第91話/強くてニューゲームはいいけど、弱くてコンテニューって・・・絶望だよね?
まず最初に言っておく!
あれは、無かった事にしよう。
「僕は別に気にしないのに・・・。」
「俺が気にする。」
何が悲しくて、野郎にガン見されなければ行けないのか・・・。
眼福とか聞こえた気がするが・・・きっと気のせいだと思いたい。
「それで?実家はどうしたんだ?」
「あ~・・・うん、大丈夫だよ?」
何故、目を逸らす。
まさか、こいつ。
「だ、大丈夫だよ!ちゃんと、由梨には手紙書いてきたから。」
それは大丈夫とは言わないのでは?
むしろ、こっちに被害が増えそうな気がするのだが・・・。
「ほ、ほら!気分を変えて、TVでも見よ!何か面白いのやってるかな~?え?」
「・・・はぁ。この時間は特に面白い番組なんて、え?」
来夢がごまかしで着けた番組を見て、俺と来夢は固まった。
『速報です!前回の都庁爆発事件に続いて、先程、警視庁でも爆発事件が発生しました。』
「ち、違うよ!僕じゃないからね。」
「いや、それは分けるけど・・・何で?」
このニュースを見る限り、この爆発・・・あれが絡んでるよな?
まぁ来夢が犯人じゃないのは、間違いないだろう。
だって事件が起きた時、こいつは俺の半裸を見てたんだから。
「とりあえず、幸恵さんとマリアが何か掴んでないか確認してみるか。」
「あ!僕も一緒にお願い!」
俺は待機状態だったLINKSを被ると、EOWにダイブした。
「で?何か掴んでるか?」
ログインしてすぐ、俺はCBをつれて幸恵さんのホームに入ると率直に聞いた。
聞きながら、部屋の中を見ればアチャーとアシュレーの姿があった。
「いきなりね。まぁ一応は掴んでいるわ。6体目が例の狐仮面にやられたらしいわ。」
「え!?でも僕、その時間ログインして無いよ?」
犯人の情報に、すぐさまCBが反応する。
一応、俺もその事についてはCBの無実を証明する。
まぁあの件は言わないけど・・・。
「つまり、その狐仮面のアカウントは量産型だったのではないかね?」
「それはないよ。データアクセス権限を量産できるはずがないもの。それができるなら私だって、皆に与
えてる。」
アチャーの意見をマリアはすぐに否定する。
しかし、権限の量産だけなら簡単にできると思うのだが?
普通とは違うのだろうか?
「え~っと、それで犯人はどうやって独自プログラムを見つけたんですか?」
「あれじゃないのか?適当なボスに上書きしたやり方。」
アシュレーの質問に思いつく方法を答えたが、どうやら違ったようだ。
「どうやらキュベレー自ら探しているみたい。サーバーのパフォーマンスを見たら、ここ数日凄い事にな
ってたから。」
「ならば、そのキュベレーを見はればいいのではないかね?」
なるほど。アチャーの言うとおりだ。
というか、キュベレーってマリアと同じで、バランス管理のAIじゃなかったか?
そんな探知までやって、ゲームのバランス管理の方は大丈夫なのだろうか?
それとも、バランス管理を放置しているのか?
はっ!まさか、ボスに俺が殺されたのはそれが原因だったり・・・なわけないか。
「・・・そうね。どちらにしても、独自プログラムは後一つ。大分回復したし、ここからは私も出るわ!
KAIN、こっちに来て。」
「ん?どうかしたか?」
手招きしているマリアに近づくと、マリアは俺の左腕を握ってきた。
「悪いけど、これ・・・返してもらうね?」
「え?ちょっ、熱っ!痛っ!」
貰った時と同様に光り輝くと、痛みと熱さが襲ってきた。
そして光が収まった時には、俺の左手から謎の紋章は消えていた。
「それじゃ、ちょっと私も探して来るから!見つけたら呼ぶね!」
「ちょっ!おい!・・・マジか。」
俺から回収するだけ回収すると、マリアはそのまま何処かに行ってしまった。
スキルを見たら、ブレイクダウンが無くなってるし・・・。
経験値はマイナスな上に、武器も無し・・・あれ?俺、今最弱なんじゃね?
マジで、これからどうしろと?
というか、正直・・・初めからマリア自身が探せばよかったんじゃね?




