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クエスト報酬

 村へと帰還すると、マリーさんとクロードさんが出迎えてくれた。


「ガイさん! 無事でしたか!」

「おお。ガイ君! すごいじゃないか! まさかあんなデカいやつを撃退してしまうなんて!」

「え? 見てたんですか?」


 周囲にはモンスター以外、誰も居なかったはずなんだけどな。


「実はガイさんが飛び出していった後にね、心配だからってお父さんが追いかけていったのよ」

「そういうことだ。邪魔にならないように遠くから見ていたわけだ」

「な、なるほど」


 全然気づかなかったな。

 まさか見られていたなんて。


「本当にありがとう! ガイ君のお蔭で村は救われたよ!」

「そ、それほどでも……」

「そちらが村を守ってくれた恩人じゃな?」


 クロードさんの隣には、杖をついた老人が立っていた。


「えっと……あなたは?」

「ワシはこの村の村長をしておるものじゃ」

「そ、村長さん?」

「この度は村を守ってくれてありがとう。村を代表して感謝する」


 そういって頭を下げた。


「いやいや。別には俺は大したことは……」

「貴方のお蔭で村は無事でいられたんじゃ。胸を張って誇ってよい」


 嬉しいといえば嬉しいんだけど、ちょっと気恥ずかしい。


「おっと、忘れるところじゃった。貴方にこれを渡しに来たんじゃ」


 村長が差し出してきた手には、巻物のような物を持っていた。


「それは一体……?」

「これはな。『スキルスクロール』というアイテムじゃ」

「そ、村長! それは村の宝物では!?」

「クロードよ。いいんじゃ。どちらにせよワシでは扱えない代物だからな。使える人に使ってもらうのが一番なんじゃ」


 わーお。そんな物を俺にくれるってのか。

 というかスキルスクロールってなんだろう。初めて聞いたぞ。

 詳細を見てみよう。


 ――――――――――――――――――――――

【スキルスクロール】メテオインパクト


 使用すると《メテオインパクト》を閃くことができる。

 ――――――――――――――――――――――


 おお?

 なんか強そうなスキルだな。名前からしてやばそうだ。


 さらにスキルの詳細を見ることもできるみたいだ。

 どれどれ。


 ――――――――――――――――――――――

【アクティブスキル】メテオインパクト(未習得)


 隕石を降らせて対象に特大ダメージを与え、周囲にも拡散する。

 中心に近いほどダメージが増加する。

 ――――――――――――――――――――――


 へぇ。かなり強そうなスキルだ。

 隕石みたいなのを落としてダメージを与えるスキルかぁ。かなり派手そうだ。

 ダメージも高そうだし、攻撃範囲も広そうだ。

 これがあれば一気に強くなれるだろうな。


 しかしこれは……


 ふむ……


 …………


 ――よし、決めた。


「あの、ちょっといいですか」

「なんじゃ?」

「気持ちは嬉しいんですが、俺は受け取るわけにはいきません」

「!? な、なぜじゃ!? まさかこれでは足りぬと?」

「い、いえ。そういうことじゃなくて、村の宝なんですよね? なら俺なんかに渡すのはもったいないですよ」

「しかし……」

「だから俺は……うおっ!?」

「ど、どうしたんじゃ?」

「な、なんでもないです」


 いきなりウインドウが表示されたから驚いてしまった。

 えーと、なになに……


 ――――――――――――――――――――――――――――――

【警告】報酬について


 クエスト報酬を拒否してもクエスト達成とみなされます。

 その場合、今回のクエスト報酬は二度と手に入れることは出来ません。

 本当によろしいですか?

 ――――――――――――――――――――――――――――――


 ほうほう。そういうことか。

 村長さんが持ってきたスキルスクロールって、クエスト達成で貰えるアイテムだったのね。

 報酬アイテムを受け取らなくても、クエスト自体は達成扱いになるってわけか。

 なるほど。そういう仕様だったのね。

 だが……


「もう決めたんです。俺は何も要りませんよ」

「ほ、本当にいいのか? ワシらはこれ以上に差し上げられる物はないんじゃが……」

「いいんです」


 そうだ。これでいいんだ。後悔なんて全くしていない。

 俺は攻撃系のスキルは何一つ要らない。

 攻撃スキルは取る予定は無い。


 デバッファーを極めると決めたんだ。


 それにスキルスクロールというのは、すぐにスキルを習得できるものではない。

 よく見ると『閃くことができる』と書いてある。つまり、習得するにはSP(スキルポイント)を消費するということだ。

 けどこのゲームの仕様上、使えるSP(スキルポイント)には限りがある。ということは、習得できるスキルには上限があるってことになる。

 ならばSP(スキルポイント)はなるべくデバフスキルに注ぎ込みたい。それが俺のプレイスタイルなんだ。


「そこまで言うのなら……もうこれ以上は問わないでおこう」

「大丈夫そうですし、そろそろ俺は立ち去りますね」

「なんと。もう行ってしまわれるのか?」

「ええ」


 けっこう遠出してしまったし、そろそろ最初の町であるルンベルクに戻りたいんだよな。


「それじゃあこれで……」

「あ、あの! ガイさん!」


 大声を上げながら近寄ってきたのはマリーさんだった、


「ど、どうしたの?」

「また……この村に来てくれますか?」

「モチロンさ。また来るよ」

「よかったぁ。改めてお礼したいので、絶対にまた来てくださいね!」

「ああ。楽しみにしてるよ」


 互いに手を振り、村を後にした。




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