第84話/今こそ、封印を解き放つ時!・・・え?ダメ?
俺は今、フィールド:忘却都市に来ている。
由梨からの電話を終えてすぐ、俺は凛にある事を頼んだ。
その結果を一人、待っている。
待っているのだが・・・来ない。
「あれ?俺の予想外れた?」
『・・・ある意味では当たりかもしれないわね。【エリアル】何て人が多過ぎて大変な事になってるから。』
なるほど、一応あれを見てる人は多いようだ。
俺が何を頼んだかと言うと、例の大型掲示板にDHM宛にメッセージを出してもらったのだ。
内容はこうだ。
【お前の正体はわかった。バラされたくなかったら5番目のボスが居たフィールドに来い!】
凛の話だと、この書き込みをした後すぐ、掲示板ではいろいろな考察が飛び交い、最終的には炎上祭りだったらしい。
ちなみに、先程凛が言った【エリアル】とは、どうやら隠しダンジョンの5番目に当たる場所らしい。
まぁ俺が言った5番目のボスとは、独自プログラムの事なのだが・・・相手は理解してくれただろうか?
『そもそも、KAIN。これで相手は理解できると思ってるの?嫌よ、私が書きこんだせいにされるのは。』
「いや、せいにはしないが・・・理解できると思ったんだけどな。」
そして、何故俺が直接掲示板に書き込まなかったかと言うと、単純に使い方が分かりにくかったからだ。
だってあの大型掲示板、書きこんだ端からどんどん流れて行くんだぜ?
正直、ついていけな・・・ん?
「・・・君かい?僕をここへ呼んだのは。」
声と共に転送エフェクトの中から出て来たのは、俺の待ち人・・・狐仮面。
「来たか。随分遅かったな、狐仮面。いや、CB。」
「・・・それはどういう意味だい?それと、遅いも何も時間は指定されていなかったと思うけど?」
くそ、驚く顔が見えるかと思ったけど、考えたら仮面付けてるじゃね~か。
というか、凛・・・時間指定して無かったのかよ!
「まぁいい。それで、僕の正体をバラすと書いてあったが・・・どうやら、嘘だったみたいだね。」
「いや、正体自体はわかってるし、証拠もあるぜ?」
お?体をびくっと反応させた所を見ると、今度は驚いたようだな。
さて、ここからが自分との勝負所だ。
正直、何処まで悶絶せずに居られるか・・・。
「へぇ。その証拠とは何なのかな?」
「その前に知りたい事が一つと願いが一つある。」
俺は、狐仮面のペースをぶった切って、一方的に要件を伝える。
知りたい事は勿論、特殊スキルの発動の仕方。
そして願いは、由梨との約束だ。
さて、CBが何処までごまかして来るか。
「・・・しかし、それは僕の正体が正しかった場合だろ?」
ふむ。どうやらゆめちゃんが倒れた事を教えたくらいじゃ崩さない所を見ると、何かわけがありそうだな。
仕方ない、こうなったら奥の手を使うか。
「確かにな。なら、証拠を見せよう。良いか、一度しかやらないぞ?」
「?一体何をやるというんだい?」
俺は左腕を肩まで水平に上げると、右手を顔の前に持ってくる。
正直、ここから先は封印してたんだけどな。仕方がない、やるか。
「我がダークハンドにひれ伏せ!そして、己が過ちを地獄で懺悔しろ!」
・・・うわぁ、やっちまった感が半端ない。
というか、無言ですか?リアクション無しですか?
あれ?もしかして、俺の推理外れた?
『・・・で?KAIN。その痛いセリフの何処が証拠なのよ!』
しかも、凛と念話繋いだまんまだ・・・うわぁ、死にたい。
いっそ殺してくれ!
「なっ、何でそのセリフを・・・。」
お?ようやく反応したか。
というか、反応するまでに時間かかり過ぎだろ。
「何でも何も、俺がこのセリフを言ったのお前が拉致られたの助けた時だけだし・・・。それと、お前間違えてるぞ?俺、包帯つけてたの左腕な。」
そもそも、基本的にはこんな長いセリフ言わないし。
大抵の場合は、「ダークハンド・マスターここに参上!」とかだったし。
あの時は、呼んだ警察が来るまでの時間稼ぎをする為に、ちょっと派手にやったからな・・・うん、思い出したくない過去だ。
さて、これで積みだろう・・・ん?なんか凛の声が震えている様な。
『な、な、な』
「な?」
ナスでも食べたいのだろうか?
まぁ季節的にはちょうどいいかもしれないが、唐突だな。
『何で、そんなのが証拠になるのよ!』
「え?おかしいか?でも、狐仮面は認めてるぞ?」
まぁそれ以外にもDHMの時点で、ダークハンドマスターの略だと、少し前に気がついたんだけどね。
お?誰かが転送してき・・・凛?何で、そんなに怒ってるんでしょか?
「おかしいでしょ!というか、何であんたも認めてるのよ!普通、こんな変な証拠だったら有っててもシラを切るわよ!」
「だって、本物のダークハンドマスターだよ?認めるしかないと僕は思うよ?」
お!遂に言質取った。
それにしても、凛は何でそんなに納得いかなかったのだろうか?
まだ騒いでるし・・・。