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END OF THE WORLD ONLINE  作者: 岸村改
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第13話/手当たり次第に依頼ですか・・・。

スキル・一刀流【五月雨】は、どうやら一度発動すると、再度発動するまでに5秒かかるようだ。


消費MPは10と小さいが、現状の俺では30回も撃てばMPが空になる。


「どうしたものかな・・・。」


シルバーウルフを撃退した村の道端に座り、今後の事を考える。


お!座ってるとHPとMPが毎秒10ずつ回復するみたいだ。


3匹中2匹を撃退したわけだが、クエストクリアには残り18匹倒さないといけない。


3匹の連携ですら苦戦している現状で、果して群れを相手にできるのだろうか?


せめて、アドバイスでもあれば・・・ん?アドバイス?


「そうだ、CBに聞けばいいんじゃね?あいつなら何か知ってるかも知れないし。」


早速フレンドリストを開いてみる・・・むっ?オフライン表示。寝たのかあいつ。


「もし、旅の御方・・・。」


「ん?」


後ろから声をかけられ振り向けば、いい感じにヨボヨボなお爺さんが。


見ると建物の中から人が次々と出てくる。


なるほど。シルバーウルフが来たから建物の中に隠れてたのか。


俺はてっきり皆食われたのかと・・・。


「ここに居ては危険です。この近くに狼達が群れを成しております。悪い事は言いません、一刻も早くここを御立ちください。」


あれ?討伐に来たはずなのに、なんか立ち去るように言われてるんですけど・・・。


「いや、俺・・・その狼を討伐してくれって言われて来たんだけど・・・。」


「なんと!リリアナの依頼を受けてくださった方でしたか。それはありがたい!ささ、こちらへ。」


あの女性、リリアナっていうのか・・・そういえば、名前見てなかったな。


というか、お爺さん・・・手のひら返し過ぎでしょ。


お爺さんの後をついて建物の中に入ると、席に座るよう勧められる。


どうやらこのお爺さんはこの村の村長らしい。


狼が現れ始めた状況から始まり、村を襲い始めた状況まで長々と詳しく説明してくる。


正直、聞くだけで疲れる。


「奴らは、基本3匹で行動します。その為、これまで幾多の冒険者の方々が討伐へ向かいましたが、この村へ帰ってくる者はおりませんでした。つい先日も冒険者の方が一人で【月夜の草原】に向かった所でございます。」


なるほど、3匹一組の敵がわんさか居る訳か、それは手こずるな・・・ん?先日?


「なぁ、俺よりも前に冒険者が討伐に行ったのか?」


「はい。しかし、その方々も未だ戻らず・・・。」


なるほど。どうやらあのリリアナから依頼を受けた冒険者は他にも居たようだ。


というか、リリアナさんよ・・・討伐できたかどうかわからない状態で次々依頼してたのか。


結果的に、まだ討伐できていないみたいだけど・・・それにしてもこのNPC、会話がスムーズだな。


ゲーム特有のアルゴリズム的な違和感を感じない、これもAI機能の1つなのだろうか?


村長の話を聞き終えた俺は、とにかく【月夜の草原】へ行ってみる事にした。


何て言うか死人を送り出している様な顔で、村長が無事の帰還を祈っております。と言ってくる。


全く、縁起でもないな・・・。


村に入って来た入り口とは反対の入り口から出て、少し歩いた所に【月夜の草原】があった。


草原を少し歩いてみるが、生き物が居る気配がしない。


そうこうしている内に、日が落ちて夕暮れ時に差し掛かって来た。


このゲームはクエストの関係か、リアル時間の約12時間で一日が構成されている。


何故、俺がそれを知っているかと言えば、来夢がベータテスト時代に早朝からダイブして、夜行性モンスター討伐クエストをこなしていたからだ。


そのクエストを攻略してる間、昼休みに二度寝する来夢を起こしていたから、良く覚えている。


それにしても・・・本当にモンスターの姿が見えないのは何故だろうか?


もしかして、先にクエストを受けた冒険者が討伐してしまったのだろうか?


「ねぇ。君もクエスト受けてきたの?」


草原の真ん中で、ただ立っていたら声をかけられました。


声の方を見ると、長袖長ズボンの黒いスウェットにキャップ帽を被った、160センチくらいの女の子が立っていた。


首にヘッドフォンをかけた姿は、リアルのヒップホップダンサーの様だ。


キャップ帽から除く赤毛のショートヘアーが、余計にヒップホップダンサーを思わせる。


ヒップホップダンサーと違うとしたら、両手に付けられた手甲付きグローブと両足に履いているのがシューズでは無くブーツだという事くらいか。


「ねぇ。黙ってないで答えてよ。もし、違うなら何処か行ってくれない?私がシルバーウルフ狩るのに邪魔だから。」


「あ、悪い。いや、俺もクエストでシルバーウルフを狩りに来たんだが・・・。」


余りにも戦闘向きとは思えない格好に、唖然としてしまった。


もしかして村長が言っていた冒険者とは、この少女の事だろうか?


「あっそ。なら、私の邪魔にならないように精々頑張って。・・・って!あんた。もしかして、冒険者?偽装じゃなくて?」


むっ?いきなりこちらの装備を見るなり、変な事を言ってくる少女だ。


そもそも、偽装とは何だ?


「はぁ。あんた、職業レベル幾つよ?このクエスト、転職者向けのクエストだよ?」


「レベル1だけど・・・。」


レベル1!?っと少女がめちゃくちゃ驚いているのだが・・・でも、シルバーウルフ3匹なら倒せたんだが。


「普通は、転職後か転職直前に経験値稼ぎに受けるものよ。せめてレベル8は必要だと思うけど・・・あんた、良く生き残れたわね。」


この少女が何に驚いているのか、正直俺には分からない・・・。


そうこうしている内に、草原の奥から何かがゆっくり近づいてくる気配がある。


「・・・シルバーウルフが動き出したみたいね。あんたソロ?」


ソロだけど、何だというのだろうか?


刀を構える俺の前に、小さなウインドウが開く。


パーティへ参加が申し込まれました。YES/NOと書かれている。


ふむ。・・・これはどういうことだろうか?


わからないという目線を少女に向けてみる。


「そんなレベルでここをクリアできる訳ないでしょ。かと言って、放置して死なれても後味悪いから、パーティ組んであげるって言ってるの。パーティーなら二人で倒した合計数値でクエストクリアになるから。」


なるほど。そいつは助かる。


正直、一人でどうやって群れを相手にするか、まだ方法が思いついていなかった。


「なるほど。よろしく頼む。俺はKAIN。」


「私は、りん。職業はダンサーよ。いい?私の邪魔にならない所で、死なないように逃げてなさい。」


パーティー承諾を受けて、凛は短く言葉を残すと群れに向かって走り出した。


今さらだが、このゲームのキャラクタ名って、日本語使えたんだな。


走り出す凛を見て、俺は刀を構えて後方で待機する事にした。


あ、ヒップホップダンサーであってたんだ・・・。

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