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脳筋聖女、転生死神を殴る。  作者: ドスパラリンチョ
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転生死神、エロゲーに一喜一憂する

「おい、出てこい!」

 激しい怒鳴り声と、激しく扉をドンドンと叩く音がする。

「い、嫌だあ! 働いたら負けなんだあ!」

 どうやらその音は、俺の部屋の扉から発せられているようだ。

 なんというか、「扉をそんなに強くたたいて手の骨が無事なのか」と聞きたくなるほどの音がする。

「なぁに馬鹿なこと言ってんだよ! 就活を一週間ほどやったと思いきや、泣いて帰ってきてそして引き籠る! お前のせいで俺は回覧板をご近所から回される時に哀れみの目で見られるんだよ!」

 俺は、自分専用のゲーミングPCの前に鎮座しながらそんな悲痛で生々しい怒鳴り声を華麗にスルーした。というかスルーしなければ面倒くさいことになるだろう。

「ああ母さん! なんで俺たちの子はあんな奴になってしまったんだ! 昔は素直でかわいい奴だったのに!」

 父親が、「宝くじ当たったからしばらくハワイ旅行行ってくる」とか言って出てった母親に祈りをささげた。もはやそんなことしても意味がないということは分かっているだろうが腐ってもあいつは父親。やはりそうでもしなければやっていけないのだろう。

「おい! なにコソコソと笑ってんだ! いいから早く出てこい!」

「そんなこと言ってねえで親父、さっさと仕事行ってこい! この哀れな息子を助けるためにな!」

 そう、親にこんなこと言われている俺、山内康弘は...。

「チッ! お前だけに言われたくなかったよ! だけど、これじゃ上司に怒られちまう! 行ってきます!」

 社会の負け犬、ニートでした。


―――


 この世界には、最悪と言っていいほどの人間が作った負の遺産が存在する。それは、「労働」だ。

 何が負の遺産か? そんなものは簡単だ。この世の人間の技術の進歩は破竹の勢いで進んでいる。そうなれば、当然欲しいものができてくる。そして、その欲しいものを買うためには金が必要だ。そして、金を稼ぐためには労働が必要になってくる。そう、これこそが負の遺産であり、悪循環の始まりである。

 だが、人間はやられてばかりではない。その負の遺産である「労働」に対抗するために、選ばれし者たちだけが成れる特殊な人間がいる。それは、社会では負け犬だのゴミだのクズだの罵られているが、それでも折れずに日々直向きに抵抗し続けている人間たちだ。

 その名も、ニートだ。

 ニートたちは、普段は自宅を警備し、親の元で生活している。そして、「労働」という最悪の負の遺産が化けの皮が剥がれるまで力を貯めている。そのために、ニートたちは昼間っから町をのそのそと散歩して治安を維持したりゲームをしてイメージトレーニングをしたり、また、自宅では、怪しげなセールスマンを撃退したり某テレビの会社の集金を追い払ったりしている。決して暴動なりデモなりをするのが怖いから地味な抵抗をしようとしているのではない。

 そして、俺もそんな栄えあるニートの一人だ。と言っても、俺はもともとは労働という悪魔に騙され、そして就活をしていた人間でもある。

 では、何故俺がニートに覚醒したかだって? それは俺の栄光の歴史の中でも高校を卒業したあたりまで遡る。俺は、頭は良いほうだったが、大学には進まずに、就職の道を選んだ。それは、大学があまり楽しそうに見えなかったっていうのと、勉強が嫌いだったからだ。そして、俺は高校を卒業をして早速就活を始めてみたのだが、まあ何ともひどい有様だった。高卒であるということと顔がチンピラっぽいということからしょっぱなから切り落とされまくったのだ。そして、就活を初めて一週間ちょいで心が折れた俺は、労働とは何なのかを考えてみたわけだ。そして、労働とはこの世界にいらない存在だと気付いたのだが、それからの行動は何とも早い行動であった。親に高い金を払わせて買ったスーツなりネクタイなり通勤カバンなりを某検索サイトのオークションで売りつけて金を稼ぎ、そしてその稼いだ金でパソコンとゲーム機とゲーム用モニターとさらにゲームソフトを買うという偉業を成し遂げた。ちなみに、その時俺は、顔のせいで少なかった友達たちに「親泣かせの山内」と呼ばれていた。

 さて、話は戻るが、俺はニートとしてはかなり一流である自身がある。いつも朝になるまでネット友達とゲームの世界を駆けずり回り、朝から昼まで寝て、そして昼になったら買い物がてら散歩をする。そんなニートの中でもニートを極めたような生活を毎日送っている。

(あー、ねっむ。今日もボス戦疲れたし寝るとするかなあ。)

 俺はあくびをしながらそんなことを考えた。

 俺がいつもと同じく寝ようとすると、やがて忘れていたことを思い出した。ネット友達に「声優もクオリティも素晴らしいからやってみ」と勧められていたエロゲーを買っておいたのだ。

(うわーやりてぇ! でも眠さも限界だしどうするかなあ。 まあ、チュートリアルくらいはやっておくか。)

 そう考えた俺は、早速ゲームのパッケージを開けた。

(『萌え萌えラブガールズ』? べたなタイトルしてんなあ。まあでも、タイトルなんてどうでもいい。俺の尊敬する人で小説家もどきをやってる人だって、中身が大事だって言ってたもんな。)

 そうは考えながらも、少しがっかりしていた俺は、ゲームのディスクを半ば乱暴にゲーム機に突っ込んだ。

 そして、ゲーム機を起動してそのゲームを開いた。

 やがて、チュートリアル画面が開かれた。またもやベタな画面だ。

『オニイチャンオキテ! アサダヨ!」

 またまたさらにベタな展開だ。

(朝起きてお兄ちゃんコーリングロリはエロゲーなり恋愛ゲーなどでも鉄板中の鉄板だから仕方がないっちゃ仕方がないが、もうちょっとこう、斬新なのが欲しいかもな。)

 やがて、ゲームの画面がパッと変わった。

『あらっ。下のほうはもう起きてるわね。それなら、もう早速だけど朝の仕事をしようか。』

 先ほどのロリボイスはどこに行ったのやら、声なりゲームで目の前にいたやつが大人のお姉さんに急に変わった。

(そうそうそう、これだよこれ! この積極的であまり見ない展開。これが見たかったんだよ!)

 さっきまでどん底だったこのゲームの評価がグッと上がった。このゲームはかなり期待できるかもしれない。

 そう判断した俺は、ゴクリとつばを飲み込んだ。

 そこから、俺の意識は途絶えた。

どうも、ドスパラリンチョです。

昨日の疲れはどこに行ったのやらと調子に乗って散歩がてらランニングをしてみたら、筋肉痛で足が死にそうです。

さあ、僕の近況はそこら辺にして、内容の解説に行きます。

今回でもやはり本編には入らずに、前回最後に出てきた鎌担いだチンピラがどうやって転生したのかを書いていくということになります。本編はさらに後になりまっせ。

それでは、今日はここらへんで終わります。

読んでくれた方、ありがとうございました!

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