第86話/山脈といえば、巨人!巨人と言えば・・・?
「なぁ、おっさん。イメージってどうやればいいと思う?」
「お、おまえさん、今聞くのか?そんな事。」
いやだって、このままだとおっさん死にそうだし・・・。
目の前には、【サイクロプス】の攻撃を必死に抑えているおっさんが。
ちなみに俺は、そんなおっさんの後ろに隠れているわけだが、そろそろやばいんじゃないだろうか?
「殿、それよりも反撃準備するなの!」
「そうだ!と、いうよりも、俺がもう持たん。そろそろ反撃するぞ?おりゃ!」
俺と同じく、おっさんの後ろに隠れていたシノは、おっさんに弾かれバランスを崩した【サイクロプス】に連撃を決めに行く。
うわぁ、小太刀で目に刺してるよ。
かわいそうに、一つしか目が無いのにね。
まぁおかげで、俺は殴りやすくなったわけだが・・・。
さて、何でおっさんとシノが必死に【サイクロプス】フルボッコにしてるかと言うと、実は俺のせいだったりする。
前回、CBからイメージがスキル発動の鍵だと教わった俺だが・・・未だに発動できずに居たりする。
その為、ドロップアイテムで装備強化も含めて、スキル発動の練習の為に【パスティージュ山脈】近くで、俺達は今戦っているわけだが・・・。
「殿!試すなの!」
「応!いくぜ、ブレイクダウン!」
・・・うん、反応ないね。
俺の放った左拳は、地面に倒されて暴れる【サイクロプス】を殴るだけだった。
正直さ、どうやって発動すればいいの?これ。
「おいおい!また失敗か?仕方がない、こいつを仕留めて次を探すぞ。」
「了解なの!」
不発を見届け、おっさんは呆れ顔で【サイクロプス】にバトルアックスを振り下ろすと、撃破した。
いや、気持ちはわかるんだけどね・・・仕方ないじゃん?発動しないんだもん、これ。
「殿、やっぱりアレをやるべきなの!むしろ、私にも見せるべきなの!」
「今ので100体目だし、おまえさんもそろそろ腹をくくったらどうだ?」
マジか・・・でも、あれは生涯封印と決めたのだが。
そう、あの時の報告で凛の奴は、ちゃっかり俺の黒歴史をばらしてやがった。
しかも、俺が痛い病気状態の方がスキルを発動し易いと嘘まで付けて・・・。
その凛と言えば、【ファングガントレット】をGETするべく、アチャと共に【シルバーファング】の討伐へ出かけている。
何故アチャなのかと言えば、アシュレーが居なかったからだ。
あれ?そういえば・・・。
「時におっさん、あんたは仕事大丈夫なのか?」
「何がだ?」
いや、だってねぇ?
俺とか凛は長期休暇だし、多分シノもかな?
アシュレーは不定期ログインだから、仕事してるのかな?少女にしか見えないけど・・・。
アチャも事件のせいで、仕事が今休みなのでいるのもわかる。
しかし、おっさん。あんたは何故ここに居る?
俺が知る限り、平日の昼間で平然とログインしてる気がするのだが・・・。
はっ!?まさか・・・無職な人だったのか!?
「すまん、おっさん。そうだよな、皆が皆就職してるわけじゃないもんな・・・。」
「おい!おまえさん、何を勝手に俺を無職にしてやがる!」
え?違うの?まさか、その成りで学生とかいうんじゃ・・・辞めてよね、いくらなんでもその冗談は笑えない。
「・・・学生は無理があると思うなの。」
「あ、シノもやっぱりそう思うか?そうだよな。」
むっ?おっさんよ、何故そこで呆れる。
俺は事実を言ったまでだが・・・まさか!?マジなのか?
「・・・誰も学生だとは言っておらんだろうが!今は、ちょっと訳有りで時間があるだけだ。」
「よかった。てっきりマジで学生なのかと思ったじゃないか。ちょっと、吃驚させないでくれよな。」
それはどういう意味だ?っておっさんがすごんでいる様だが・・・ダメだ目が合わせられない。
だって、目を合わせる前に、その角度だと頭が光る・・・うぉ、まぶし!
「目が、目が~。」
「・・・さすがに直視はできないなの。」
さて、そんな感じでおっさんをいじって遊んでたら、【サイクロプス】が出現した様だ・・・ん?
あれ?なんかでかい様な・・・【クリュティオス:レベル35】?
って!ボスかよ!?マジか。
「おっさん、あれに勝てるか?」
「おまえさんが、邪魔しなければ何とかな。」
ふむ。さてと・・・それじゃ逃げる準備でもしますか。
ん?あれ?おかしいな、なんか目があった気がするぞ?
「・・・殿、タゲられてるなの。」
「おまえさんは、なんでいつもいつも。」
え?俺のせい?いや、これ俺のせいじゃないよね?
ま、まぁ落ちつけ、冷静なれ・・・とりあえず、助けて!