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END OF THE WORLD ONLINE  作者: 岸村改
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第14話/少女ダンサー・・・そして、出遅れた俺。

少女、凛の動きは一言で語るなら美しいだ。


踊るようにステップを踏み、隙の無い打撃を次々とシルバーウルフへ打ち込んでいく。


決してシルバーウルフの正面に立たず、常に顔を横から殴打する。


時には、バク転の要領で蹴りを決めて群れを分散させていく。


また的確なヒットのせいか、シルバーウルフも飛ばされてすぐには起き上がれず、連携による連続攻撃が発生しない。


「・・・すげー。」


気が付いたら口から言葉が漏れていた。


しかし、動きとは裏腹にクエスト画面の討伐数は余り増えていない。


現在、凛と俺の討伐数の合計は8匹。


俺が、2匹倒しているから凛は6匹倒している事になる。


しかし、今の戦闘が始まってから増えた討伐数はまだ1匹だ。


そして、俺は有る事に気がついた。


「何で、あいつスキルを使ってないんだろう?」


打撃や蹴りを放つ時に、少なからず補助は受けているようだが、スキルモーションが今まで1回も出ていない。


そうこうしているうちに、1匹がこっちに転がって来た。


「グルルルル。」


起き上がりにこちらをタゲったのか、唸ってくる。


よし、俺も討伐数に協力しますか。


「ガゥ!」


姿勢を低く、素早くこちらに走って来たシルバーウルフの牙を刀で受ける。


やはり、完全には防ぎきれないようだ。


ダメージを受けて、HPバーが20程減る。


俺は、受けた状態から刀に意識を集中する。


「・・・一刀流【五月雨】」


≪スキル発動・一刀流【五月雨】≫


ゼロ距離から放った五月雨のモーション制御により、牙を受けたままのシルバーウルフごと前へ走り出す。


そして、勢いが乗った所で一回転。


その反動でシルバーウルフは吹き飛ばされる。


そのまま、追撃するように怯んだシルバーウルフの首に連撃が決まる。


最後に横へ斬り捨てると、ガラスの様に砕け散った。


そして毎度の如く、返り血で刀と俺は赤く染まる。


「ふむ。なるほど、凛がダメージを入れてる分、スキル一発で倒せるのか・・・。」


これなら効率がいいかもしれない。


とりあえず、凛の邪魔にならならないよう、吹き飛ばされてきたシルバーウルフから順にスキルで討伐していく。


討伐数が17を超えた所で、凛に見つかった。


「あ!馬鹿、こんな前に出て来るな!死ぬぞ!」


「大丈夫だ、問題無い!」


キリっと返事をしつつ、俺に気がついて凛が撃ちもらしたシルバーウルフに五月雨を発動する。


うん、綺麗に決まった。


おかげで返り血が増えた。・・・なんだろう、このスプラッタ。


「・・・剣技スキル。あんた、それ刀か?」


何だろう?凛がすごく驚いてるんだけど・・・。


それにしても、急にシルバーウルフの攻撃が止んだな。


さっきまで群がっていた奴は逃げていくし・・・。


血を掃い納刀してから、凛に刀だと答える。


というか、刀以外にこれが何に見えるのだろうか?


「一体、何処で手に入れたんだ、そんなレア武器。刀装備なんてそう簡単に手に入らないぞ?ましてやレベル1の冒険者が・・・。」


あれ?この刀そんなにレア武器だったの?


なるほど。通りで猛毒といい、五月雨といい強いわけだ。


まぁ五月雨の返り血モーションだけは、何とかして貰いたいけど・・・。


手に入れた経緯を簡単に説明すると、凛は段々凹んでいく・・・何でだろう?


それにしても先ほどから攻撃が全く来ないのだが、どうなっているのだろうか?


「ああ。きっと奥で【シルバーファング】が出たんだろう。きっと今頃、大手ギルドが討伐しているはずさ。」


【シルバーファング】?


知らないのか。と呆れた凛の説明によると、どうやらこの【月夜の草原】にいるエリアボスらしい。


そして、大手ギルドはドロップアイテムの【ファングガントレット】を手に入れる為、この時間になると必死に攻略しているそうだ。


その攻略に巻き込まれたシルバーウルフは全て狩られてしまう為、今の様にこちらに敵が湧かなくなるらしい。


しかも、シルバーウルフは夜行性モンスターの為、昼間にエンカウントできた俺は運が良かったらしい。


後2匹で終わりだというのに・・・なんて迷惑な。


「まぁ、仕方ないね。私は一旦引いて、12時間後にまた来るけど、あんたはどうする?」


「そうだな。なぁ、この辺りでレべ上げに良い狩り場を知らないか?」


どうせ、クエストをクリアしないでログアウトするつもりもないし、適当にレベル上げをするとしよう。


「・・・はぁ。あんた、自分のレベルがこの辺りに適正じゃないのはわかってる?」


むっ。呆れられる意味がわからない。


そもそもシルバーウルフの名前についた色は黄色だ。


黄色ならば有る程度危険でも、勝てない事はないと、ここまでの戦いで立証されている。


まぁ・・・最初はいきなり襲われて勝てたから行けると判断しだんだが・・・。


そして、今さら気がついたが・・・ボス以外のモンスター名にレベルって表示されないんだね。


「仕方ない。私も暇だし、あんたに付き合うよ。付いてきな・・・どうせなら、ほら。」


凛からフレンド登録の了承確認が送られてくる。


迷わず、YES。


俺も、フレンド登録しようとした所で、やり方がわからない事に気がついた。


「はぁ?わからないだって。・・・しょうがないなぁ。ほら、メニュー画面からプレイヤーリストを確認して、フレンド登録を選ぶ。」


言われた通りにやってみると、凛の前に了承確認ウインドウが出た。


凛もYESを押し、俺のフレンドリストに二人目が登録される。


ついでに、凛のステータスを見てみる。


<ステータス>

LV:32

HP:1205/1700

MP:1650/1700

経験値:265/1920

名前:凛

職業:ダンサーlv2

ギルド:無し

コール:300c



うん。レベル高いね。


「ほら、行くよ!」


「応!」


先に行く凛について、エリアを移動した。


【月夜の草原】から少しエリアを移動した森で、俺はレベル上げをする事になった。


出てくるモンスターは、【ベビーベア】・【ブラッドラビット】・【ビックチップマンク】だ。


このモンスターどれも、レベル10~15という俺には結構ヘビーな狩り場だそうだ。


5匹目の【ベビーベア】を倒した所で死にかけた俺を見て、ようやく凛は俺が偽装ではないと信じてくれた。


ちなみに偽装とは、初心者のフリをして経験値ドレインをする連中を言うらしい。


それにしても、凛は面倒見がいいな。


凛にフォワードをしてもらい、11時間半地道に経験値を稼いだ結果、俺はレベル10になった。


<ステータス>

  LV:10

  HP:352/600

  MP:20/600

経験値:25/3000

名前:KAIN

職業:冒険者lv5

ギルド:無所属

コール:2500c


<武器>

右手武器:黒霧の刀

左手武器:無し


追加スロット数:0



<防具>

頭:無し

上着:無し

上半身:冒険者のシャツ

腰:冒険者のベルト

下半身:冒険者のズボン

脚:冒険者の靴

腕:無し


追加スロット数:0



<ジョブスキルカードスロット>

カードスロット1:パンチlv5

カードスロット2:剣技lv10

カードスロット3:ジャンプlv3

カードスロット4:ダッシュlv5


追加スロット数:0



<固有スキル/発動可能スキル>

固有スキル:


・冒険者の加護


発動可能スキル:


・ブレイクダウン


・一刀流【五月雨】・【虎牙】


途中でアイテムストレージがいっぱいになった為、【リスリム村】でアイテムの大半売って来た。


これが、意外と金にならない。


アイテムストレージに残ったのは、スキルカード【キック】とレッドポーションが2つ。


増えたスキルの一刀流【虎牙】は、牙突から横薙ぎへ繋げる2連撃だ。


再発動まで15秒程かかるし、消費MPは30と意外と大きいがその分威力がでかい。


五月雨でHPを半分削る敵を、一撃で倒してしまうほどだ。


しかし、うまく決まらないと牙突の時に、敵が吹っ飛んでしまったりするので意外と難しい。


「さてと、KAIN。そろそろ狼狩りに行くぜ!」


「応!後2匹だ。楽勝だろ。」


流石に11時間半も一緒に狩りをしていただけ有って、凛との息も合うようになった。


基本的には、凛が敵を分散。


俺が各個撃破する感じだ。


【月夜の草原】に着くと丁度、シルバーウルフが湧いた所だった。


凛はすぐさま群れの中へ入り、打撃で分散してく。


凛に続く俺も吹き飛ばされたシルバーウルフに狙いを定める。


「一刀流【虎牙】!」


起き上がりを狙い、牙突を撃ちこむ。


刺さった刃をそのまま、横へと斬り捨てる。


このスキルには、実はもう一つ面白い効果がある。


斬り捨てられた敵が、一定時間実体を残すのである。


その為、斬り捨てられた死体が、他のシルバーウルフにヒットして吹き飛ばす。


「凛。20匹終わったが、もう少し続けるか?」


「当たり前でしょ!」


クエストクリアに必要な討伐数を超えたが効率よく経験値が入る為、俺と凛はシルバーファングが湧かなくなるまで狩り続ける事にした。


それから1時間位狩った所で、シルバーファングが湧かなくなった。


どうやら、ボスモンスターが湧いたらしい。


それにしても、大手ギルドの人はずっと張っているのだろうか?


「そろそろ村長へ報告に行こう。流石に私も眠い・・・。」


凛の眠そうな声を聞き、俺達は町に戻る事にした。


考えてみれば、少しレベル上げるつもりでログインしたわけだが・・・今何時だろうか?


ひとまずは、【リスリム村】に戻り、先に村長へ報告する事にした。


「おお!ありがとうございます。これで、村は救われます。」


凛と俺が報告すると、村長はまた長々とお礼を言ってきた。


だから、長いと・・・。


最後にお礼の品だと言い、アイテムを渡して来る。


≪クエスト・銀狼の討伐をクリアしました。≫


≪報酬・鞍を手に入れました。≫


システムボイスを聞きながら、アイテムストレージを確認する。


どうやら動物に使う事で、移動手段にできるらしい。


っと、誰からだろうか?メールが届いている。


『戒。そろそろ授業始まるけど、今日の1限目は受けてないの?』


来夢からだった・・・。


ん?1限目?


そこで時刻を確認すると、丁度昼の12時を回った所だった。


あれ?俺、もしかして・・・一晩中プレイしてた?


こうして、俺は授業に遅刻した。


というか、これサボりだよね・・・。

夜7時半位からログインして居れば、時間はあっているはず!

ちょっと自信ないです。

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