第88話/世の中、こんなはずじゃなかったのにって事、多いよね?
「・・・見なれた天井。」
相変わらず、ここの床は冷たい。
「やっぱり駄目だったか。さて、現状はどうなって・・・え?」
クリュティオスの攻撃を受けて、死んだ俺は前にも来た事ある建物の中に居た。
多分、聖堂協会の隣だと思うのだが・・・現在の問題はそこじゃない!
「何で俺・・・全裸なの?」
いや、正確にはインナーは一応来てるんだけど・・・あれ?俺の和装装備は何処に消えた?
慌ててアイテムストレージと装備画面を開いて見る。
<武器>
右手武器:無し
左手武器:無し
追加スロット数:0
<防具>
頭:無し
上着:無し
上半身:無し
腰:無し
下半身:無し
脚:無し
腕:無し
追加スロット数:0
アイテムストレージ
玉藻の護石・武術指南書・鉄片・巨人の眼*95
あれ?黒霧の刀まで無い気がする・・・。
おいおい、ちょっと待てよ!これって、あれか?あれなのか?
死亡ペナルティの装備全損?うそ・・・マジで?
「これ、洒落にならないんだけど・・・。」
ついでにステータス画面も開いて見る。
<ステータス>
LV:24
HP:1250/1250
MP:1250/1250
経験値:-95605/14400
名前:KAIN
職業:剣豪lv6
ギルド:無所属
コール:440000c
特殊項目
ペット:九尾狐
・・・マジか、俺もうすぐレベルアップだったはずなのに。
世の中、こんなはずじゃなかったのにってことばかりだと、誰かが言ってた気がするけど・・・その通りだな。
「というか、ここに居るのは俺だけなのか?」
ふむ。おっさんとシノはどうなったんだろうか?
念話でもしてみるか・・・とりあえず、巻き込まれてそうなシノから。
「シノ?大丈夫か?」
『殿!今何処?なの。』
意外とあっさり繋がった所を考えると、戦闘は終わったのだろうか?
「何処って・・・復活ポイントだけど?」
『・・・間にあわなかったなの。』
ふむ、どういう事なのだろうか?
シノの説明によると、攻撃を受ける瞬間に転送アイテムで離脱を試みた様だ。
実際成功し、シノとそれを見て後を追ったおっさんは、無事脱出した様だが、転送先に俺が居なかったので探していたらしい。
「というか、シノ・・・念話かければよかったんじゃね?」
『念話はかけたなの!でも、殿が出なかったなの!』
なるほど。俺が気絶している間に念話があったのか・・・あれ?ちょっと待てよ?
シノとおっさんは無事脱出したってことは・・・つまり、俺だけ無駄死に?
マジか・・・勘弁してくれ。
『それで、殿の状況はどんな状態なの?』
「あ~・・・うん。とりあえず、やばいかもしれない。」
だって、インナー来てるとは言え、ほとんど全裸だしね。
インナーの色が皮膚の色と一緒とか・・・これ、狙ってるだろ。
『すぐ行くなの!そこで待っていてなの!』
「あ、うん。」
何だか、シノの奴凄く慌ててた見たいだいけど・・・どうしたんだろう?
『お前さん、無事か?』
お!今度はおっさんからか。
「一応。あ!そうだ、おっさん。悪いんだけど、適当に装備買って来てくれないか?440000c以内で!できれば和装を!」
『それはかまわんが・・・もしかして、全装備破損か?』
お!流石、おっさん。
これだけで伝わるとは思わなかった。
「うん。今、インナー。ついでに言うと、ごめん。黒霧の刀も全損したっぽい。」
『お前さん・・・このタイミングで装備全破損とか、低確率にも程ある物を引き当てるか。』
いや、俺も引き当てたくて引き当てたんじゃないよ?
とりあえず、おっさんが装備を買って来てくれる様なので、今回は羞恥プレイは避けられそうだ。
それにしても、これからどうしたものか。
多少なら指南書で鍛えた、体術が使えるけど・・・お?
「殿!無事なの!・・・って、いや~!」
「ゲブッ!」
ちょ、シノさん?何で俺、いきなり全力で殴られたの?
思いっきり吹き飛んだよ?
ノーダメージゾーンじゃなければ、死んでもおかしくないよ?これ。
「殿の変態なの!何で全裸なの!?」
「いや、全裸じゃないし、一応インナーは着てるんだけど・・・行っちゃった。」
なんか、すご勢いで殴るだけ殴って出て行ったなシノの奴。
一体、何がしたかったのだろうか?