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廃坑ダンジョン④

 相手は2人。片方は剣を取り出して構えている。もう片方は弓を持っていた。

 分かりやすい前衛と後衛の組み合わせだ。


 俺達は後衛と前衛2人。

 テレサは短剣と片手盾というスタンダードなスタイルだった。テレサも前衛としてカウントしていいだろう。こっちは後衛は俺だけかな。

 人数だけでいえばこちらのほうが優勢だ。しかし人数が少し多い程度では必ず勝てるとは限らない。

 さてどうなるかな。


 そんなことを考えていると、テレサが前に出て叫んだ。


「せっかく採掘ポイント見つけたんだから簡単には奪わせないわよ! 覚悟しなさい!」

「こっちもようやく採掘ポイントを見つけたんだ! 手ぶらでは帰れねぇぜ! 邪魔するなら容赦なく排除するだけだ! 行くぜぇ!」


 男はそう叫ぶとテレサに向かって突撃していった。


「オラァ!」

「……ッ!?」


 ガキィン! と音を立てて相手の剣を防ぐテレサ。

 それだけで終わるはずも無く、男は次々と攻撃を繰り出す。


「テレサちゃん! 私も手伝うよ!」

「そうはいくか!」


 サクラがテレサの元へ向かおうとした瞬間、離れていた男が放った矢がサクラを通り過ぎた。


「きゃっ!」

「行かせねぇ! お前の相手はオレだ!」


 サクラが振り向くと、男が弓を構えたままサクラを狙っていた。


「サクっちはあの弓持ってるやつをお願い! こっちはあたしが何とかするから!」

「う、うん! 気を付けてね!」


 うまい具合に2手に分かれてしまったな。

 ならばここは俺の出番だ。


「まずあいつからだ…………《コンヒューズ》!!」


 弓持ちを対象にコンヒューズを発動。

 これで混乱状態にさせれば……


「むっ……コンヒューズ習得してるのか。耐性つけてて正解だったぜ」

「ダメか……」


 どうやら混乱耐性を高めていたみたいだ。混乱状態にならずに失敗してしまった。

 やはり対人だと混乱は特に厄介な状態異常に入るらしいな。そのせいか対策している人も多いんだろう。


「デバフ使ってくるのは面倒だな……まずはお前から始末してやる!」


 そういって矢が俺に向けられ――


「食らえ! 《ブラインドアロー》」


 放たれた矢を避けられず命中してしまった。


「ぐっ……」

「ガイ君!!!!」


 やべぇ。意外と威力が高い。

 今のでHPが3分の1ぐらい減ってしまった。


「チッ……暗闇にならなかったか……」


 さっきのスキルは暗闇を付与する効果があるのか……危ねぇ……

 暗闇状態になったら視界が極端に減るらしいからな。後衛として致命的になりえる。


「だがこれで終わりじゃねぇ! 次で仕留めて――」

「だ……だめぇぇぇぇぇ!! ガイ君に酷いことしないでぇぇぇ!」

「うおっ!?」


 サクラが猛ダッシュで男に詰め寄って剣で斬りかかる。

 しかし男は間一髪のところで避けてしまった。


「これ以上好きにはさせない! ガイ君は私が守る! またガイ君を傷つけるというのなら許さないんだから!!」

「いいぜかかってきな! 返り討ちにしてやるよ!」


 サクラの攻撃をかわして再び弓を構えた。


「そらっ!」

「ッ!」

「チッ……この距離でかわすか!」


 近距離から放たれた矢をサクラはかわし、そのまま斬りかかっていく。

 相手は弓で剣を防ぎ、すぐに距離を空けて弓を構える。


「くらえ!」

「……!」

「………………なんてな! そらよ!」

「ッ!」


 フェイントか!

 矢を放つ……と見せかけて時間差で矢を発射。

 だが――


「!? これも避けるのかよ!?」

「えいっ!」

「くっ……」


 一度弓の挙動を見せていたからかわされやすいと思ったんだろう。だからああやってフェイントを混ぜてきたんだ。

 だがそれすらも見切ってサクラはかわしていた。


「面白れぇ! 弱そうだと思ってたけど意外と動けるじゃねぇか! 近づけば何とかなると思ってたら大間違いだぜ!」


 まずい。またさっきみたいなデバフ効果のあるスキルを使われたら厄介だ。


 ならば……


「させない! 《ブラインド》!!」

「なっ……しまった……!」


 よし。成功した。

 どうやら暗闇耐性は無かったみたいだな。


「くっ……だがこれくらいでやられるほど甘くねぇ! この程度なら動ける!」


 おお。暗闇状態で視界がほぼ無いに等しいはずなのにまだ動くか。

 まぁ行動を封じるわけじゃないしな。がんばればある程度何とかなるのだろう。


「この……! 離れろ!」


 なら次はこれだ。


「それなら……《ディスウェポン》!!」

「ッ!?」


 スキルが発動し、男の手元から弓が消えて無くなった。


「ど、どういうことだ!? 弓が消えたぞ!? どうなってやがる!?」

「サクラ今だ! この隙にそいつを倒せ!」

「うん! ありがとう!」


 サクラは一気に距離を詰めて斬りかかる。


「やぁぁぁぁ!」

「ぐはっ……」


 よし。もうサクラのペースだ。このまま押し切れるだろう。

 さすがに暗闇状態だと避けるが難しいらしく、サクラの連撃をほとんど避けられていない。


「ガイ君を……」

「ぐはっ……」

「傷つけたこと……」

「ッ! くそっ……」

「許さないんだからぁぁぁ! 《パワースラッシュ》!!」

「ぐわぁぁぁぁ!」


 サクラのトドメにより、男は倒れて動かなくなった。

 まずは1人目撃破。


「く……くそぉ……。まさかオレがやられるとは……。なかなかいい動きするじゃねーか……」

「え……そ、そうかな?」

「対人には自信あったのにな……特に近接用の対策してたのに……。まぁ美人に倒されるのも悪くねぇか……」

「び、美人だなんて……えへへ」


 割と余裕あるなあいつ。

 やられたってのにあまり悔しそうにしていない。


「!? サトゥム! まさかやられたのか!?」

「あ、ああ……悪い……。後は頼んだぞリート……」


 今サクラが倒したのはサトゥムという名だったのか。んでテレサと戦っているほうはリートか。


「あ、ガイ君! どうだった? 私も活躍できたかな?」

「活躍どころかお手柄だよ。対人は初経験のはずなのにすごいじゃないか。やるじゃん」

「ガイ君と一緒だったから戦えたんだよ! これもガイ君のお陰だよ! ありがとう!」

「お、おう」


 しかし戦っている時のサクラはいつもと様子がおかしかった気がする。

 何と言うか感情がむき出しになっていたというか、必死になっていたというか……

 まぁいいか。倒せたわけだしな。


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