転生死神、神を半ギレまで追い詰める
「はぁ?」
おじいさんの言葉に俺は思わず間の抜けた声で聞き返した。
(死んだって...いや、俺...えぇ? つまり、俺は死んだってことは、つまり、アレだろ? ということは...はぁ?)
俺の頭は混乱しすぎてもう爆発しそうだった。同じ疑問が延々と頭の中でグルグルと回り続けている。どれくらいかって、回る椅子に乗っかった子供と同じくらい回り続けている。
「俺が死んだぁ? なに適当言ってんだよ。俺は今生きてちゃんとここにいるじゃねえかよ。死体がしゃべるか、おい。」
俺がそう捲し立てると、おじいさんが目を丸くして俺を見た。俺は何か変なことを言ったのだろうか。
俺が不思議そうな表情をしていると、おずおずとおじいさんは言ってきた。
「なあ、お主。それは本気で言っとるのか?」
「ああ、もちろんさ。っていうか誰がこんなことで嘘つくんだよ。」
俺がそう答えるとおじいさんはさらに驚いたような表情になった。だからどこで俺が変なことを言ったんだって。
やがて、おじいさんは「本当に気付かなかったのか」とかなんとか呟いた。そして、納得したような素振りをした後に口を開いた。
「なるほどな。だからお主は『どうして俺がここにいるんだ』とか聞いたわけじゃ。まあ本当に知らんのじゃったら当然の疑問じゃな。」
俺がなおも不思議そうな顔をすると、おじいさんは「やれやれ」とため息をつきながら懐をごそごそやりだした。なんなのだろうか。腹が痒いのだろうか。
「まあ、わしがさっき言った通りお主は死んだんじゃ。信じれんようならばほれ、この生死検知器を使ってみ。その生死検知器を自分に向けて横の赤いボタンがあるじゃろ? そのボタンを押してピーッと鳴らなければ生きてるっていうことじゃ。」
そう言っておじいさんは懐から毒々しい色をした変なものを出した。その生死検知器とやらは、なんというか横についているボタンがなければ男がいろいろと発散するときに使うアレのような形に見えるのだが、それは俺の気のせいだろうか。
その卑猥な形をした検知器の正面(多分)を俺のほうに向けて、おじいさんに言われた通りにボタンを押した。
すると、短く「ピーッ」と鳴った。
「...おいじーさん。鳴るじゃねえかよ。なんで鳴るんだよ。」
「そりゃお主、死んどるからじゃよ。」
「嘘つけ! もしかしたらこの機械が壊れてるかもしれねえじゃねえか! 何ならじいさんやってみろ!」
俺がそう言うと、おじいさんは渋々といった感じで生死検知器を自分に向けるとボタンを押した。
その光景は見てるほうとしては「アレを自分に向けるじーさん」といった感じでなかなかにシュールだった。
「...ほら、鳴らなかったじゃろ?」
検知器を自分に向けたおじいさんを凝視していた俺におじいさんは顔を赤くしながら俺にそんなことを言ってきた。やはりおじいさんもアレっぽいと思っていたようだ。
「...なんでそんな形にしたの?」
「ゴホン。どうじゃ、鳴らなかったじゃろ?」
俺がそう聞こうとするとおじいさんが遮ろうとした。どうやらこのことはおじいさんにとっては黒歴史的なもののようだ。まあ俺にも似たような歴史があったりするんだからこれ以上は聞かないでおこう。
「これで、お主は死んだってことが分かったじゃろ? 分かったならわしに説明を続けさせてくれ。こんなことやってたら話が進まん。」
「いや、じーさんがなんかズルしたかもしれねーじゃん。」
「だあああああ、ここまで往生際悪い奴は初めてじゃ! お主の両親はどうやってこんな捻くれた奴に育てたんじゃ?」
「ニートを許し続けただけじゃね?」
「それか!! というかお主はもう黙っておれ!」
(やばい。今更だがこのおじいさんツッコミのセンスがありすぎるぞ。)
俺がそんなくだらないことを考えながらおじいさんに言われた通りに黙っているとおじいさんが「やっと黙ったかの、この野郎」と半ギレで悪態をついた後説明を続けた。
「それで、まあお主は死んだわけじゃがお主の死はかなり世界のルート分岐に繋がっていてな。この後お主をわしがどうするかによって別の世界の結末がかなり変わるようじゃ。」
「すまん。俺ちょっと聞きたいんだが俺の死因ってなんなの? 教えてくれや。」
俺がそう口を挟むと、おじいさんの表情が一気に歪んだ。
「それ、わしが教えなきゃならんのか?」
「いやあ、じーさん以外に誰に聞けっていうんだよ。この空間には多分だけどじーさんしかいないんだろ? それじゃあじーさんに聞かなきゃならないじゃん。」
俺がそう言い返すとおじいさんはさらに顔を歪める。その顔は、まさにブルドックの成りそこないのような顔だ。
というか、俺の死因を言うのがそんなに嫌か。
「あのさあ。俺もそんなに渋られると無理にでも聞きたくなってくるんだわ。じーさんも分かるだろ? お?」
俺がそう急かすと、おじいさんは頭を抱えて唸りながら猛烈なシンキング状態に入った。なんというか甲羅に籠った亀のようだ。というか、そこまで悩むほどとは、自分から聞いておきながら怖くなってきたぞ。
やがて、決心がついたようにおじいさんが顔を上げ、「後悔しても知らんぞ」と言ってからそしてゆっくりと話し始めた。
「本当に嫌じゃが、お主の死因を教えるぞ。もう一度言っておく、後悔しても知らんぞ?」
「おう。」
「...お主は部屋の中でエロゲーをやっておったじゃろ?」
「お、おう。」
俺は自分の顔が熱くなるのを感じた。エロゲーは自分でやる分には何とも思わないのだが、他人に言われると恥ずかしくなるのはなぜだ。
(神様はそんなことまで分かんのかよ。このじーさんもしかしたら1週間前俺がやったアレももしかしたら知ってんじゃねえの?)
俺がそんな黒歴史を思い出しながらも話はどんどん続いてく。
「それで、その時、お主はアレじゃ。アレをして、ああなって死んだんじゃ。」
「いや分かんねえよ。ちゃんと教えてくれよ。」
「お主、それ教える側の身にもなってくれんかの? 本当に自分じゃないと分かっていても恥ずかしくなる死に方なんじゃよ。」
「んだよそりゃ。そんなこと言われても、俺にも一応あんだろ? その、死ぬ権利だとか何とか。」
「むぅ...。」
おじいさんが明らかに不服そうな顔をして唸る。
「おいおいそんなに渋らないでくれよ。そうまで渋られると余計知りたくなっちゃうじゃねえかよ。というか早くしてくれや。」
俺がそう急かすと、おじいさんは明後日の方向を向きながらボソボソと言った。
「その後お主がエロシーンに入った後『ひゃっほう! いいよいいよいいよ! 最高だよチミィ! もう俺の息子大暴れしちゃって大変だよ!』って叫んで飛び上がり、天井に頭をぶつけたんじゃ。」
「それで?」
「...あまり言いたくないんじゃがなあ。」
「いいから早く。」
「分かった分かった。それでお主はあまりの痛さに驚いて死んだんじゃ。」
「えっ。」
俺は思わず聞き返した。
「だから言った通りじゃ。もうこれ以上言わせるな。こっちだって恥ずかしいんじゃ。」
(待て待て、そりゃどういうことだ? つまり、首の骨が折れたとかじゃなくて痛くて驚いて死んだ? ...はぁ?)
それでは3回目の混乱タイム、スタートです。
どうも、ドスパラリンチョです。
まず初めから悲しいお知らせです。データ消えました。要するにストックとか何とか。
おい落ち着け! 落ち着いて聞け! だからパソコンを殴ろうとするな!
つまりどういうことかと、しばらくただでさえ短い内容さらに短くなります。
今日はそれだけです。内容の説明? そんなもんサブタイトルのネタが尽きたくらいしかないわ。
ということで、読んでくれた方、ありがとうございました!