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短編

自由を求める人

作者: RK

 いま、君の前に浮かびあがった選択肢はなに?


 行動を起こす、起こさない。

 肯定する、否定する。


 そんな二者択一でしかないの?

 他人から提供されたものしか選ぶことしかできないの?

 そもそも、選択肢と言うもの自体おかしい。

 人は一つの事しか選びとることが出来ない。

 それは肯定でも、否定でもない。

 選びとれるものは自由だけ。

 他人から与えられたもので考えることを止めてどうしようというの?

 考えることをやめてはだめ。

 考えることは求めること。

 求めることは力になる。

 考えて選び抜いたことに誇りを持って。

 そうして、知ってほしい。

 貴方を決めるのは貴方なのだと。

 周りに貴方を決定することはできないのだと。

 恐れないで。

 貴方の考えに照らされてできた光が貴方に影を作るかも知れない。

 でも、それはもう一人の貴方。

 貴方のもう一方の側面。

 貴方から見た貴方なのだから。

 影を恐れないで。

 影を恐れることは自分を恐れること。

 

 考えて、求めて、選んで。

 たとえそれが世界を滅ぼすだとか、荒唐無稽なものでも。


 私は貴方が考えて、求めて、選んだことを喜ぶわ。


 ***


 狂人は語る。

 これは自分で選んだ道だと。

 茨の道を突き抜け、狂人は強靭な精神を持って凶刃を振るう。

 何かを成す為に。

 彼らは得てして自分が狂人だと知っている。

 彼らが求めるのは自由。

 彼らは屍の山を積み上げて高らかに嗤う。

 そうして成した大事は世界を変える。

 彼らは英雄と讃えられるが、首を振る。

 自らは狂人であり、凶刃であり続けた。

 己は愚かで狂った一人の人間でしかない。

 他人から与えられた選択を嫌った。ただそれだけの愚かな人間に過ぎない。

 英雄とは、己と敵を含めて誰ひとり負ける者を出さないものだ。

 それでもお前達が我らを英雄と崇めるのなら仕方のないことだ。

 それはお前達が選んだことであろう。

 だが、お前たちは我らが英雄であることを強制はできない。

 我らはお前達の英雄と言う側面を持ちながら、もう一方の側面ではただの人殺しである。

 光には影があり、その影は紛れもなく自分なのだ。

 自分を否定しても意味は無い。

 自分を否定してはいけない。

 そして、狂人は暗殺者の凶刃にたおれた。

 その時に彼は言った。


「考えよ、求めよ。人は自由だ。自分以外の他の誰もその行く先を決めることはできない。誰かと道が重なるなら切り拓け。そうして俺は生きて死ぬ」


 死を恐れぬその姿は狂っていた。


 『自由』を求められないものから見れば、『自由』を求めるその者は確かに狂っていた。

 得てして英雄は全てが狂人なのだろう。常人に理解することはできない。

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