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END OF THE WORLD ONLINE  作者: 岸村改
22/103

第21話/思わぬ真実・・・最近、幼馴染が怖いです。

突然落とし穴に落ちた様な落下感で、慌てて目を開けるとそこには、知らない天井・・・では無く見なれた天井が見えた。


「うぅ・・・どうなったんだ?」


どうやら強制ログアウトされた見たいだ。


落下感のせいで掻いた嫌な汗が服をべとつかせる。・・・すげー気持ち悪い。


鈍い頭を動かし、腕に力を入れてどうにか上半身を起こした。


LINKSを外して隣のリクライニングシートを見ると、まだ来夢は寝ているみたいだ。


もしかして、俺だけがゲームから弾かれたのだろうか?


それともあの尋常じゃないゲームのダメージで、来夢はリアルボディに何らかの影響を受けているのだろうか?


まさか、死んでるなんてことは・・・。


寝息一つ聞こえないので、ショック死の心配を考えて来夢に近づいてみる。


「おい、来夢。生きてるか?」


「ん・・・僕は、いったい・・・。」


どうやら死んでは居なかったらしい。


体を揺すってやると、眠そうな声と共に目がうっすらと開いた。


それにしても、強制ログアウトによる倦怠感がひどい。


冷蔵庫から自分用のミネラルウォーターを取り出すついでに、未だ起き上がらない来夢にも持って行ってやる。


「ん。ありがとう、誡。」


寝た状態のままでLINKSを外した来夢は、受け取ったミネラルウォーターを一口飲む。


すぐに起きれない程に、ダメージがひどいのだろうか?


「ん~?・・・誠心誠意の手厚い看護があれば、すぐ起きれると思うよ。」


OK。こいつは放置しても大丈夫そうだ。


この人がせっかく心配してやってる状況で、微笑みを浮かべてる余裕があるくらいだしな。


全く。弱っている時のこいつが微笑むと、無駄に儚げで妙に色っぽいから、いろんな意味でタチが悪い。


「そんだけ馬鹿な事を言えるなら、大丈夫そうだ。先に風呂場借りるぞ、寝汗を落としたい。」


「あ!ずるい。僕も今すぐさっぱりしたいのにぃ。レディには優しくするべきだと僕は思うよ、誡。」


・・・お前はレディじゃないだろ。


つっこみを入れるのも面倒なので、放置してそのまま風呂場に入る事にした。


念の為、鍵をかけて。


しばらくして俺が風呂場から出ると、扉の前で何やら不満そうなに頬を膨らました来夢が、着替えを胸に抱えて立っていた。


来夢は何か言いたそうだったが、あえて無視し続けると諦めたのか、そのまま風呂場へと消えて行った。


・・・こいつは一体何をしようとしていたのだろうか?


それはともかく今回の強制ログアウトについて、EOWの公式からは何か情報はないのだろうか?


LINKSを買ってからまともに使っていなかった、デスクトップ型の自作PCでブラウザーを立ち上げる。


普段、EOWをやる時はこのデスクトップを中継器代わりにして、LINKSでダイブしているので起動自体は常にしたままだ。


『EOW運営からの重大なお知らせ。』


ブラウザーで公式サイトを開くと、トップページにある最新情報の欄にリンクがあった。


すかさずクリックし、情報ページを開く。


『本日17時頃に、一部サーバーにおける重大なトラブルが発生した為、緊急強制ログアウトをさせて頂きました。皆様には大変ご迷惑をおかけいたします。なお、現在緊急メンテナンスに伴い、ゲームは一時停止させて頂いております。メンテナンス終了次第公式ホームページにて、報告させて頂きます。』


他にもいろいろ書いてあるが、面倒になったので俺はブラウザーを閉じた。


それにしてもリアル時間で17時か・・・丁度、俺達があの鎧武者と戦闘していた頃ではないだろうか?


≪メールが届きました。≫


何か関係性があるのかと考えこもうとした矢先、PCがメールの受信を知らせてくる。


誰からかは分からないが、PCのメールソフトでとりあえず開いてみる事にした。


ちなみにLINKS内に設定しているメールソフトと、このPCのメールソフトのメールサーバーは同じ所なので、LINKSに来るメールをこちらで受ける事もできる。


メールの差し出し人は凛だったが、内容が意味不明だ。


『今すぐかけなさい!番号は・・・。』


番号の後には11桁の数字が・・・これはケータイ電話の番号だろうか?


件名には最重要と書いてある。


さて、どう解釈したものだろうか?


これは単に、この番号へ電話しろと言う事なのだろうか?


それとも手の込んだ悪戯か、何かなのか?


・・・そういえば昔、メールに書いてる番号に電話をかけると、かけた先で変態が出るって悪戯あったな。


考えが逸れた・・・。


ふむ。もし単に連絡取りたくて電話して来いと言うのなら、まずその理由が俺には思いつかない。


逆に手の込んだ悪戯だったとしても、俺が受ける筋合いはない。


何せ、仕返しの心当たりがあるとすれば浴衣装備の一件だ。


そもそも浴衣を着せたのは、俺では無くKIRIKAだ。


それに凛がそういうことするとは思えないが・・・とりあえず、ここは無視するとしよう。


メールを見なかった事にして消そうとしたら、再び凛からメールが来た。


『何やってるの!早く電話をかけなさいよ!まさか、見なかった事にするつもりじゃないでしょうね?』


何故、ばれたし・・・。


あれか、凛はエスパーか何かなのか?


ともあれ俺から電話をかける意味がわからない。


こちらは特に要件も無いので、無駄に電話代をかける必要がないのだが・・・。


その旨をメールにて返信したら、すぐに答えが返ってきた。


『なら、番号教えなさい!私からかけてあげるから。』


・・・そこまでして連絡を取りたい理由とは何だろうか?


しかたない。


何度か一緒に狩りをしていて、ある程度信頼しているも事実だ、ここは連絡するとしよう。


べ、別にEOW内で後で責められるのが、怖いわけじゃないんだからね!


うん、俺のツンデレはキモイだけだな・・。


改めて、指定された番号をケータイで入力する。


3コール程して、ゲーム内での凛と同じ声がケータイの向こうから聞こえてきた。


『ようやく電話してきたわね。KAIN・・・であってるわよね?』


確認が取れる前にその態度って・・・違っていたらどうするつもりだったんだろうか?


一瞬、いいえ違いますと言おうかと思ったが、無駄に電話代を増やしたくないので辞めた。


「ああ。それで?ここまで電話を要求したという事は、何かあるんだろ?」


早速本題に入る俺に凛は、少し待って。と呟くと、ケータイの向こうで凛の声が遠くなった。


それと共に鍵がかかる様な音がしたから、何処かの扉でも閉めたのだろうか?


考えている間に、お待たせ。と凛の声が返ってきた。


『まず、初めに・・・EOWから強制ログアウトされた理由は知ってる?』


理由も何も、公式で発表しているじゃないか・・・重大なトラブルが発生したって。


『ああ。言い方を変えるわ。その重大なトラブルが何かもう知ってる?』


凛は何が言いたいのだろうか?


そんなゲーム運営側の情報なんて、一般ユーザーに知らされるわけないだろう。


それとも何処かで、情報が開示されているのだろうか?


『まだニュースを見てないのね。KAIN、そこにテレビはある?あるならニュース番組をつけてくれる?』


「ニュース?来夢。悪いが、テレビつけてくれないか?チャンネルはCGBで!」


丁度風呂上がりに、豆乳を冷蔵庫から取ってきた来夢に頼み、凛に言われたようにテレビをつけてもらう。


ちなみにCGBは、ニュース専門チャンネルのテレビ局名だ。


「もう、人使いが荒いなぁ。はい、これでいい?」


「悪い、助かる。今テレビをつけたが・・・おい、まさかこれが原因か?」


テレビに映ったニュースを見て、俺も来夢も固まった。


『繰り返しお伝えします。本日17時頃、東京都港区にあるKCキープサイバー社の新橋支社で大きな爆発がありました。なお、この爆発での死者は無く、社員5名が手や足に軽い火傷を負ったという事で、KC社は事件の究明を急ぐと共に・・・』


一体、どういうことだ。


ニュースキャスターが報告している爆発した会社は、EOWの開発運営をしてる会社じゃないか。


『・・・多分、間違いないわ。この爆発が起きた場所は、KC社のEOW開発サーバーらしいし、それに時間が気にならない?』


「ああ。それは俺も考えた。逆算ミスやラグがなければ、余りにも一致しすぎてる。」


そう。・・・この時間帯、17時頃は鎧武者が倒れた時間帯だ。


それにしても何故凛は、爆発した場所まで特定できているのだろうか?


『ああ。それはね、私がKC社の社長令嬢だから。』


はい?社長令嬢とか聞こえたぞ?・・・何だただの幻聴か。


それにいくら社長令嬢でも、そんな簡単に会社の情報を知る事ができる訳ないだろう。


全く、冗談を言うならもっとうまく言えばいいものを。


『むっ?なんか今、失礼な事を考えたわね。まぁいいわ。明日の日曜日、暇かしら?もし暇なら家に来なさい。私が社長令嬢だと証拠を見せてあげる。あとついでに事件の詳しい話を説明してあげるわ。』


だから、何で凛は俺の考えを読めるんだ・・・。


それにいきなり来いって・・・凛の家の住所なんて知らないぞ、俺。


『住所は後でメールで送るけど・・・ところでKAINって東京在住?』


誘っておいて、今さらそれに気がつくのかよ。


この場合、運がいいのか悪いのか、俺達が通う大学は奥多摩に有り、寮も大学から徒歩30分圏内なので東京在住だ。


その事を話すと、なら問題ないわね。と凛の家に行く事が半ば強制的に決まった。


細かな時間とかは電話終了後、メールで伝えるとの事だが・・・。


リアルで一度も逢ったことが無い俺なんかを、そんな簡単に信じていいのだろうか?


個人的には、凛の将来が若干心配になりましたよ?


『ふふん。KAINに心配されなくても、私の家の警備は万全よ?万が一、私の美しさにKAINが暴走したとしても触れられる事無く、即牢獄きよ!お生憎様。ねぇ、悔しい?』


何だろう、凛の奴・・・変なスイッチでも入ったのだろうか?


そもそも凛のリアルを知らない俺が、美しいと思うかどうかが、先の問題だと思うのだが・・・。


それこそ男だが、見た目だけは美女レベルのが隣にいるからな・・・嫌でも美しい人の基準が高くなる、残念な事に。


「誡。・・・さっきから誰と話しているの?」


『ねぇ、KAIN?さっきから遠くで声が聞こえるんだけど・・・もしかして、そこに誰かいるの?。』


ある程度の話がまとまった所で、来夢と凛が同時に話しかけてきた。


全く、説明が面倒だ。


俺は凛との会話をスピーカー出力にすると、CBが居る事を凛に伝える。


『・・・誰か居るなら、居るって先に言いなさいよ!恥ずかしいじゃない。』


何を今さら・・・というか、俺にはいいのか?


それと恥ずかしい方が優先なのか?会社の需要機密のほうじゃなくて・・・。


結局、明日はCBも一緒に、凛の家へ行く事になった。


・・・結局、凛のリアルネームもリアルボディも知らないんだが、大丈夫か俺?

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