デスゲーム化2
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『ようこそ《Cross Hearts on-line》へ。これからあなたはこのゲーム最初の舞台となるアルスタウンへと降り立つ勇者となります。ゲームクリア頑張ってください。それでは』
そう言ったシステムヴォイスに導かれ、俺は目の前に登場した扉をくぐった。
最初に感じたのは人の多さだ。確かにサービス開始のため多いのは当たり前だ。しかしだ、これはあまりにも多い。なにせ見えるのは人、人、人。唯一見えるゲーム内の景色は仮想の空だけだ。
正直な話、俺は早くこの始まりの街から出てMOBの湧く安全圏外――フィールドへと向かいたいのだ。
どうせならとこの人ごみを抜けつつ、流されつつ初期ステータスと初期アイテムを確認することにした。
まぁアイテムに関して言えば普通だな。数種ののPOTと初期防具の皮の鎧。この後のイベントクエで武器とかが手に入るのだろう。
しかしなんだこの職業――ニートから始まりだと……。ただの嫌がらせか、それともGMが楽しみたかったのか。
こうなったらさっさとLv上げて、何らかの方法でジョブチェンジをしよう。
とそうこう考えているうちに人の波から出てアルスタウンの端へと着いた。
「次はクエスト確認でもするか」
メニューを開きクエスト一覧を見る。今受けれるLv1のクエは…………5つか。1つは武器使用許可クエ。残りは全部経験値稼ぎのクエってところか。
『やぁやぁ、ユーザーの皆』
とクエストの確認をし終えたところでアナウンスが入る。音声だけのようで男か女か分からない。ただわかるのはこの声の主がGMであるということだけだ。
『我々が3年もの間ただスポンサーを付けるためだけの時間に使ったと本当に思っているのかい? 中にはうすうす感じている者もいるだろう。3年もの間は不必要じゃないのかと? そうだね、正解だ。我々のこの3年間はとあるシステムを造るための期間だったのだよ。まずはその1つを見せよう』
パチンッと音が響く。すると周りのプレイヤー、俺も含めた全員の体が光りだす。それは1秒もかからず終わった。すると――、
「ちょ、なんで男に!?」
「おま、男かよ?!」
「あんた何イケメン面してたのよ!」
「俺の騎士フェイスが?!!」
などの声が響き渡る。要はネカマや自分のフェイスを作り変えていたのがすべて解け現実の自分と同じ顔になったというわけだ。
このシステムは多分まだ序の口だろう。VRG登録時の個人認証確認のための顔写真から作っているのだろう。
『あららー、さっきまで女性Pが全体の7割を占めていたのに今では3割にまで減ってるのか~。なんと女性Pの半分以上が男だったというわけだね。いったい何がしたかったのやら(笑)』
俺に関して言えばアバターを弄るのがめんどくさかったので初期のまま――自分の登録時の顔のままで身長は170cmという普通な感じだった。
要は俺は光っても何も変わらなかったということだ。
『次に2つ目を紹介するよ。ここでの死は現実となんら変わらない様にした。何が言いたいかと言うとデスゲーム化ということだよ。それでは皆第2の人生を楽しんでくれたまえ』
プツンと仮想ビジョンが消えた。あまりに唐突に始まった死のゲームに皆は恐怖と怒りに震えたまま動くことができなかった。かくいう俺自身もそのうちの人だったに違いないと思った。