検証③
俺はひたすら盾で矢を防ぎ続けている。
もはや放置に近い作業を続けていると、急に矢が飛んでこなくなったのだ。
「……? どうしたんだ?」
気になって樹の上に居るゴブリンを見てみると、何やら慌てている様子だった。
背中に手を伸ばしたまま何かを掴もうとする動作を繰り返している。
「あっまさか……矢が切れたのか?」
どうやら全ての矢を打ち尽くしてしまったようだ。
そりゃそうか。棍棒で殴るのと違って矢は有限だしな。
何も考えずにずっと弓に頼ってたらそら矢も無くなるわな。
『ギ……ギ……ギギィ……』
何やら迷ってる様子。
矢も無いんだしさっさと降りて来ればいいのに。
「もう何もしてこなさそうだし。あいつには用は無いな。サクラ頼んだ」
「は~い」
待機していたサクラが樹に近づいていく。
「ん~と。ここからなら届くかな。《ソニックスラッシュ》!」
『!? グギャ!?』
スキルによって飛んだ斬撃がゴブリンに直撃。ゴブリンは落下して消滅した。
近接武器なら普通は届かないけど、今のサクラにはこういった便利なスキルがあるからな。ゴブリンもまさか遠距離攻撃手段があったとは思うまい。
そしてゴブリンが完全に消えた直後の事だった。
――――――――――――――
《飛来の呪詛『暗闇』》を閃いた!
――――――――――――――
「……! 来た! 新しいスキルだ!」
「おお!」
さっそく詳細を見てみることに。
――――――――――――――――――――――
【パッシブスキル】飛来の呪詛『暗闇』(未習得)
遠距離攻撃を受けた時に確率で発動。
攻撃相手に対し、《ブラインド》が発動する。
《ブラインド》を習得している場合、発動率が大幅に上昇する。
このスキルによる発動は、MPを消費しない。
――――――――――――――――――――――
やっぱりあったか! 遠距離対応のカウンタースキル!
近接攻撃しか反応しないカウンタースキルがあるのなら、遠距離攻撃に対応したカウンタースキルもあると思っていた。
予想は間違ってなかったな。
「さっきの習得したやつの遠距離版のカウンタースキルだ。絶対あると思ってたよ」
「じゃあ近くでも遠くでも両方対応できるようになったんだね!」
「そういうことだ」
遠距離攻撃してくる相手にはブラインドが発動するのか。
暗闇状態になったら後衛として致命的だろうな。離れた相手に攻撃できなくなるしな。
ブラインドは習得しているから発動率も高い。これは頼りになりそうなスキルだ。
当然これも即習得。
――――――――――――――
《飛来の呪詛『暗闇』》を習得した!
――――――――――――――
しかし発動するスキルが固定なのはある意味では不便だ。状況によってはもっと違うスキルにしたい場面もあるだろうしな。
けどオートで発動する分、そういった不便さは受け入れるしかないだろうな。
ならば……スキルを増やせばいい。
「他のゴブリンアーチャーを探そう。もっとスキルを増やしたいしな」
「休憩しなくても大丈夫? ずっと休まず続けてるけど……」
「普通のゴブリンならともかく、ゴブリンアーチャーの攻撃は単調すぎて全然疲れてないよ。むしろ暇だったくらいだ。これくらい平気だよ」
「そっか。ならどんどん探すね!」
それからひたすらゴブリンを探し続けることにした。
しかしゴブリンアーチャーは数が少ないらしく、思ったほど捗らなかった。




