第98話/え?何この急展開。
これは、罠なのだろうか?
「くそ!この後、マザーワンを確保せねばならないのに・・・ええい!邪魔をするな、キュベレー!」
「だ、駄目です、お父様!きゃ!」
何かよくわからないけど、助けを求めたキュベレーが、狐仮面に殴られて倒れてる。
≪神よ!その愚か者を戒める事をお許しください!≫
「ダメ!攻撃をしてはいけません!」
何て言うか、必至だな。
それで、助けるべきなのだろうか?
「これは・・・どうするべきでしょうか?」
「ん~、少なくとも凛はキュベレーを助けるべきだと思うよ。」
困惑したアシュレーの質問に、意味有り気にマリアは答えている。
一体、どういうことだろうか?
「・・・ねぇ、多分だけど。あの狐仮面って、眞田さんじゃないかな?」
「ん?どういうことだ、CB?」
あれ?何で、そこで呆れるの?
CBがそう思う理由として、まずはマリアの呼び方らしい。
マリアをマザーワンと呼ぶのは、CBが知る限り眞田だけらしい。
そういえば、眞田の奴そんな呼び方してたな。
次に、CBがDHMをやっていた時には、ブレイクスルーのスキルは有ったが、アドミニストレーター権
限は無かったという事。
「確かに、幸恵さんが居なくなった後を継いで、今主任をやってるのは眞田ね。」
「なるほど、主任クラスならアドミニストレーター権限を使ったアバターも使用できるな。」
まぁこれはあくまでCBの予想だが・・・それにしても、よくそんな予想を立てれるな。
俺には無理だ。
「それ、正解ね。私が凛が呼んだ理由もそれに関する事だもの。」
「え?それって、どういう?」
マリアが言うには、眞田の動向を探っていた幸恵が、ある情報を掴んだらしい。
それは狐仮面を使い、プログラム撃破による被害をあえて増やし、それを一連の事件の証拠として、内部
告発する事だと言う。
何でもKC社への多大なダメージを与える事で、ライバル社に重役として迎えられるようになっていると
か。
「事件は、ゲームに見せかけたKC社から、NA社への攻撃に見えるわけか。なるほど。」
「そんなことしたら、家の会社潰れちゃうじゃない!ふざけるんじゃないわよ、眞田!」
あ。そういえば、凛の親ってKC社の社長だったな。
「待て、レディー!くそ、私も行く!」
「私も手伝います!」
一目散に、狐仮面=眞田(仮)へと攻撃をしに行った凛に続き、アチャーとアシュレーが援護しに行く。
「眞田!死ね!」
「くっ!何故、ばれた。くそ。おい!キュベレー助けろ!」
おお!凄い勢いで、殴られてるな・・・あれ?アチャー、何故眞田を磔に?
「ふっ。これで貴様はログアウト出来まい。」
「ふっふっふっ!よくやったわ!さぁ、楽しいショーの始まりよ!」
なるほど、指を全て矢で押さえつける事で、メニュー画面が開けないのか・・・えげつないな。
「あああ!あの、やり過ぎでは・・・ひっ!」
おお!眞田を止める様に援護を求めたキュベレーすら、凛の睨みつけに引いてる。
それにしても、眞田よ・・・その格好辞めてくれないか。
俺が人間サンドバックにされてる様で・・・。
「一体、この状況は?なの。」
「お?着いたかシノ。ん~?凛が公開処刑してる感じ?」
こんなカオスな状態の中、チノに乗ったシノも合流したわけだが・・・。
どうするのこれ?
≪貴様!何を・・・。≫
「え?あ!ダメ!そのプログラムは!」
お?気がつけば、パナギアの後ろにマリアが回り込んでる・・・いつの間に。
「貰ったわ!」
≪スキル発動・ブレイクダウン≫
パナギアの背中、両羽の間まで飛びあがったマリアは、そこへ拳をめり込ませた。
≪ヤメ・・ロ・・・ソレハ・・キサ・・・マガ・・モ・・・ツベ・・キモノ・・・デ・・ハナ・・・≫
パナギアの体へと入りこんだ拳が光と共に、引っ張り出される。
そして、その手に持った何かを見ているマリアが・・・なんていうか、凄い悪い笑顔なんだけど。
「ははは!やったわ。これで私は!KAIN、今までありがとう。もう、あなたは用済みよ!」
「え?何それ?どういう事?詳しく!」
おっと余りの同様に、心の言葉が声に出ちまったぜ。
「知りたければ、私を追うといいわ。」
え?何それ・・・というか、何処行ったし・・・。
というか、この状況どうするのさ・・・マジで。