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END OF THE WORLD ONLINE  作者: 岸村改
91/103

第90話/奴は、突然やってくる。

コンビニで買った昼飯を食べ終えた時、それは突然やってきた。


まるで今までものを纏めて吐きだすかの如く、勢いで俺に襲いかかってくる。


このままでは、負ける!


そう確信した俺は、安全地帯へ向けて、すぐさま走り出す。


安全地帯まで後、数歩!


ドアを思いっきり開け放つと、周りの状況などロクに確認せず、飛びこむ!


迫りくる衝撃に備え、俺は腰から下に有る拘束物を外し、対ショック体制を取る。


「この戦い、勝った!」


俺が勝利を確信すると同時に、鈍い唸り声と共に衝撃が襲ってくる。


衝撃をやり過ごした俺は、その安心感から油断していた。


しかし、その油断が行けなかった。


後に俺は思う、何故あの時確認しなかったのかと。


「か、紙が無い・・・だ・・と?」


しまった。なんと言う油断。


焦るあまり、一番重要な物を見落とすとは・・・。


「さて、どうするかな。」


いきなりの腹痛で自室のトイレに駆け込んだはいいが、紙が切れてたのを失念してた。


まぁ落ちつけ、俺。こんな時程、状況整理だ。


今、トイレの中に紙は無い。


予備はドアの向こうにある戸棚の中だ。


しかも、来夢は今実家に帰省中。


「あれ?これ、積んだんじゃね?」


どうしたものか。・・・待てよ?


ドアの向こうに、紙はあるわけだ。


「なら、ドアを開けて取ればいいだけじゃね?」


何だ簡単なお仕事だったな・・・ガタン?


何だろうか、この嫌な予感のする音は・・・。


おちつけ、まずはドアを開け・・・開け!


「ド、ドアが開かない・・・何故!?」


はっ!まさか!いや、そんなバカな。


これが怖い話シリーズにある、トイレに閉じ込められる現象か!


「いやいやいや、そんなバカな。そもそもドアの前に物なんて・・・。」


そういえば、来夢が通販で買った何かを置いてたな・・・あれか!


「ちょっ!マジで!?このトイレ窓無いよ!?」


やばい、ケータイもないし・・・これはマジでピンチなのでは?


仕方ない、ここはドアを壊すしか・・・壊れるのか、これ?


「ただいま。誡・・・はEOWかな?」


はっ!この声は!


紙は!違った、神は俺を見捨て無かったようだ!


このチャンスは生かすしかない!


「来夢!居るのか!頼む、助けてくれ!」


ドアを必死に叩きながら、ひたすら叫ぶ!


頼む、この声届いてくれ!


「わぁ!何!?・・・その声、誡?どうかしたの?」


「ド、ドアがね!開かないの!しかも、紙がないの!ガチで助けて!」


あれ?おかしいな、普通に助けを求めたはずなのに、俺の声が震えてるの何故?


何だろう、頬をなんか生温かい液体が流れている様な・・・。


「あ!これが邪魔で開かないんだね。ちょっと待って、今退かすから。んっ。お、重い。」


おお!ドアの向こうでは、来夢が必死に何かを持ちあげてる様だ・・・。


それにしても、そんな重い物・・・一体何を買ったんだ?あいつ。


はっ!それより、まずは紙だ!


鍵は既に開いている、後は紙を取ってもらうだけ・・・あれ?


馬鹿な!ドアが開いていくだと?


「はい、紙。・・・って、誡。何で泣いてるのさ。」


あ、うん。紙は有りがたいんだけど・・・何故いきなり開けたし。


正直、かなり恥ずかしいんだが・・・。

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