第408話:慇懃無礼
「フーゴだ! フーゴに金貨5枚っ!!」
「こっちはフーゴ・ヒルシュベルガーに金貨20枚だ!!」
「お、落ち着けって! 順番にっ! 順番に並べって、言ってるだろ!」
「退けっ! 俺はフーゴに銀貨50枚だ!」
「てめえこそ退けや! 銀貨50枚なんて端金を賭けやがってよ!」
「なんだぁっ?」
「お? やんのかっ?」
「そこ! 喧嘩するなら叩き出すぞ!」
「整列しなさい!」
賭け屋の前が押し寄せる客によって、大混雑と化していた。それも特定の賭け屋ではなく、全ての賭け屋でだ。
原因はコレットである。
正確には数時間前に、賭けの胴元の男とコレットたちのやり取りを見ていた者たちから口伝いに拡がったのだ。
メインイベントの賭けが成立する、と。
バカな金持ちの女がレナ・フォーマに大金を賭けた、と。
楽して確実に稼ぐことができるぞ、と。
これを知った者たちは、急いで賭け屋に殺到したのだ。
これにはメインイベントの賭けが成立するか憂慮していた胴元たちも安堵――――することはなかった。
なぜなら――――
「ど、胴元っ。これって……」
「不味いな……。いっ、今さら賭けは無効なんて言い出したら……俺が、いや俺たちが殺されかねん」
一時はコレットや『レナちゃんファン倶楽部』なる怪しい集団が大金をレナに賭けてくれたおかげで賭けが成立していたのだが、そのやり取りをした場所が良くなかった。あまりにも目立ちすぎたのだ。
賭け屋は売上の25%をいわゆるテラ銭として頂く。この%はどこの賭け屋も同じである。どこかが抜け駆けして換金率を上げれば、よそも競い合うことになり、結果的に賭け屋全体の利益が減ってしまうので、談合して25%と決めている。
つまり賭けさえ成立すれば、勝敗に関係なく基本的に賭け屋は利益がでるのだ。
だが、レナとフーゴの試合は圧倒的にフーゴ勝利への賭け金が積み上がっていた。いや、現在進行系で賭け金は増えており、まだ時間に余裕があるにもかかわらず、最終戦の賭けを締め切る賭け屋まで出ている。
「う、うちも締め切れっ! 急げよ!」
「は、はいっ」
他の賭け屋の動きを見て、次々と同じように最終戦の賭けを締め切るも手遅れであった。
賭け金の総額は約192億マドカを超え――――本日の模擬戦で賭けられた各試合の中で最高金額を大幅に更新していた。
振り分けはフーゴに180億マドカが、レナには12億マドカとなっており、賭け屋の取り分を引くと144億マドカが賭けを当てた客への分配金となる。
現時点のオッズはフーゴが0.8倍、レナが12倍となっており、このままでは賭けが成立しないために、胴元たちは自分たちの後ろ盾や上役へ相談し、足りない分は賭け屋が負担する羽目となった。最終的にフーゴのオッズは1.1倍とし、フーゴに賭けた客たちには、このオッズで納得してもらうこととなる。
これにて一件落着――――とはならなかった。なぜならこれは一般人を対象とした賭けであり、貴人対象の賭けはもっと大変なことになっていたのだ。
なんと総額は1100億マドカを超えていたのだ。圧倒的に一般人より数は少ないにもかかわらず、如実に貴族や富裕層の財力の差が出ていた。
これが双方がある程度は釣り合う金額であったのなら問題はなかったのだが、フーゴに1100億マドカで対するレナには僅か1億マドカと、到底賭けが成立しない比率であったのだ。
むしろレナによくぞ1億マドカも賭けたものである。賭けた者はよほどの酔狂かギャンブル狂であろう。
この賭けを成立させるために、差額を胴元たちが負担すれば今日の儲けが吹き飛ぶだけでは済まない。胴元たちは再び後ろ盾や上役へ相談する羽目となるのであった。
※
「お互いに随分と稼がせていただきましたね」
顔見知りの貴族が老貴族へ話しかける。
ここまでの模擬戦で、二人とも賭けでかなりの金額を稼いでいたのだ。
「うむ」
しかし、大金を稼いだにしては老貴族の顔は喜んでいるようには見えなかった。
「なにか気になることでも?」
「いやなに、少し頼み事をされたのでな」
そういえば、休憩の合間になにやら老貴族へ頭を下げている者たちがいたことを顔見知りの貴族は思い出す。
「そのご様子からして、あまり喜ばしくない頼み事のようですね」
顔に出ていたかと、老貴族は自分の顔を撫でるように揉んでほぐした。
「儂が所属している派閥の上位者より、最終戦はレナ・フォーマに賭けてもらえないかという願いであった」
「馬鹿馬鹿しい」と、顔見知りの貴族は扇で口元を隠しながら罵る。願いという名の強制ではないかと。
「まさかとは思いますが、そのような頼み事を聞くわけではないでしょうね」
「ふむ」
顎髭を撫でていた老貴族は、顔見知りの貴族へ顔を向けると。
「受けようと思う」
「あなたでも断ることのできないほどの相手ですか」
「そうではない。派閥の上位者とはいえ、それほど好意があるわけでも領地の利害関係で便宜を図ってもらっているわけでもなし。今さら嫌われたところでどうとない相手よ」
「ますますわかりません。それならなおさら断らないことが理解できませんね」
これまで二人の会話から、賭けで結構な額を稼がせてもらっている周囲の貴族たちも聞き耳を立てる。
「ここでは話せないようなことですか?」
「なに勿体つけるような話ではない。儂はしばらくカマーに滞在する。そこでムッス侯爵と会談をする予定なのだが、機会があればネームレス王に謁見するつもりだ」
これには顔見知りの貴族も扇で口元を隠すことも忘れて、驚きの表情を浮かべる。
「これは驚きました。いつの間にネームレス王との間に知己を得たのですか?」
レーム大陸中の商人がユウと繋がりを持ちたいと思うように、ウードン王国中の貴族がユウとの謁見を――――できれば、そのまま友好関係を築きたいと考えているのだ。
「これ、早とちりするでない。機会があればと言ったであろう。儂にネームレス王との謁見を仲介してくれる伝手などない。ムッス侯爵との会談で頼み込んでみるつもりよ」
「なるほど、そうでしたか」
「ネームレス王は大層な食通と聞く。儂の領内ではそれなりに珍しい作物を扱っておるので、定期的に売買契約を結べればと思っておる」
「しかし、それと賭けの話がどう繋がってくるのでしょうか」
聞き耳を立てている貴族たちが聞いてほしかったことを、顔見知りの貴族が尋ねる。
「もし謁見ができた際に、話のネタになると思ったまでよ。皆がフーゴ・ヒルシュベルガーに賭ける中、儂はレナ・フォーマに有り金の全てを賭けました、とな」
顔見知りの貴族は考え込む。
老貴族はここまでで5億マドカは稼いでいるのだ。それだけのために5億マドカもの大金を捨てるのか、と。
(違いますね。それだけの価値があると見ているのでしょう)
これまでに自分が稼いだ額を脳内で計算し、そこから旅費や護衛に侍女へ渡す予定の寸志を引くと、約10億マドカが残る。
小さなため息を顔見知りの貴族はつく。
「私も勝負にでようと思います」
「正気か? 儂と違って、卿は領内のために稼いだ金であろう」
「これまで危険を冒さず、常に安定を求めてきましたが、そろそろ勝負してもいいのかもしれないと思いましてね」
「あなたの悪影響かもしれませんよ」と、顔見知りの貴族は悪戯をする子供のような笑みを浮かべた。
「残りは特別試合とメインイベントのみですか」
「もうそこまで試合を消化していたか。どれ、儂は少し失礼をする」
「どちらへ?」
「特にない。ただ、特別試合は件の伯爵家の騎士が出てくるのであろう」
「そのようで。相手はムッス侯爵が抱える『食客』の一人『前衛要らずのランポゥ』ですね」
「他家に仕える騎士とはいえ、同じ貴族が平民を相手取り無惨に負ける姿を見るのは我慢ならんのでな」
「負けますか?」
「ランポゥと言えば、単独で一個騎士団を凌駕する戦力を誇る。いくら名の知れた騎士とはいえ、相手にならんよ」
席を立って会場の外へ向かう老貴族の背中は、どこか寂しそうに見えた。
※
「ユウ、君は賭けないのか?」
特等席で試合を観戦しているムッスがユウに話しかける。これまでの試合で一つも賭けをしないユウが気になったのだ。
「『ネームレス』のレナが出るのに賭けてもいいのか?」
「それはどういう意味なのかな?」
ウードン王国のみならず、どこの国でも自分の関係者が出ている試合の賭博に参加することが認められている。なんなら権力を利用して自分の手駒が有利になるよう働きかけることも珍しくないのだ。
「ふーん」
ムッスからそのような説明を聞いても、ユウは特に興味を示さなかった。
「きっとニーナたちは賭けてると思うよ」
「俺は賭博はしない」
「なぜ?」
「言いたくないな」
思い出したくもない、と。ユウは眼下の試合場へ視線を向けたままである。
「ところで、ナマリはなぜ元気がないのかな?」
いつも騒がしいナマリが大人しいことに、ムッスは不思議がる。
「エッカルトが半殺しにされたからだ」
「エッカルト? ああ、第十八試合で出てきた巨人族の男か」
「ナマリとエッカルトは仲が良いから、負けてショックを受けているんだろ」
ナマリの頭の上に座るモモが、ずっと慰めているのだが、ナマリはしょぼくれて意気消沈したままである。普段ならマリファなりティンたちがあの手この手で慰めるのだが、今は公の場で周囲にいる貴族や富裕層から好奇の目を向けられているのだ。下手な真似をして、ユウに恥をかかせるわけにはいかないと自重していた。
「失礼いたします」
開会式から今までムッスの傍を離れていたヌングが、ムッスに近寄るとそのまま耳元で囁く。
珍しくムッスは不快な表情を浮かべた。常に飄々として、演技で感情的になることはあっても、ここまで露骨に悪感情を見せることはないのだが。
「その者たちは?」
「外で――――」
ヌングが「外で控えさせています」と言い終えるよりも先に、焦った様子の者たちが入ってくる。
「ムッス侯爵、どうか我々の話を聞き届けてください」
「時間がないのですっ」
「聞き届けていただけた際には、必ず報うことを誓います」
言葉遣いや所作を見るまでもない。着飾った服装からひと目で貴族とわかる者たちであった。
当然、護衛のジョズは、それ以上はムッスに近づくなと威圧すると、男たちは「無礼なっ」「我々が貴族だとわかっての狼藉かっ!」「平民の、それも亜人如きが!」と、好き勝手に喚き散らす。
「君たちは――――ああ、私のカマーで賭博を開きたいと願い出ていた者たちだね」
言葉遣いとは裏腹に、声音には一切の熱を感じさせないムッスの冷たい態度に、貴族たちは最初の勢いはどこへやら、顔中に汗を滴らせる。
「こっ……このような、非礼をお許しください」
やっと自分たちが仕出かした不作法に気づいたのだろう。男たちは慌てて片膝をついて頭を下げる。
「私は厚顔無恥な君たちの主の要望に応えて、期間限定とはいえ賭場を開く許可を与えただろう。この上なにを求めようというのかな」
ユウの見ている前で、このような恥をかかされて、ムッスは心底不快になっていた。元々、賭場も開かせるつもりもなかったのだ。そもそも自領にも賭場を仕切る組織などいくらでもある。なんならユウが面倒を見ているアルコムという組織に権限を与えて、もっと広域に仕切ってもらってもいい。
それをムッスの遠方の親類たちが、どれほどの見返りがあったのかは知らないが、今後の貴族社会での関係改善のためにも受け入れるべきとしつこかったから渋々ではあるが了承したのだ。
「そう仰らずっ。どうか我々の話を聞いていただけないでしょうか」
彼らは貴族である自分たちが、これほど無様な姿を晒しているのだから、ムッスは同じ貴族として話を聞くべきだと言わんばかりの目で訴えかけていた。
「メインイベントの、最終戦に関してなんですが……少々、不味いことになっておりまして」
「なにも問題は起こっていないよ」
ムッスの配下と冒険者ギルドが連携して運営している模擬戦は大きなトラブルもなく、試合進行の滞りもなく、残す試合もあと2試合となっており、予定通り無事に終わるだろう。
「運営に問題などと滅相もない」
「そのとおりですっ。ムッス侯爵閣下が携わる運営に問題などあろうはずもありません」
「実は問題とは……賭博のほうでして」
「賭け金について、ご相談したいことがありまして」
彼らにも余裕がないのだろう。本来であればじっくりと時間をかけて、根回しをしてからムッスと会談するべきところをすっ飛ばして直訴しているのだから。
「賭場に関しては全て君たちに一任している。その代わり私の懐には一切の金銭が入らないのは君たちも、君たちの主も重々承知のはずだが」
じわりと真綿で首を絞めるようなムッスの言葉に、貴族たちの顔は青色を通り越して、土気色になっていく。
「こ、このままでは賭けが成立しないのですっ」
意を決して、一人の貴族が申し出る。
「一般でそのような――――ああ、そういうことか。貴人を対象にした賭場で賭けが成立しないのか」
皆まで言わずとも理解してくれたムッスに、貴族たちの顔に生気が戻る。
だが――――
「なら君たちが差額分を負担すればいい。できないのなら賭け金を払い戻しするんだね」
――――待っていたのは、ムッスの無情な言葉であった。
それができれば、彼らも苦労はしていないだろう。
彼らも貴族であるが、相手はさらに上位の貴族や自分たち以上に財力や権力を持つ富裕層なのだ。下手に賭け金を払い戻しなどしようものなら、どのような目に遭うか。そもそも、彼らの主たちもそのような真似は許さないだろう。
貴族とは面子を潰されることを裏社会で生きる者たち以上に嫌うのだ。
「ムッス侯爵閣下が関与する会場で……いえ、許可を与えてくださっただけで、賭場に一切の関与はしていないことは我々もよく理解しております。ですが、周囲はどうでしょうか?」
「会場にいる貴人たちは、きっとムッス侯爵閣下を口汚く罵るでしょう。我々はそれを危惧しておるのです」
あまりにも荒唐無稽な言葉に、ムッスは吹き出してしまうところであった。仮にそうなったところで、痛くも痒くもないのだ。これまでウードン王国中の貴族が敵もしくは遠巻きに見ているだけだった。そのような者たちにどう思われようが、ムッスの心に僅かな傷を残すことすらできないだろう。
「君たちの主に頼み込めばいいじゃないか。そのための後ろ盾でありパトロンだろう?」
もっともな正論である。このようなトラブルの際に助けるのが後ろ盾なのだが。
「そ、それができないのはムッス侯爵閣下もおわかりでしょうっ」
一人の貴族が震えながら言葉を口にする。
賭けを成立させるために必要な金額はフーゴのオッズを最低保証の1.1倍として、今回の差額を負担するには109億マドカを胴元側は用意する必要があるのだ。
これまでに賭場で得た利益で差額分を負担することは可能なのだが、それだと儲けの多くを失うことになる。
そう。彼らの主はこの期に及んで、自分たちの利益を損なうのを嫌ったのだ。
レナが勝つのならば、彼らもこれほど焦ってはいないだろう。万が一にもレナが勝つことはないと知っているからこそ、彼らはムッスに縋り付いているのだ。
「なっ……ならば」
ムッスの考えが変わることがないと察した貴族の一人が、助けを請う目を向ける、ムッス――――ではなくユウに。
「ネームレス王陛下はいかがでしょう?」
「そ、それは名案だっ」
「あ、ああっ。そうだ。そもそも此度の模擬戦はネームレス王陛下のクランに所属する者が発端と聞く」
媚びへつらった笑みであった。
ユウの嫌いな表情である。
あまりに厚顔無恥な言葉に、ジョズは驚きを通り越して呆気にとられる。常日頃から平静であるヌングの眉間に皺が寄っているではないか。
「いいぞ」
ここまで椅子に座って背を向けたままのユウの言葉に、ムッスは目を見開く。
「ユウ、本当に良いのかい? 負担金は数十億では済まないと思うよ」
「そいつらが俺のせいだって言うんだ。金くらい負担してやるさ」
死んだ目をしていた貴族たちの目に光が戻る。
そして彼らは心の中で「助かった」「バカで良かった」「まさかレナとかいう小娘が勝つとでも思っているのか?」「噂ほど頭はキレないな」などと、呟いた。
声に出して言ったわけではない。
だが、顔に現れていたのだろう。
一斉に貴族たちは「ひっ」と、短い悲鳴を上げた。マリファたちが、ユウの傍に控えるマリファたちが彼らを見ていたのだ。その表情の恐ろしいこと。感情を露わにした顔ではない。むしろ、一切の感情が読み取れぬ顔であった。
だが、見られていた彼らだけは理解していたのだ。主であるユウを侮り、心中で舐めていた彼らを、マリファたちがどれほどの怒りを心に秘め、自分たちに憎悪を向けているのかを。
「でっ……では我々は失礼させ――――」
「待てよ」
慌てて逃げ出そうとした貴族たちを、ユウが呼び止める。そのとき、彼らは初めてユウの顔をまともに見たのだ。髪の色こそ黒色と気持ちが悪いと思うも、それ以外は噂に聞く凶暴さを感じさせぬ一人の少年であった。
「ネームレス王……陛下っ、な……なにか?」
「差額を負担してやるんだ。お前らがレナとフーゴの賭け金で受け取るテラ銭は俺がもらうぞ」
ユウがなにを言っているのか、彼らは理解できなかった。
レナがフーゴに勝つことなど万に一つもないのだから、利益が出るどころか多額の負担金で大損するのは確定なのに。
「返事は? まさか、お前らの主に聞かなきゃわからないとか抜かすなよ。そもそも頼み事があるなら、下っ端じゃなく本人が来いよな」
直接、本人に言ってくれと貴族たちは内心で思う。そう、心の中で思うに留めたのだ。
「もちろん。我々の取り分はお渡しします」
「ええ、ええっ。それは当然の要求かと」
「我々の主もネームレス王陛下に感謝するでしょう――――いえ、します!!」
マリファたちから無言の重圧を感じて、慌てて貴族たちは言葉をつけ加える。
「改めて、今回の件に関するお礼の場を――――」
「いらない」
「――――設けさせ……いらない?」
「俺は無能な貴族が嫌いなんだ」
自分たちの主を侮辱されても、彼らは愛想笑いを浮かべながら退出することしかできなかった。
「本当に良いのかい?」
申し訳なさと、心配が織り混ざった声音でムッスが問いかける。
「別にいいさ。それにレナが負けるとは決まっていない」
「それは……」
双方の強さを知るムッスをしても、さすがに今回は分が悪すぎると思う。
「ほら、特別試合が始まるぞ。お前のところの奴が出るんだろ」
ムッスの懸念を気にもせずに、ユウは試合会場へ目を向けるのであった。




