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12 話を聞く

 今日も夢の中でシルテ様と話すのかと思っていたのだけれど、今日は違ったらしい。


 話しかけても来なかったから、忙しかったのだろう。


 ただ、俺は一日中暇ではあったものの、することがなかったのでリーナちゃんとずっと一緒にいた。


 まあ、リーナちゃん以外の子どもたちともいたのだけれど。何かをしたの? と、そう聞かれたら答えることはなくて、何もしていない。


 ただ、夜になるまでずっと一緒にいた、そんな感じである。


 ◇


 時間が経つのは、凄く早かった。


 そして今は、夜である。第二ラウンド的なもの、昨日やったものと似たようなものの第二ラウンド目をやっている最中だ。


「子供の相手、疲れるだろ?」


 すぐ隣で座っていたフォンさんがそんなことを訪ねてきた。


「全然疲れてないですよ。むしろ、楽しかったくらいですから」


 嘘はついていない。まあ、疲れてはいないのだが、大変だったとは思っている。


 朝起きてからそこから昼まではリーナちゃんと二人きりだったのだけれども、さっきも言った通り昼から夜くらいまでは子供たちの相手をしていた。


 面白い話を迫られてしまったものだからどうにか思い出した派内をしたのだけれど、大変嬉しがってもらうことが出来たのでやって良かったと思っている。


 リーナちゃんも喜んでいたので良かった。


「そうかそうか。やっぱり若いってのは良いよな」


 俺の答えを聞けたからか、フォンさんは嬉しそうにして、俺の背中をバンバンと叩いてくる。


「……はぁ」


 フォンさんは大人の男性なので叩く力ら子どもよりも強い。すなわち、痛いのだ。


 ただ、お酒が入っているためか毎回の痛みの加減的なものが違う。


 すると、


「お? 何話してるんだ?」


 同じようにお酒が入っている絡んだこともないシルルテ村の住人である男性が近づいてきた。


「あ? コリバンか。ナギル君はな、子どもの相手をしてたんだぜ」


「ん? ということは、君が噂の旅人君なのか」


「はい、初めまして」


 男性――コリバンさん、と名前を呼ばれたコリバンさん。


 お酒が入っているので、フォンさんと同じように俺の背中を叩いてくる。


「どうだい、シルルテ村は良いところしかないだろう?」


 叩いてきながら聞いてくるコリバンさん。


「はい。本当良いところです。みんな楽しそうにしていて、子どもたちも元気いっぱいで」


 この村に来て二度目か三度目くらいの質問に俺は、周りに広がっていた今の光景を見ながら言い返す。


「そうだろー。そうだろ」


 コリバンさんは俺の返した言葉を聞くと、そう言いながら上機嫌になっていった。そんなことをしていると、村長のステフォさんがやって来た。


「こんばんは、ナギルさん」


 村長でもあるのにこんな時間帯まで村の住人達をしっかり見守っているステフォさん、俺から見てみると少し疲れているようにも見える。


「こんばんは、ステフォさん。あの、疲れているようにも見えますが、大丈夫ですか?」


 そんな些細なことにまで気づき、その事について聞いていた俺の発言を聞いたステフォさんの顔が一瞬驚いてしまう。


「おお、そんなことを分かられてしまうとは、さすがですな。まあ、ナギルさんの言う通りここ最近することが溜まっていたもので、それを消費させていたら夜遅くまで起きておかないといけない事態になってしまったんです。それに村の食事もどうにかしないといけないという事態もあるものですか……」


「そうなんですか」


やはり疲れていたみたいである。目の下に隈があったから。歳というものがあるというのに夜遅くまで村のためと住人達のためにここまでするのってさすがだと思えてしまう。


 こんなステフォさんという村長がこの村にいるからこそ、このシルルテ村は活気の溢れている村なのだろう。


 だが、さすがにそこまでしていると危ないのではないのではないだろうか。


 いつになるかわからないが、このままそんなことを続けることになるといつか命を落としてしまうことにはなりかねないだろうな。


をそうでした。今日はナギルさんにリーナの事をちゃんと話しておこうと思ってまして」


 ステフォさんがリーナちゃんに関する話をしてきたいと言ってきた。


 それを聞いて俺は、俺の膝に頭を置いて静かに気持ちよさそうに寝ているリーナちゃんへ視線を落とした。


「それはどういった話なんですか?」


「そうですねー。私も知りえない話なのですが、唯一私が一つだけ知っている話をするって感じですかね」


 俺の質問にステフォさんは答えた。


 リーナちゃんの話か。んー、まだあったばっかりだが、一応聞いておいた方が良いのかもしれないな。

 

 そう思った俺は、


「話してもらってもいいですか?」


 ステフォさんそう尋ねる。


「はい。元からそのつもりでしたので」


 そしてステフォさんはそう口にすると、そのままリーナちゃんの話に入っていく。


「リーナは元々この村――シルテ様テ村の子ではないという事については前回話しましたね?」

 「はい」


 俺は短く答える。


 「リーナはですね、少し前に村の人たちが外に狩りをしに行った時に見つけてきたんです。放置するのもどうかと思った狩りに出かけていた人たちは、そのまま連れて帰ってきました。この村に来た当時は、口を開こうともしませんでしたが、今は少しだけ話せるようになりました。ですが、話せるようになったと言ってもついこの間、ナギルさんがこの村にやって来て、リーナと初めて会った時です」


 そのままステフォさんは口を開いて、


「正直、驚いて仕方ありませんでした」


 リーナちゃんがこの村の出身ではないという事は、以前にステフォさんから話してもらっていた。それに俺と一緒にいる時点で親がいない、ということには考えが上がってしまっていた。


 だけれども、口を開いて話せるようになったというものには、俺も驚いている。


 いやだって、俺ってリーナちゃんの父親とか兄とかっていう存在じゃないし。だから、俺も驚いている。


「口を開いて話をした日から、リーナはナギルさんのところに行くようになって、昨日の時点ではもう一緒に寝ている。そんなことを知れた私は、凄く嬉しかったです……!」


 村長が力強く言うと、


「「うんうん。うんうん」」


 ステフォさんの話を聞いていたフォンさんとコリバンさんが、うんうんと連呼しながら、頷いている。


「それで私から提案なんですが……ナギルさんには、リーナの父親になってもらいたい」


 俺の目を見てステフォさんが言ってくる。

 

 父親……父親かぁー。


「父親、ですか……」


 口に出してそう言った俺は、そのまま黙り込んでしまった。こんな俺がリーナちゃんちゃんの父親になっても良いのだろうか? 


 異世界の知識なんてこれっぽっちも、ゼロに等しいこんな俺がリーナちゃんちゃんの父親に慣れるのだろうか?


 正直、難しい。

 

 そもそもこんなにも年齢の離れている子ども、それも女の子の面倒を一生見れるのだろうか?  それに関しても、俺には難しすぎる話だろうと思う。


 女の子じゃなくて男の子なら、少しはどうにかすることは出来たのだろうけれど、女の子の面倒を一生は、難しいだろうな。


 しかし、困ってしまった。ステフォさんは、俺にリーナちゃんちゃんの父親になってほしいと言っている。そしてこの村に住む人たちに仲良くしてもらって、家も借りている。


 それなのに、このお願いを聞かないというのか。


 必死にどうすればいいのか考えるも――

 ……。

 …………。

 ………………。

 ――答えは一向に出てこなかった。


 そんな一生答えの出てこないだろうと思われることしていると、


「そんなの悩むもんじゃないだろう? ナギル君は、しっかり父親になれると思うぜ」


 さっきよりもお酒の入っているフォンさんが俺の背中を叩いてきながら、そう言ってきた。


 そのまま続けて、


「なんてったって、俺とミドルとオーンが感激した立派な青年であり、男だからな!」


 頭に手を置くと、わしゃわしゃとしてくる。


「……立派な青年ですか……?」


 今日まで俺を見てきて、なんでそんなことを思えるのかと思ってしまったのだけれど、そんなフォンさんの言葉でどこからともなく体のどこからか、リーナちゃんの父親になれるという、そんな自信が出てきてしまった。


 どうしてそんなものが出てきてしまったのかは俺にはわからないだが、きっとフォンさん言ってくれた言葉のおかげだろうな。


「ああ。そうだ」


 そう言いながらフォンさんがお酒のせいか、座ったまま眠りに入っていった。


 そして俺は改めて決めた。


「分かりました、ステフォさん。俺、リーナちゃんの父親になりたいと思います」


 そんな答えを聞くことの出来たステフォさんが、


 「おおぉぉぉーーー、そうですか! では、リーナちゃんの事をよろしくお願いします」

 「はい、任せてください!」


 リーナちゃんちゃんの父親になる、それを心に決めた俺は、力強くそう口にしたのだった。

 その後、ステフォさんは寝るために家へ戻って行くのであった。


 ◇


 第二ラウンド的なものがそんな感じで終わったと思われていたのだけれども、すぐに第三ラウンドが始まってしまった。

 第三ラウンドでやったことは、簡単に言うと、シルテ様の森ではない森に存在している怪物の話だった。


 なんでもその森に存在している怪物は、滅多に外――暮らしている洞窟の中から姿を現さないのだとか。

 そしてその森に怪物がいるせいなのか、動物やモンスターが全く生息していないのだとか。

 なのでシルテ様テ村の人たちもその森に行くことはあまりないのだけれど、たまに行くらしい。


 それでなんでこんな話をしたのかというと、怪物が結構ヤバいモンスターなんだって。

 見たことはないらしいのだけれども、この村に一度やって来た冒険者がその怪物を倒すために情報を聞きに来て、その森に行ったらしい。

 それと村には一つの言い伝え――森に存在している怪物を怒らせてはいけないと書いてあるらしい。詳しくはわからないのだとか。


 で、怪物を倒しに行った冒険者はそれから何日しても帰ってこなかった。

 そういうわけで、預かっていた物などはそのまま村にある保管庫的なところに入れておいたのだとか。


 そこからしばらく時間が経って、冒険者ギルドからやって来た職員と冒険者の人が、その帰ってこなかった冒険者の人の荷物を回収しに来た。


 そしてここから考えられるものは、その冒険者は死んでしまったという事だ。


 ということで、その森には近づかないようになっているのだけれども、洞窟に入らなければその怪物に殺されることはない。

 怪物だって、殺したくて殺しているわけではない。


 まあ、そんな感じで話を聞いて、第三ラウンドは幕を閉じたのであった。

 その後俺は、リーナちゃんちゃんを連れて家へと戻って行ったのだった。

 それとだが、リーナちゃんちゃん――リーナちゃんの父親になるために何をすればいいの考えていたら、いつの間に眠っていた。


ありがとうございました。

最後の方が読みにくいと思われたと思いますが、僕も書いてて「?」ってなりました。

ですが、読んでもらえてありがたいです。

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