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序章1

 気がつけば、俺は処刑台に立っていた。


 大勢の人だかりが柵の代わりをし、この処刑台を囲っている。

 人、人、人、人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人。

 群衆は目の前で繰り広げられる惨劇を心待ちにしている。

 レンガ造りの町並みが広がり、俺の心を惑わせる。




 それは、罪に対する罰。




 一人の傲慢な少女。己の身分にご満悦、下賎な民を蔑み見下した。

 だが。


「跪け」

「……はい、ご主人様」


 俺の一声で全ては反転する。誰も俺に逆らう事は出来ない。例えどんなお嬢様であろうと、俺が命令すれば靴でも舐める。さあ、その高貴な体で奉仕してもらおう。





 一人の強欲な男。望むもの全てを手に入れるため、悪徳商売に身を染める。

 だが。


「俺はお前の死が欲しい。金ならいくらでも出そう。さあ見せてくれ、最強最悪の殺し屋さん。お前は、金さえ積めば殺せぬ相手は居ないのだろう?」

「……わかりました」


 彼が買ったのは、恨みだ。金なんて実質的価値の無い物に死ぬまで踊らされる。俺に望んで手に入らない物は、無い。物は、無い。俺が欲しいのは……人だ。





 一人の暴食な料理人。料理も皿も人も何もかもを食らいつくし、その味に酔いしれる。

 だが。


「何もかもを食べ尽くしたという貴様の味は、さぞ格別なのだろうな。召しやがれ」

「……頂きます」 


 最後の晩餐は、彼自身。ビクビクと体を打ち震わせながら、その体にナイフとフォークを突き刺して、喉を通していく。俺も一口もらおうか。





 一人の扇情的な少年。見る者を魅了する美貌を持ち、愛とかけ離れた愛情を見せる。

 魅せられた少女の一人。そこには愛しかなく、その想いは重く、嫉妬は深い。

 だから。


「ほら、愛しの彼が取れるぞ? 大丈夫、彼は君を愛している。何をやっても許してくれるさ」

「「「いやぁああああああ!!」」」「ぐあ」


 たった一言に魅せられて、少女達は殺し合った。少年には歪んでも愛はあり、その結果、全ての中心で愛の花を咲かせた。人を魅せるのは、容姿だけではない。





 一人の怠惰な少年。のんびりまったり暮らし、我関せずと行動をしない。

 だが。


「どうした? 逃げないのか?」

「……面倒だ」


 不抜けた精神から脱する事は無く、迫る危機から逃げもせず、怠惰の人生を貫いた。気を抜く事は大事でも、それが戻ってこなければ身を滅ぼす。





 そして……。

 一人の憤怒を孕んだ少年。全てに怒りを抱き、全てに怒りを向ける。

 だが……。





 甲冑が握る輝く銀色は、日に照らされ鋭く光り、どんな罪も断罪してくれそうだ。

 脳内を駆け巡るように知識と記憶がインフレを起こす。

 異なった常識が俺の頭を抉るように痛み付ける。

 殺人? 奴隷? 運命からの逃避行? 自由?

 運命に縛られた生き方、何もかもを許された存在、擬似的神様。

 宗教裁判、弾圧される人。



 自由に生きる事は、罪なのか? 

 

 

 そして、剣が振り下ろされた。

 

 

スランプでの景気付け作品です。

すごく気まぐれで書いてます。

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