第71話/過去を知る身近な人物ほど怖いものは無い!
『おはようございます。朝のニュースです。またもNA社製基板による爆発事件です。今回被害に遭ったのは、神奈川県川崎市にある・・・』
「・・・気がつけばあれから5日か。」
そう、俺はまだ実家に居たりする。
あれ?おかしいな?本当は、すぐにでも寮に戻る予定が・・・。
「物騒だな。これで3件目か。」
「NA社でも原因はわからないのでしょ?怖いわね。」
あれ?俺の独り言は全力スルーですか?そうですか。
まぁ両親がスルーするのも無理も無いか。
『・・・また、この事件に置いてNA社では全力で原因の特定に当たると・・・』
何せ、俺が実家に戻った次の日から、世間ではNA社製の電気基盤を使った施設の爆発事件が続いてるわけだし。
それもこの5日間で3件も出れば、そりゃ息子の独り言よりも興味が行くのはしかないだろう・・・うん。
べ、別にスルーされて寂しいわけじゃないんだからね!
・・・うわ~、実家帰ってから黒歴史が再発している気がする。
お、落ちつけ、俺。そうだ、ここは味噌汁でも飲んで・・・ヌル?
「・・・お袋。この味噌汁、何入れた?」
「え?普通に豆腐とわかめでしょ?何を言ってるんだい。」
いや、あの・・・普通の豆腐とわかめじゃないから言ってるんですけど・・・。
どう考えても、この滑り気はわかめじゃないよね?
とりあえず、台所で正体を調べるか。
ん?この袋がそうか?一体、何を入れて・・・とろろ昆布?
え?何それ・・もやはわかめですらない。
自分の母親に言うのもあれだが・・・大丈夫か?主に目と脳味噌。
「ん?今日の味噌汁はうまいな。」
「そう?わかめ新しいのに変えてみたの。」
いや、それ・・・わかめじゃないから。とろろ昆布だから。
つうか、どうやったら間違えるんだよ、これ!
「誡。朝ご飯まもういいのかい?おかわりあるよ?」
「いいや・・・ごちそうさま。」
さて、朝飯も食べた事だし・・・本日のメインミッションに挑みますか!
ミッション!寮へ戻る。・・・クリア条件、悪魔に見つから無いうちに家を出る!
よし、ミッションスタートだ!とりあえずは荷物だな。
さぁ、俺が5日も滞在を余儀なくされた悪魔が来る前に、さっさと出るとしよう。
今なら間に合うはず!行ける!今日こそ、俺は自由を手に入れるんだ!
玄関は危険だから、ここは庭に出て・・・。
「行ける!これで俺は自由に・・・。」
「誡兄居る~?あ!丁度良かった、部屋まで行く手間が省けた。」
・・・ならなかった。
どうして、この悪魔は毎日毎日、俺が出ようとするタイミングで現れるのだろうか?
もしかして、監視でもされているのだろうか?
「どしたの、荷物何て持って?まぁいいや、今日は隣町のショッピングモールに付き合ってね、誡兄!」
いや、荷物持ってるんだから、寮に戻ろうとしてるのわかるだろう、普通!
まぁこいつの場合は、わかってて言ってるんだろうけど・・・。
しかし、ここで頷いてしまったら昨日の二の舞だ。
ここは強気な姿勢で!
「悪いな、由梨。俺、これから寮に戻・・・。」
「・・・ダークハンド・マスター。ん?誡兄どうしたのかな?あ!荷物は置いてきてね?」
ちょっ・・・せめて最後まで言わせてください。
というか、それ脅しだよね?そうだね?
くそ、この悪魔め。
「そういえば、昔高校の先輩に居たな~。自称ダークハンド・マスター(笑)もう少しで、思い出させそうなんだけどな~。」
「・・・喜んで、お供させて頂きます。」
そう、これが俺が5日間も滞在を余儀なくされた理由だったりする。
あれだよね・・・身近に黒歴史を知ってる人間が居るって辛いよね。
この情報社会、一つの黒歴史が人生を破たんさせる世の中だと思うんだ、うん。
ともかく、俺はこう言いたい・・・助けて。




