1話
「お前は勇者の末裔なんだ」
いきなり言われた。
日曜の昼。
うららかな陽気。
昼寝には丁度いい春の季節。
「はぁ?」
当たり前の反応を俺は目の前の両親に向かって放った。
「驚くのも無理はない。」
「ええ、あなたには衝撃的かもしれないわね」
この呑気な二人は俺の反応を無視して話を続ける。
「証拠を見せよう」
父親がおもむろにソファーから立ち上がる。
それを察して母親がすばやく窓を開ける。
こんな仲良かったかこの二人。
「ふんふんふふーん」
なんか上機嫌だな。
体をほぐしているのか、ストレッチを始める父親のマコト。
それを数十秒行った後右手を開け放たれた窓へかざし始めた。
「くぁwせdrftgyふじこlp」
俺にはこう聞こえた。
と、その時、マコトがかざした右手から光の玉が現れたと思った瞬間。
ドゴオオオオオオオ!!
右手から出現した光る球体が開け放たれた窓を通り庭の樹を破壊した。
「どうだ!」
マコトは嬉しそうに俺に向かってドヤ顔をする。
「いや、どうだって言われても・・・」
これは夢か?
いや、目の前にはドヤ顔の父。
庭には破壊された樹。
「これが魔法という奴だ」
「魔法・・・?」
「ああ、勇者の家系にのみ伝わる攻撃魔法だ」