第85話/置き去り、それが俺の運命。
結局、凛は納得していないが、CB自信が認めたので良しとした様だ。
「それで、あの特殊スキルはどうやって起動するの?」
あれ?凛さん、それ聞くの俺の役目じゃ・・・まぁいいけど。
「特殊スキルって、ブレイクスルーの事?それなら、簡単に発動できると思うけど・・・。」
CBが言うには、発動条件は使い手のイメージが重要らしい。
例えば、この間の様に独自プログラムを上書きする場合は、アクセスした中から紐の様なものを引っこ抜くイメージだと成功するらしい
。
正直、俺にはわからないんだけど・・・。
「というか、KAIN。少なくとも2回は成功してるよね?あの時の感覚を思いだせばいいと思うよ?」
「いや、それができたら苦労しないって。」
そもそも、意図的に発動したわけじゃないし・・・。
「ん~?でも、【アシッドフラワー】の時なんて、わかりやすいんじゃないかな?多分、あの時腕に絡みついた蔓を何とかしたいと思っ
たんじゃないかな?」
ふむ。言われてみればそんな気がする。
そういえば、あの時は黒霧の刀をGETしたんだよな・・・ってことはもしかして、あの刀ってチート品になるのか?
「後は、そのキャラに成りきることも重要かも・・・ほら、僕の場合は、DHMに成りきる事で発動してたわけだし。」
「・・・つまり、痛い病気を俺に再発させろと?」
マジか。ただでさえ、今回凛に見られただけでも重症なのに。
このゲームは俺をどれだけ悶えさせるつもりだ。
「なるほどね。イメージ力か・・・ところで、CB。あんた、そのキャラクターどうしたのよ?」
そういえば、目の前にCBが居るはずなのに、フレンドリストではログイン表示になってない。
「ああ、これ?なんか、依頼と共に送られてきたんだ。何でも専用アバターなんだって。」
「どういうことだ?」
CBの説明によるとこうなるらしい。
俺がバグスキルを手に入れてしまった事を俺の代わりにCBが、運営に質問メールを出す。
↓
CBに少し前にその解答が来て、バグの修復に伴い、とあるクエストのテスターをやらないかと誘われる。
↓
クエストを受けたCBは秘密裏に行うテスターの為、専用アバターを使用するように指示される。
↓
やり始めたら意外に面白く、実家に帰省している間もネカフェで実践していたらしい。
↓
5体目を倒して、一息ついた所で久々に大型掲示板を見たら名前指定で呼び出しがあったので、来てみた。今ここ。
ちょっと待てよ?秘密裏なのに掲示板に書くとか・・・矛盾してないか?
「ちょっと待ってよ、おかしいわ!何で秘密裏って言われたのに、何で掲示板にこのゲームの危険性なんて投稿したのよ?」
「え?僕、掲示板に投稿何てしてないけど?いつの話?」
ふむ。どうも話がかみ合わない。
正直、掲示板を見ていないから俺は何とも言えないが、どうやら凛が話した内容をCBは書いていないようだ。
・・・謎だな。というか、そうなると副作用も知らないんじゃないのか?
「そんな・・・KAIN。僕、どうすればいいのかな?」
やっぱり副作用を知らなかったようで、凛と俺が説明したら困った感じの声になった。
というか正直、仮面のせいで表情がわからない。
「ともかく、あれだな。そのアバターを運営に返却して、お前は一回、実家に帰れ。」
「そうだね。KAINも、心配かけてごめんね。」
いや、別に心配してなかったんだが・・・どうしてそうなった?
というかですね、個人的にはそのアバターを見てるとどうしても過去の古傷が・・・。
「さてと、KAIN。私はこの事を幸恵さんに報告してくるわ。」
なんだろう?転送前の凛が妙にニヤけていたのが気になる・・・まさか、あれを報告するつもりじゃないだろうな?
「それじゃ、僕もこのアバターを返して来るよ。」
「あ!そうだ、CB。一つ教えてくれ。そのアバターを渡したのは誰だ?って!もう居ないし!」
というか、一番肝心な事聞き忘れたんじゃないか?俺。
まぁいいや、とりあえず戻ろう・・・あれ?
そういえば、ここから俺、どうやって出ればいいんだ?
・・・結局、いつまでも戻ってこないので、様子を見に凛が来るまで俺は放置されたのだった。
今度から、転送系アイテムも持つ事にしよう・・・うん。




