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END OF THE WORLD ONLINE  作者: 岸村改
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第25話/着崩した着物って・・・いいよね?

落下ダメージは無かったけど・・・ここ本当に建物の中か?


目の前に広がる日本庭園。


紅葉した紅葉の葉とか舞っているのだが・・・広さがありえない。


奥の方に山々が連なってるのとか見れるんだけど・・・。


それに、上には青空があるし・・・俺、あそこからちゃんと落ちてきたんだよね?


「ほう、侍の客人とは珍しいのぉ。」


振り向けば、薄手の着物を着崩した金色の九つ尻尾と狐耳の妖艶な女性が一人・・・いや一匹?


それにしてもなんというか、胸元とか歩くたびに翻る裾とか・・・あれだな、ぶっちゃけエロい。


「ふふふ。そなた、わらわの美しさに見とれておるな。良い良い、もう少し寄るが良い。」


胸元から取り出した扇子で口元を押さえ、手招きしてるけど・・・ものすごく上機嫌?


とりあえず敵意もなさそうだし、近づいて見るか。


ついでに頭の上に目線をやる・・・【玉藻の前:lv50】。


うん。やっぱり玉藻だ・・・ところでここで俺攻撃されたら死ぬと思うんだけど、タゲられないのだろうか?


「そなたは面白いのぅ。わらわを怖がる所か、従い近寄ってくるとは。」


え?これって、何か間違えた?


だって、どう見ても攻撃の意思は感じないし・・・あれ?もしかして、それすらも作戦ですか?


「ふふふ、安心するがよい。別に取って食ったりは・・・ふむ。どうやら盗人が忍びこんだようじゃのぅ。」


上機嫌だった玉藻は、片方の狐耳を動かすと、そなたはそこで待っておれ。とか言い残して何処かに消えた。


全く狐耳を片方だけ、ぴこぴこって動かすのは反則だと思う・・・可愛すぎるだろ。


それにしても盗人か・・・ん?盗人?


確か、シノのクエストって、玉藻から勾玉を取ってくるんじゃなかったか?


パーティーリストからシノの位置を確認する。


ふむ。どうやらシノは目の前に見える、平安時代の宮廷を思わせる建物内に居る様だ。


あれ?ちょっと待てよ?


さっきまでここに玉藻が居たわけで、それが今は盗人・・・多分シノが勾玉を手に入れた事で戻ったわけだ。


つまり、シノのピンチ?


助けに行くべきなのだろうか?しかし、玉藻のレベルは50・・・行った所で足手まといにしかならないが気がする。


それに元々一人でやるつもりだったし、シノも流石に何か作戦を立てて・・・お?建物からシノが飛び出してきた。


こちらへとまっすぐ走ってくるのは良いけど、なんか怪我してません?


血痕がこちらに来るまでに点々とできているのだが・・・というか、このままだと俺も巻き込まれるんじゃ?


シノの後ろでは、建物を派手に壊しながら本来の九尾狐の姿になった玉藻が、追いかけて来てる。


うお!火の玉がこっちに飛んできたよ、あぶね!


「侍!何をぼーっとしてるなの!さっさと逃げる・・・なの!」


『待たぬか!盗人め!わらわの勾玉を返せ!』


俺を通り過ぎて行くシノに合わせて走り始めたは良いけど・・・玉藻がすげー怒ってるんだけど。


というか、出口って何処にあるの?


ここ来る時、空から落ちてきたよね?


「知らないなの!今まで、盗めても無事帰れた者は居ない、なの!」


え?それって、クリアした人が一人も居ないってこと?


なのに、秘奥義が手に入るって・・・一体誰だ、証拠も無しにそんな事言ったやつは!


おかげで、関係ない俺が絶賛ピンチじゃないか!


後ろを振り向くと、玉藻との距離は段々近づいてきている。


『貴様ら!仲間だったか!許さぬ!』


「危ない!」


玉藻の九尾から放たれる九つの火玉。


そのうちの一つがシノへ直撃コースだったので、咄嗟に隣のシノの腕を掴んで抱き寄せた。


結果的に直撃は回避できたが、抱き寄せた反動で二人して転んでしまった。


「痛てて、大丈夫か?」


「・・・助かったなの。でも、これはまずいなの。」


俺の腕の中からシノが起きあがった時には、玉藻は俺達を見下ろしていた。


近くで見るとその大きさに唖然とする。


酒天童子と同じくらいか、それよりでかいのではないだろうか?


『ふむ。盗人共め、追いついたぞ・・・さて、どうころしてやるかのぅ。』


ああ。やっぱり俺も盗人に入ってるのか・・・まぁパーティー組んでるし当然か。


「玉藻の君、お前は勘違いしてるなの。盗人は私で、そいつはただの迷子なの!」


『ほう。侍を庇うか盗人よ。ふむ、よかろう。まずは貴様から見せしめにするとしよう。』


いや、まぁ有ってるけど・・・迷子って。


しかも玉藻がなんか納得してるし・・・。


シノは素早く玉藻へ走り出すと、その足元を通り抜けていく。


玉藻は玉藻で、すり抜けられた事を気にせずに方向方向転換すると、シノへ攻撃を始める。


シノは、飛んでくる火玉を回避しながら、次々にクナイの様なものを投げている。


しかし、玉藻のHPバーを見る限り、数発当たって、ようやく1ドット消えたかどうかという感じだ。


そうしている間に、玉藻の放つ火玉による攻撃パターンがランダム性を増していく。


その為、今まで一定の動きで回避していたシノも、火玉を段々掠るようになってきている。


掠る度に、シノのHPバーはどんどん減っていく。


遂に、半分を切って、黄色にまでなった。


そしてここまで、俺放置・・・まぁいいけどさ。


しかしこのまま見殺しと言うのも後味が悪い。というか、ここでシノが負けると、俺もこの後殺される。


直接攻撃した所で、タゲられて終了だろうし・・・何かないだろうか?


適当にアイテムストレージを開いて見てみる・・・ふむ。回復用に大量に手に入れた馬油くらいしかないな。


鞍は・・・この状況でどうやって使えと?


「くぅ!流石に厳しいなの。」


『どうした、盗人よ。その程度で終わりかぇ?』


玉藻の背を挟んで向こうで、シノが着弾した火玉の余はで吹き飛んだ。


HPバーもその反動で、遂に赤色になっている。


「シノ!これを使え!」


流石にまずいので、多少の足しにと俺はアイテムストレージから馬油を投げ・・・鞍?


あちゃ・・・間違えて鞍を投げちゃったよ。


しかも、距離的に考えてシノまで届かないじゃん。


『今さら何を使用とも、この盗人には届かぬわ!ぬっ?これは・・・貴様!?』


あれ?なんか、玉藻の様子おかしくね?


そういえば、ノーコンの俺が投げた鞍は何処へ行ったのだろうか?


あれがないと、今後の愛馬GET計画に支障が出るのだが・・・。


『くぅ。このような方法でわらわを従わせ様とする者がおるとわ。・・・不覚。』


なんか、玉藻がすげー苦しそうにしてるし、お前は一体何と戦っているんだ?


あ。崩れ落ちた。


≪ペット:九尾狐を取得しました。≫


はい?


え~っと、システムメッセージさん?何を言ってます?


「そんな馬鹿な事が・・・なの。」


なんか、シノも驚いてるし・・・。


そこでようやく、鞍が何処に行ったか理解した。


どうやら投げた鞍が放物線を描いて、玉藻の背中に乗ったらしい。


ふむ。確かにこのアイテムは背中に付ければ一定確率でペットにできるけど・・・。


これは、ありなのか?玉藻ってボスモンスターだよね?いいのかこれで?


メニューウインドウを開いてみると、確かにステータスにペットの項目が追加されている。


<ステータス>

  LV:16

  HP:1000/1000

  MP:1000/1000

経験値:50/4500

 名前:KAIN

 職業:侍lv2

ギルド:無所属

コール:600c

特殊項目

ペット:九尾狐


特殊項目は、条件を満たすと出るみたいだな・・・って!そうじゃなくて、どうするのこれ?


しかも、アイテムストレージから鞍が消えてるし・・・俺の愛馬計画~。


ともかく、愛馬計画が幻想に消えて、ペットに九尾狐が手に入りました・・・これでいいのか、このゲーム。

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