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END OF THE WORLD ONLINE  作者: 岸村改
17/103

第16話/そんな装備でだいじょ・・・問題しかないな。

【リスリム村】でログインした俺は、近くの森でレベル上げをする事にした。


バイト代は、後日問い詰めることにしよう。


【ブラッドラビット】・【ビックチップマンク】はかなり余裕で倒せるようになって来た。


しかし【ベビーベア】、てめーはだめだ。


ベビーベアの追撃効果で、奴の攻撃を受けると全身がはちみつまみれになる。


その影響で動きが遅くなり、はちみつの匂いに誘われて次々と、ベビーベアが集まってくるのだ。


結果、俺は次から次へと攻撃を受けて、ついにはちみつと問い囲むベビーベアで身動きが取れなくなった。


多勢の前に個人の力など、何と弱いものか。・・・あ、HPバーが0になった。


「・・・先生、床が冷たいです。」


気を失い、次に目を開けたらそこは知らない建物の中で倒れていた。


ふむ。これが死後の世界ってやつか。


身を起して、状況を確認してみる。


冒険者装備は、一式破損している。


おかげで、俺は交通事故にでも巻き込まれた人みたいに、ボロボロの服というより布を纏った状態だ。


・・・これで、建物から出て変質者扱いにならないのだろうか?


唯一の救いは、黒霧の刀が破損してなかった事くらいか。


ステータスの方では、今まで貯めた経験値が-17500になっていた。


え?レベル差2だったのあいつ。


というか、このゲーム本当にマイナスの値があるのかよ・・・。


絶望が俺のゴールだったらしい。


「・・・虚しい、外に出るか。」


建物の外に出ると、そこは聖堂協会の隣だった。


ん?聖堂協会・・・という事は、ここは【リムタウン】か。


そういえば、【リスリム村】で復活ポイントを登録した記憶が無いな・・・ここでもした記憶ないけど。


それにしても、道行く人の視線が痛い。


まぁわかるさ。これだけボロボロの布を纏っていれば・・・。


とにかくまずは、服だ。


幸いにもコールは減ってい居ないので、町の東に行ってみよう。


「世の中、金か・・・金なのか?」


東の町で俺を待っていたのは、ありえない価格表示だった。


【プレートアーマー+5:800000c】


【忍び装束+8:1000000c】


【サムライ胴着:5000c】


追加付与なしでも、最低一着5k(5千)cって。


今の所持金は、2.5k。


アイテムを売ればなんとかなる?


アイテムストレージを見てみる。


【茶黒の縞毛】×20・【ドングリの実】×10・スキルカード【キック】・【ウサギ肉】×30・【血の付いた毛皮】×15・【はちみつ】×2・【狼の牙】×20・【銀色の毛皮】×10・スキルカード【餓狼牙】・鞍


ん?スキルカード【餓狼牙】?


いつの間にか、スキルカードを手に入れていたようだ。


説明を見てみると、どうも拳闘士系職業専用スキルの様だ。


ふむ。俺が持っていても意味はなさそうだな・・・売るか。


「KAIN。あんた、そんな恰好で何してるのさ?」


呼びかけに振り向けば、凛が呆れた顔で立っていた。


ベビーベアにフルボッコにされて、装備が壊れた事を簡単に伝える。


「・・・あんた、本当に初心者なのね。そこの店はユーザー露天だから、高いに決まってるでしょ。」


ふむ。どうやらNPC経営の店売りはもっと安いらしい。


案内してくれる凛に付いて、一軒の建物に入る。


「いらっしゃいませ。ジェネラル武具店へようこそ!」


カウンター越しに、女性店員のNPCが笑顔を向けてくる。


「本日は何をお探しですか?」


「最高の装備を頼む。」


冗談で、ネタを言ってみる。


店員はかしこまりました。と告げ、カウンターに装備一式を並べ始めた。


・・・え~っと、露天で販売している装備といい勝負の値段なのですが、こんな金ないよ?


「馬鹿やってないで、カウンターに有る購入メニューから買えるのを選びなよ・・・。」


「・・・ああ。そうする。」


せっかく出してもらったが、最高の装備は全て仕舞ってもらう事に・・・ごめなさい、店員さん。


【綿のタンクトップ黒:500c】

【デニムのズボン黒:1500c】

【布のベルト紺:500】


とりあえず手持ちで買える分を一番安い価格で購入する。


それにしても、下半身装備高すぎだろう・・・。


後は、靴か・・・できるならレザージャケットも欲しい所だが・・・。


「ありがとうございます。他にご用件はございますか?」


うん、商売上手な店員だ。


俺はアイテムストレージを開いて、その大半を売りに出す。


そして、残ったのはスキルカード【キック】・スキルカード【餓狼牙】・鞍。


何故か、鞍は売買不可だった。


現時点で手に入った金額は1500c。


スキルカード【餓狼牙】を売れば2500cでレザージャケットが買えるのだが・・・やはり売るしかないか。


レアっぽいから余り売りたくないんだけどな、背に腹は代えられない。


「ん?KAIN。何か迷ってる?」


「ああ。スキルカード【餓狼牙】を売るかどうか・・・って、凛どうした。」


答えた瞬間飛びついてくるのは、どういう量見だ?


しかも、めちゃくちゃ必死な顔してるし。


「まだ、売ってないよな?それ。」


「ああ。今売ろうとしてたけど・・・。」


なんか、よしよしと頷いてるんだが、もしかして欲しいのだろうか?


でも、凛って職業ダンサーじゃ無かったか?


なんか、メニュー画面とにらめっこしてるし・・・。


「・・・いくらだ?いくらなら売る。」


「ん?これ欲しいのか?個人的に1000c以上になるならうれしいが・・・。」


1000c!?馬鹿か!んな、安いわけ無いだろ!と凛が喚いてる。


もう、わけがわからないよ。


そんなにレアなアイテムなのか、これ?


「拳闘士系なら欲しがるに決まってるだろ!なぁ、私の全財産50300cしかないんだがそれじゃダメか?」


50300c・・・ぶっちゃけ、使わない俺が持つよりも凛が持ってる方がいいのかもしれない。


それに、50000cあればレザージャケットが余裕で買える。


やっぱりダメか、足りないよな。と返答もしてないのに凛の奴、しょんぼりしてるし・・・。


「いいぜ。んで、取引ってどうやるんだ?」


「マジか!よっしゃ、今待ってろよ。」


すげー・・・テンションあがりすぎだろ。


俺の前に現れた取引ウインドウに、スキルカード【餓狼牙】をセットしてOKを押す。


お!俺の所持金が51300cになった。


凛は隣ですげー喜んでセットしてるし・・・ん?セットできるってことは、ダンサーって拳闘士系扱いなのか?


何はともあれ、ジャケットと靴だ!


【レザージャケット黒:1500c】

【アーミーブーツ黒:5000c】

【革の指開きグローブ黒:800】


奮発して、靴を高いのとついでに今まで装備してなかった手にも装備をしてみる。


残り金額はまだ44000c有るし、大丈夫だろ。


早速装備する事にしよう。さらば、ぼろ布よ。


<防具>

頭:無し

上着:レザージャケット黒

上半身:綿のタンクトップ黒

腰:布のベルト紺

下半身:デニムのズボン黒

脚:アーミーブーツ黒

腕:革の指開きグローブ黒


追加スロット数:0



何だろう・・・全身黒の痛い人になった気がする。


アイテム個体のステータスを見る限り、防御力は上がった様だ。


そして、ぼろ布と化した冒険者装備は、耐久値が限界を超えたのか砕け散った。


危ない。町中で、砕け散らなくて本当に良かった。


「それにしても、凛。ダンサーのお前がスキルカード【餓狼牙】使えるのか?」


「はぁ?何を言ってるの?あ、ドが付くほど初心者だったな。ダンサーは拳闘士レベル20でカードチェンジできる職業なんだよ。」


だから拳闘士系スキルも継続して、使用できるのだと説明してくれた。


なるほど、下位の職業から引き継ぎ可能なスキルもあるのか。


「逆に言えば、あんたみたいにいきなり刀をGETしたやつくらいしか、冒険者で剣術スキルを発動できるやつなんて、そうそう居ないんだよ。」


どうやら、最初のショートソードではいくら剣術レベルを上げても、スキルは覚えないらしい。


「さてと、スキルも試したいし、このまま狩りに行こうぜ!丁度パーティーも組んだままだしな。」


あ。そういえばパーティー解除してないままだった。


凛に連れられるまま、俺はあの始まりのダンジョン【魔窟の森】へ向かう事になった。


道中、気になった事を凛に聞いてみる事にする。


「なぁ、もしあの武具点でカウンターからアイテムを持ち逃げしたらどうなるんだ?」


だってあの店、やろうと思えば持ち逃げできそうだし・・・。


「それぞれの町には、不正行為防止のガーディアンが居るから、拘束されて牢獄行きね。」


どうやら、町中で不正行為(盗みやPK等)を行うとするとガーディアンとやらに捕まるらしい。


牢獄については、凛も入った事が無いからわからないらしいが、牢獄への入り口は聖堂協会の地下に有るそうだ。


ちなみに凛は、今までガーディアンに捕まった人物が、町に戻ってきたのを見た事は無いらしい。


・・・何それ怖い。これ、本当にゲームか?


そうこうしているうちに俺達は、【魔窟の森】へ入っていた。



【魔窟の森】についてから、だいたい1時間は経過しただろうか?


相変わらずフォワードは凛が務め、俺は時折こぼれて敵を地道に狩っている。


それにしても、全然レベルが上がらない。


当たり前か・・・ようやくマイナスが0に戻ったわけだし。


「くらいな!餓狼牙!」


≪スキル発動・餓狼牙≫


凛は植物系モンスター【ツリーグロー】を纏めて吹き飛ばした。


この【ツリーグロー】動きは遅いのだが、射程距離が長い。


枝を伸ばして遠距離まで攻撃してくるのだ、さすが植物系。


ちなみに、餓狼牙は気功波だった。


見た目は、某漫画でカメの甲羅を背負った爺さんが使ってたあれだ。


ただ、飛ばされていく気功波の形が狼の顔をしてる。


その威力は、とてつもなく半端ない。


10体単位の【ツリーグロー】が纏めて瞬殺されている。


というか・・・この技拳闘士、関係無くね?




技を使いすぎたのか、MP切れを起こした凛に従い、俺達は一度【リムタウン】へ戻った。


「そういえば、凛。今週末暇か?」


「何よ、藪から棒に。」


回復ついでにオープンカフェでお茶を飲んでいて、CBからの件を思い出したので聞いてみた。


要件も言わずに聞くのは、さすがにいきなり過ぎた様だ。


事情を説明して、パーティーへ誘ってみる。


大人しく聞いているが、凛の顔を見る限り乗る気じゃなさそうだ。


「まぁあんたがどうしてもと言うなら参加してもいいけど・・・で、そのギルド名前は?」


「え~っと・・・桜花狂乱。」


桜花狂乱!?とギルド名聞いた瞬間、めちゃくちゃ食いついた。


・・・さっきまであんなに乗る気じゃなかったのだが。


それにしても奴の所属ギルドは、そんなに有名なのだろうか?


「有名も何もトップギルドよ。ギルド全員が和装美女だって事以外、メンバーに遭遇なんてめったなことじゃできないから、いろいろ謎に包まれてて、噂ではイベントボスを全て倒したとか、大手ギルドが束になって勝てないボスを、たった6人で倒したとか。それに専門の追っかけファンができるくらい。」


ふむ。CBは男なんだけどな。・・・それとも同じ名前のギルドがもう一つあるのだろうか?


それにしても、正体不明ギルドの追っかけファンって・・・。


「それで、凛。参加するか?」


「勿論!是非!こんなレアイベント無視するわけないでしょ!」


・・・レアなイベントなのか、これ。


ともかく凛がパーティーに参加してくれた事をCBへメールし、凛のMP回復を待って再び俺達は狩りに出かけた。


何気なく気がついたけど、凛ってときどきものすごく女の子らしい口調になるようだ。


一体、どっちが本当の凛なのだろうか?


頭の片隅でそんな事を考えていたら、【ツリーグロー】に捕まった・・・凛!ヘルプ!

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