第6話/神は言って・・・狐?
俺が回避した後の地面が、次々に穴を開いて行く。
一撃一撃が、ズドン、ズドンってやばい音がしてるのだが・・・。
「なぁ、Cherry blossom。これ、死んだらどうなるんだ?」
視界の左上に見えるHPバーが、掘られた土や石によるダメージで地味に削れていく。
痛みが無いのは幸いだが、石が当たる度に痺れたような感じになるのは何とかならないのだろうか。
とてつもなく走りにくい。
『ん~。多分、【リムタウン】の転生陣に送られると思うけど・・・KAINがレベル1だから、ペナルティは痛いかな。』
「具体的には?」
『レベル差×10000の経験値を失うね。そうなるとレベルを上げるのに通常の100倍は苦労するね。後、多分装備も全破損かも。』
レベル差19だから、-190000の経験値スタートだ・・・と・・・!?
もう、それ無理ゲーと呼ばれるものでは?
「うぉぉぉぉ!死ねるかぁぁぁぁ!」
気合を入れ直した所で、俺は気がついた進行方向から蔓が迫っている事に。
このままだと自分から蔓に突き刺さりに行くしかない。
「神は言っている!ここで俺が死ぬわけ、うぉっと!」
どこぞのネタをやろうとしたの間違いだったのか、思いっきり地面の窪みに躓いた。
受け身を取ろうと両手を前に出した所で、ある事に気がついた。
俺、このまま手を付いたら、両腕の骨が折れるのじゃ・・・?
せめて右手だけでもと、空中で咄嗟に右腕を引っ込める。
結果的に・・・顔面から地面に突っ込んだ。
ダメージは適用されるらしく、視界のHPバーが一気に半分以下となり、色が緑から黄色に変わる。
転んだ衝撃で仰向けになった俺の目に映るのは、俺の体を掘る勢いで迫る蔓!
・・・終わったな。
「妖術、狐火!」
俺の耳に聞こえた声と共に、迫りくる蔓が萌えた!違った、燃えた。
「キシャァァァァ!」
奇声を上げて、アシッドフラワーの蔓が本体へ戻っていく。
身を起こして振り向いた俺が見たのは艶やかな着物に身を包み、腰まで伸びた金色の髪。
そして、九本の狐尾と狐耳を生やした美しい人だった。
そんな狐人を見て、考えたらこれ・・・ゲームだから骨折とか考える必要無かった思うのだった。