転生死神、リアルで死す
「どこだよここ。」
俺は目の前の光景を眺めながら俺は思わず呟いた。
俺は先ほどまで自分の部屋でエロゲーをやっていたはずだが、なぜか、俺は今畳が4枚ほど敷かれた空間にいた。
(待てよなんだここ。落ち着け俺。まず、なんで俺はここにいるんだ? まさか、誘拐だったりするのか? それともあれか? ラノベなりゲームなり漫画なりアニメなりで有名な異世界転生ってやつか?)
俺は混乱してあり得もしないことを考えていると、後ろから「ふぉっふぉっふぉ」といかにもおじいさんなりがやるような笑い声が聞こえてきた。
驚いた俺は後ろを振り向くと、そこにはいかにもおじいさんって感じのおじいさんがどこから出したのか座布団の上でせんべいをぼりぼりかじりながら座っていた。どれくらいおじいさんかって、これをおじいさんと言わない奴がいたら殴り倒して「すまん見間違ったわ。お前のほうがおじいちゃんだよこのクソ野郎」と煽るくらいにおじいさんだ。
混乱して口をパクパクさせていた俺に、そのおじいさん・ザ・おじいさんは優し気に微笑みながら口を開いた。
「お主、少々混乱してるようじゃな。まあ、この場所に来た人間のほとんどが混乱しとったからなあ。まあ、たまには混乱しない奴もおったがの。」
そうおじいさんがおじいさん言葉を使って意味不明なことを言った。
(な、なんなんだこのじーさん。こんなハイクオリティじーさん見たことねえぞ。うちのじーさんなんか俺が正月に遊びに行ったときに「ニートめ、食らえ!」なんて叫んで奇声を上げながらラリアッドをしてきたしなあ。)
俺がそんな懐かしい思い出をおじいさんを見つめながら思い出していると、おじいさんがまたもや優し気に微笑みながら何を考えたのかせんべいを差し出してきた。
「まあ、このせんべいを食べなさい。これはわしの秘伝のせんべいで、心を落ち着かせるというスグレモノじゃ。」
俺は頭を洗濯機レベルでぐるぐるさせながら、そのせんべいを受け取った。せんべいにしては少し大きく、また触ってみた感じではかなり固いようだ。
俺はまだ頭をぐるぐるさせながらせんべいを齧る。そして齧った瞬間俺はむせた。
「ぐっ、ごほっ、ごはっ! な、なんじゃこりゃ!」
「どうじゃ、うまいじゃろ?」
そのおじいさんはさっきとは違いいたずらっ子のような笑みを顔に浮かべながらニヤニヤと見てくる。こ、こいつ...。
「その味に驚いてるじゃろ? そのせんべいは1週間ほど砂糖に漬けてあってな。それだからそんなに甘いんじゃ。」
おじいさんはそんなことを説明しながらも美味しそうにせんべいをぼりぼりと齧っている。俺としては甘いものはそこまで嫌いではないのだが、それでもここまで甘いと嫌になってくるほどの甘さだ。
だが、その甘さのおかげかスーッと頭が冴えてきた。今なら俺は何をどうするべきか分かる。つまりは、某ゲームの星状態だ。
そんな星状態の俺はおじいさんに向かって今するべきことをすることにした。
「なあじいさん。ここはどこだ。教えてくれや。」
そう、俺はおじいさんの襟首をつかみ、揺さぶりながら半ばカツアゲのような体制で聞いているのである。俺の「チンピラみたいだ」と言われる顔はコンプレックスではあるのだが、こういう時にはその真価を発揮する。
俺のそのチンピラのような顔を目の前に押し付けられたおじいさんは怯えたような表情をしながら慌てたように言ってきた。
「お、落ち着け、落ち着くんじゃ! そんなに怒らないでくれ!」
俺の剣幕におびえたおじいさんがそんなことを言ってくる。
怒っているわけではないのでやはりこの顔の弊害であるのだろうが、まあ今はその顔が役に立っているので気にしないでおく。
「まあ、怒ってるわけじゃんねえんだがな。とりあえず早くここがどこか、どうして俺がここにいるのかを教えてくれや。」
俺がそう揺さぶってから手を放すと、おじいさんは襟を直しながら「こんな乱暴なのは300年ぶりだわ」とかなんとか呟いた。気にすんなそんなこと。
やがて、おじいさんは落ち着いてきたようで、ビクビクと俺を警戒しながらも言ってきた。
「ふぅ...。まず、お主がなぜここにいるかじゃあったな? だが、それを説明するには先にわしの正体を説明しておいてからのほうがいいな。」
「そんなんどうでもいいから早くしろ。」
「まあそう急かすな。どうして若者はこうもせっかちが多いんじゃろうなあ。」
おじいさんがそんなことをぼやきながらどこからかちゃぶ台と湯呑を2本と急須を出した。おじいさんがその急須をちゃぶ台の上にのっけると、急須の中からなぜか湯気が出始め、それからおじいさんが急須を湯呑の上で傾けると、お茶が流れ出てきた。
(もうこのじーさん手品師でやっていけんじゃねえの。)
俺がそんなことを考えているうちにもおじいさんは手際よくお茶をもう一つの湯呑にも注いでいく。やがて、その湯呑のうちの片方をおじいさんは俺に手渡した。
俺はお茶に関したはそこまで詳しくもないが、それでも素人目で見ても「この茶は良い茶だ」と分かるくらいに見事な茶だった。
「まあ、このお茶でも飲みながら聞いてなさい。」
そう言っておじいさんが先ほど淹れた茶をズズーッと啜りながらゆっくりと話し始めた。
「じゃあ、始めにわしの正体を説明しよう。そっちのほうが話が分かりやすくなるだろうしな。まあわしの正体なんて聞いて信じるかもわからんがな。わしは、神なんじゃ。」
「ふーん、で?」
「まあ、疑うのも...。今なんて?」
「だから、『で?』って言ったんだよ。いいから話を続けろ。」
俺がそう言うと、おじいさんは顔をしかめながらも話を続ける。
「こんなことを言う人間はわしが見てきた中でも初めてじゃな...。ゴホン。話を戻そう。さっきも言った通り、わしは神なんじが、神は基本は何かを司るもの。例えば戦神は戦を司っており、雷神は雷を司っている。」
「そりゃあ日本で言う八百万の神と同じような感じなのか?」
「まあ、そんな感じじゃな。それで、わしが司っているのは『ルート分岐』じゃ。」
「はぁ?」
俺は思わず聞き返した。まあ、そりゃしょうがないだろう。そんなふざけた神がいては困る。
(『ルート分岐』の神? 要するにゲームの運営ってか?)
俺はそんなことを考えていると、やはりこの反応には慣れているのか自称神のおじいさんはため息をつきながらも口を開いた。
「やはり人間にそれを言うと毎度同じ反応をするな。これはまた『ルート分岐』の説明をしなけりゃな。」
そんなことを言いながら自称神はお茶を啜る。そして、「あ~」とおっさん臭い息を吐くと、説明を続ける。
「まず、この世界には『ルート分岐』というものが存在するんじゃ。まあ、簡単に言うと『結末が変わった世界』じゃ。例えば、人類が生まれなかった世界、恐竜が生き残った世界、そもそも地球が存在しなかった世界じゃな。ここ最近の大きなルート分岐と言えば、お主の世界であった選挙じゃな。アのふざけた名前をした小僧が総理大臣にならなけりゃ日本は今頃借金だらけだったじゃろうな。」
そう言って自称神はどこからか新聞を取り出した。その新聞には「揚物好き太郎当選!」と書いてあった。俺は家に引きこもってたから分からないが、社会はそんなことになってたのか。
「それで、わしはその『ルート分岐』を管理するのが仕事の神っちゅーことじゃ。分かったかの?」
「まあ、分かったことには分かったが、じゃあなんで俺はここにいるんだ? 俺は家でゲームをしようとしてただけなんだが。」
俺がそう言うと神が驚いたような顔をした後、「そういやそれも教えとらんかったか」と呟いた。俺が不思議そうな顔をすると、自称神が呆れたような顔をしながら言った。
「そりゃお前さん、死んだからじゃよ。」
どうも、ドスパラリンチョです。
最近、まだ若いはずなのに体ガタついてきたからもう死ぬんじゃないかと不安になってきています。もし死んでも神様に死神として異世界で復活させてくれないかなあ。
それでは、こんなつまらん話は置いといて内容の解説に行きます。
今回も、眠さ半分で書いたので日本語がちょいちょいおかしいかもしれません。
まあおかしい所が見つかったらコメントで教えてくれや。
ということで、今日はここらへんで終わります。
読んでくれた方、ありがとうございました!