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妖精の店
町中にひっそりと佇む古ぼけた店。想いを軽く……人であり人ならざる者、訪れた迷える魂を導き送り届ける店。そこには妖精の少女が一人、椅子に腰掛け静かに本を読んでいる。
今日もまた静寂を破るように、その戸が叩かれた。少女は、うんざりとした顔で叩かれた戸に目を向け、ゆっくりと口を開く。
「どうぞ、開いていますよ」
「し、失礼します……」
戸を開き現れたのは、高校生くらいに見えるあどけない女性だった。女性は恐る恐る店内を覗き、辺りを見渡す。その行動に合わせるように癖のない長い黒髪が揺れた。一歩一歩、微かに震える足取りで店内へと歩を進める。
「大丈夫ですよ。此処に危険な物は、ありませんから」
「此処でなら……私の力になってもらえると聞いて来たんですが……」
少女は、俯く女性に気づかれないよう静かに、ため息を漏らした。
「……ええ、大抵の事なら解決しますよ」
女性は不安そうな顔で少女の目を真っ直ぐに見つめ声をあげた。
「なら……私を……生き返らせて下さい!」
少女は目線を下に外し、ゆっくりと首を振った。
「残念ながら、それは大抵の事に含まれないので無理ですね。死者を生き返らせる事は出来ません」
「私……まだ……死んでません……」
「は……? え、死んでない……?」




