第73話/解決?・・・再封印でお願いします。
時が経つのは早いものだ。
朝から連れまわされたはずのに、気がつけば辺りは大分暗くなっている。
そんな中、俺は何故か由梨とショッピングモールのベンチに座っていたりする。
おかしいな?俺、予定では今頃EOWに戻ってるはずが・・・結局、ネカフェには行けてないし。
世の中、どうしてこうなるのかな?って事ばかりだな。
具体的には、ダークハンド・マスターを知られたり、知られたり。
そもそも俺の黒歴史が暴露されなければ、あの夜は起きなかったのではないだろうか?
状況はこんな感じ。
朝一で寮に戻る準備していたら、由梨に遊びに誘われる。
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寮に戻りたい俺は、全力で断る。
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相手してくれ無いなら、来夢にダークハンド・マスターの正体をバラす、言われる。
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結果的に、遊びに付き合う事に。現在進行形で今ここ。
そもそも、何で由梨がダークハンド・マスターを知っているのだろうか?
あれを発症したのは、俺が高校一年の時だから・・・由梨はまだ中学生だろう?
家では、一般人だったはずだし・・・ふむ、謎だ。
「なぁ、今さらだけど・・・何で由梨がダークハンド・マスターを知ってるんだ?」
わからない事は本人に聞くのが一番だな・・・って、何故、呆れ顔?
「知ってるも何も、未だに一高では伝説だよ?」
「・・・何で、そんなに有名になってるんだよ。」
そりゃね、あの頃はいろいろ痛い症状を患っていましたよ。
確かに、当時はちょっとカッコいいかな~とか思ってましたよ、ええ。認めましょう。
しかし、今では毒でしかないわけで・・・。
「そりゃ有名にもなるでしょ?やってる事は立派なんだし・・・あんな格好だけど。」
いや、おかしいだろ・・・あれが立派とか。
当時を思い出したくないけど、簡単に説明するならこうだ。
小学校以降、中二的な痛い症状を患ったまま、高校へ進学。
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高校生活でも治らず、HEROに憧れて余計に悪化。
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変装と評してライダースーツに狐のお面を着け、声をヘリウムガスを吸う事で変える。
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何かを護らなくては!という痛いノリで、地域治安回復に貢献。
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気がつけば、地域治安が回復してた。
そして、その際に使っていた名前が、ダークハンド・マスターと・・・。
うん、今思いだしただけでも悶絶したくなるな。
「それにしても、不良と不審者をボコってただけで、伝説になるとは・・・。」
「いや、なるでしょ。狐のお面と高い声の変態が、治安維持に努めてたら。」
マジか・・・というか、本人を前に変態っていうなよ、ただでさえ過去の傷を抉られてるのに。
あれ?なんか、目から汗が止まらない。
「・・・それにしても、もう3年も前の話だろ?何で未だに広まってるんだ?それに正体は来夢にすら明かして無いはずだが?」
何せ、来夢をその手の荒事に巻き込むと、とんでも無く恐ろしいからな。
普段、あんなんなのに意外と交戦的なんだよな・・・あいつ。
「まぁ伝説が一番広まった理由は、清野校長が語ってるからだろうけど。」
「はい?」
今、何て言った?清野校長が語ってる?
由梨が言うには、校長はこう語っているらしい。
昔、治安を護る為、自分の姿を偽って風紀を乱す輩を成敗したHEROがこの地域には居たと。
そして、そういう他人の為に何かをできる人になって欲しいと。
これを新入生が入る度に、言っているそうだ・・・マジで辞めてくれ、というか美化し過ぎだろ。
「ちなみに、私が正体を知っている理由は、変装途中の誡兄を見た事あるからです!」
おい!校長の下りとか全然関係ないじゃね~か!
「ちなみに、今でも一高ではその伝説を継ごうする人は多いよ?こうやって中二病って感染していくんだね。」
「・・・マジか、勘弁してくれ。」
あ!思いだした・・・由梨に見られた事で凄く恥ずかしくなって、一生の封印にしたんだっけ。
何故、こんな大事な事を忘れていたのだろうか?
まぁ思いだした所で、遅いんだけどな・・・はぁ。