第50話/暴君?変態?・・・むしろ味方が変人。
今回、俺はボスエリアの闘技場に来ております!
わ~お!円形のスタンド席には、NPCの観客でいっぱいですね。
お?観客からの声援ですか!ありがとう~!
≪殺せ!殺せ!≫
・・・何?この声援、というかBGM。
後ろを振り向いたら、入ってきた扉が閉まってるし・・・。
これって、ボスを倒すか、殺されないと出れない?
「・・・所謂、デスゲーム?」
「いや、コロッセオという事から、これは一方的な処刑であろう。」
アチャーな人が言うには、コロッセオでは元々公開処刑の場所だそうだ。
なるほど、どうでもいい知識だな。
ん?しかし、そうなるとこの状況は・・・俺達の公開処刑?
その割には、ボスが一向に出てこない気が・・・ん?
≪我が眠りし後に、この地を穢す者は誰だ。≫
なんか、聞こえたぞ?
「ようやく、ボスのお出ましみたいね。」
「早く倒して、ケーキなの!」
いや凛はともかく、シノ・・・それはどうかと思うが。
「来ます!皆、油断しないように。聖龍隊は右に展開。黒龍隊は左に展開を、お願いします。」
闘技場の中央より奥で、何やら黒い霧みたいなのが見える。
あれが、今回のボスなのだろうか?
アリューの指揮で、前線の壁組は左右に展開している。
というか、この動き・・・事前の打ち合わせでもあったのだろうか?
作戦会議ではそんな話は無かった気がするけど・・・。
「なるほど。高火力である桜花狂乱を温存したのか、聖龍騎士団のマスターは意外とやるようだ。」
「ん?どういうことだ、おっさん?」
おっさんの説明によると、今回がこのイベントボスの初見らしい。
その為、通常のボス戦陣形を取りつつ、敵の動きを見る間はトップギルドの桜花狂乱を温存する構えだそうだ。
というか、これが初戦かよ!?
てっきり、作戦会議とかしてたから情報が集まってるものだと思ってたぜ?俺。
そうこうしている内に、黒い霧が段々形を作り始めてきた・・・ん?意外と小さい?
今までのボス戦のイメージからすると、2メートル以上の巨大な化け物が来ると思ったんだが・・・。
霧の塊を見る限り、俺達とあまり大差の無い大きさの様だ。
さて、そろそろボスの姿見えるはずなのだが・・・。
何だろう?
なんか前線の方、動き止まってないか?
まさか、人数が多過ぎてラグってるとかじゃないよな?
「ほう。なるほど、そういうことか。開発者も面白い事をしてくれる。」
「・・・お前はさっきから、何を言っている?」
思わず、突っ込んじまった。
だってさ、先から隣でこのアチャー、顔をニヤけさせてるんだぜ?
変質者的な意味で、不気味で怖すぎる。
「貴様も見ればわかる。」
うわ・・・こいつ、どんどん偉そうになって行くな。
ぶっちゃけ、むかつくな。
戦闘で役立たなかったら、後ろから斬りかかろうかな?
・・・うん。いいなそれ、よし!決定。
っと前線が動き出したな、これでようやく姿を・・・え?女の子?
≪我、皇帝ネロへこの狼藉!汝ら、楽に死ねると思うでないぞ?≫
何て言うかセリフに凄味がある分、見た目とのギャップが・・・。
というか、宝石をふんだんに使った煌びやかな衣装に、身の丈ほどの大剣って・・・これでいいのか?イベントボス。