚いてしまっていた。


 いや、なんというかここに来たときからそういう感じなのかなぁーって、そんな感じのことは軽く思っていたのだが、まさか本当にそういう感じだったとは予想外だ。


 「ん? そうだよ」


 ドリルバさんは、笑いながらそう言ってきたのであった。




 その後の話をしよう。ウイゴーンさんがギルドマスターであると分かった後、お茶をしていた。なんでも、ウイゴーンさんがいつも仕事中に飲んでいる一番おいしいお茶なんだとか。それと早めの昼飯も食べた。ウイゴーンさんのおごりである。めちゃくちゃおいしかった。


 で、最後になるのだが、ドリルバさん呼びからウイゴーンさん呼びになった。理由はわからんが、これからよろしくみたいな感じで。


 それにウイゴーンさんもナツナギくん呼びからナギルくん呼びになったな。そういうことで、ギルドマスター室や冒険者ギルドの外では色々あったのである。


 ◇


 ウイゴーンさんと別れてから、俺はリーとエルを連れて冒険者ギルドでクエストを選んでいた。


 まあ、これからここ王都ギルバデンスで生活をしていかないわけで、生活するお金は自分だけで集めなくてはならないのである。そういうわけで、これから俺は受けるクエストを選ばなくてはならんのだ。


 それと、ウイゴーンさんから一日二回くらいはクエスト受けとけよってお茶したときに強く言われた。あ、受けるだけではなくて成功させなくてはならんのだがな。


 「んー、どういったのが良いんだろうなぁー。魔物の名前らしいけど、わからないから受けたくもないな」


 クエスト掲示板にあるクエストを見ることしばらく、遂に俺は、意味がわからなくても俺でも分かるだろうクエストを見つけることが出来た。


 「よし。薬草採取のクエストを受けよう!」


 「主! 本当にそれ受けるのか⁉」


 クエスト掲示板から薬草採取のクエストを取ると同時に、エルがそんなことを聞いてきたのだ。


 「そうだけど?」


 んー、なにか問題があっただろうか……。


 「いや、主がそれでいいなら文句はないぜ」


 そんなことを思っていると、エルは何もなかったかのように言ってきた。そうか。何もないのか。


 そうと決まれば、このクエストを受けなくてはならないな。


 そして俺は、薬草採取のクエストを手に持ってカウンターに歩いて行ったのだった。


 「すみません、これを受けたいんですけど」


 「はい。それでは、そのクエストと冒険者資格証を渡してください」


 「あ、はい」


 そう言われて、俺はクエスト掲示板から持ってきた薬草採取のクエストと、俺とリーナの冒険者資格証をカウンターにいる受付嬢へ渡す。


 そこからしばらくしてから、


 「それではこちらをどうぞ」


 「ありがとうございます」


 受付嬢は、俺が受けるクエストと二人分の冒険者資格証を返してきた。俺は、それを受け取りながらお礼の言葉を口にした。


 えーっと、俺がこれから向かわなければいけないところは、このクエストに書かれているので大丈夫だろう。とりあえずは、王都ギルバデンスの外にあるって書いてあるから、王都ギルバデンスの外に出ようかな。


 冒険者ギルドを出た俺は、リーナを連れて王都ギルバデンスの門に向かって歩いて行く。


 「冒険者か?」


 「これからクエストです」


 「そうか、気を付けて行って来いよ」


 「はい。ありがとうございます」


 門のところには男性の門番が立っており、王都ギルバデンスの外に出ていこうとしていたからか声を掛けてくれた。リーナにはほっこりとした笑顔をしてくれて、なんというか良い大人なんだなと思ってしまった。


 門を通っている途中、俺の肩に乗っているエルを二度見して目をキラキラさせながら一度触らせてくれと言ってきた。リーナにほっこりとした笑顔をしてくれた良い大人なんだと思ったので、一度だけ触っていいことを許した。エルは嫌がっていたが、今度美味しいものを食べさせると言ったら、黙ってしたがってくれたのでどうにか出来たみたいだ。


 しかし、今度美味しいものを食べさせると言ったが、どういうものを食べさせようかなー。


そんな感じのことを考えているうちに、王都ギルバデンスの外に出ていた。


 「次はどうするんだ」


 クエストを見て、この後どうするのかを確認する。あー、んー、え、そうなのか!


 クエストに載っている情報によると、薬草は王都ギルバデンス外の平原一帯に生えているのだろうか。要するに、俺の視界いっぱいに広がっている平原一帯が大体薬草なのだということ。だが、俺の受けているクエストには、薬草の品質というものが載っていた。


 とりあえず、その薬草の品質というものを確認してみよう。


 えー、そうなのか。いやー、結構難しくないか……? そもそもの話なのだが、薬草の品質の見分け方が意味不明だ。どうして意味不明なのかと言うと、薬草の品質が一定以上なければならないということ。


 ただ、そこで俺は詰んでしまっている。だって、一定以上というものがどれくらいの基準にしているのかがわからないからである。


 しかし、諦めて冒険者ギルドに戻ったりしては、なんかいちゃもん付けられそうな気がするので、ここは戻らないでおこう。


 ……どうするべきか……。


 少し考えていると、突然頭の中にある考えが浮かんだ。それを、試す。といっても、エルに聞くだけなんだがな。


 「なぁエル、薬草の品質ってのがどういうのか分かる?」


 頭の上で静かになっていたエルは、俺の声を聞くなりして、ウズウズと動き出した。


 「……うぅぅん、わからんな。そもそも森から一度も出たことがないから、そんな知識は持ってない。オレからしてみれば、薬草なんてただの草だしなぁー」


 「そうなのか」


 うん、エルも知らなかったみたいだ。そもそも、薬草を使うことがないらしい!


 そうと決まれば――ここの平原の中にある草の中から一番綺麗きれいな草もとい薬草を見つけるとしようか。


 そして、このクエストで俺が採取さいしゅしなくてはいけない薬草の数は、十五本。さぁ、綺麗な草もとい薬草を十五本採取を始めるとするか!


 「パパ、私も手伝う!」


 始めようとしたと同時に、リーナがそんなことを言ってきたのである。さすがに、リーナが俺の手伝いを自分から進んでしようとしてくれたのは、予想もしていいなかった。なので、結構驚いてしまっている。


 「本当なのか?」


 「うん!」


 俺の問いに、元気に答えてくれるリーナ。


 まさか本当に、手伝ってくれるなんてな……!


 「それじゃあ、この草の中から自分が一番綺麗だと思った草を十五本集めてくれない」


 「分かった!」


 俺の言ったことに元気良く反応を示すと、リーナはその場で座り込んで草の中から一番綺麗な草もとい薬草を探し始めた。


 俺も薬草を十五本探さないとな。そう思いながら、頭の上で気持ちよさそうに眠っているエルを地面に下ろして、その場に座り込んで綺麗な草もとい薬草を探し始めるのだった。そういや、チワワより小さい小型狼のエルを頭に乗せてた俺って、もしかしてヤバいのだろうか?




 王都ギルバデンスの外の平原にて、綺麗な草もとい薬草を十五本探していた俺とリーナ。エルはずっと寝てた。


 結果から言うと、綺麗な草もとい薬草を十五本集め終わった。あ、俺とリーナが集めたのを合わせて、三十本あるのか。


 そして話を戻すが、今は王都ギルバデンスに戻って冒険者ギルドにクエストの報告をしに来ている最中だ。受付嬢の話によると、五分程待っておけばいいらしい。で、クエストの報告をしてからもう少しで五分が経過しようとしている。



 「お待たせしました。お二人の冒険者資格証をお返しします。そしてこちらが、今回のクエストの成功報酬の150オルになります」


 「ありがとうございます」


 カウンターに戻ってきた受付嬢は、二人分の冒険者資格証と成功報酬を渡していた。


 成功報酬として俺が受け取った150オル。簡単に計算すると、一本が5オル=5円という計算になる。あの平原から綺麗だと思った草もとい薬草を三十本持ってきただけで(成功した場合)これだけもらえるのは、結構ありがたい。


 しかし、一定以上ってのはどれくらいだったのだろうか。とりあえずは、今日か明日のうちにでもそこをどこかで調べておかないといけないかな。


 「それじゃあ、リーナ戻ろうか」


 「うん! お腹空いた!」


 「オレもだ、主」


 「いや、エルは寝てただけじゃないか」


 冒険者ギルドを出ていきながら、俺とリーナとエルはそんな会話をしたのであった。


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