廃坑ダンジョン②
2層のモンスターは大して強くなく、サクラとテレサだけで苦戦することなく倒していった。
順調に進んでいくと、3層への入り口に到着することができた。
「この先が3層よ。3層から難易度が上がるから気を付けてね」
「あいよ」
テレサが先導して進みその後についていく。そして無事に3層へとやってきた。
3層にやってきたものの、周囲の風景は2層とほぼ変わりなかった。
「どこまで行っても同じ光景だな」
「まぁね。こういうダンジョンだから仕方ないわ。面白みのない作りなのが一番の欠点なのよね」
廃坑という設定だからかこういう仕様なんだろうな。1層から全くと言っていいほど変化が無い。
恐らく5層まで行っても同じだろうな。
「でも発掘できる素材は美味しいし。結局何度も足を運ぶ必要あるのよ。じゃなかったら何度も来たくないわ」
「その気持ちはよくわかるよ」
「あはは……」
そんなダンジョンの構造をディスりながら奥へと進んでいく。
すると奥から物音が聞こえてきたのだ。
「むむっ! 敵が来たみたい。アーマーラットね!」
奥から姿を現したのは、堅そうな皮膚に覆われた大きなネズミだった。
向こうもこっちに気付いたらしく、俺達に向かって突撃してきた。
「あいつ素早くて苦手なのよね~」
「私に任せて!」
「サクっち頼んだ!」
テレサが少し下がってサクラが前へと進んだ。サクラは剣を構えてアーマーラットを待ち構える。
アーマーラットは徐々に近づいて加速。その勢いのままサクラに飛びかかってきた。
「キィィィィ!」
「……やあっ!」
サクラは少し体を逸らしながら斬り付けた。攻撃は命中したが、まだ生きているようだ。
アーマーラットはすぐに体勢を変えて再びサクラへと突撃し始めた。
「さすがにタフなようだな。だったら……《スロウ》!」
スロウ状態になったアーマーラットは動きが鈍化。亀のように鈍くなった。
「これなら……やぁぁ!」
鈍化したアーマーラットに向かってサクラが攻撃。
何度か斬り付けた後、アーマーラットは倒れて消滅した。
「おお。さすがサクラだな。初見の相手でも簡単に倒すとはな」
「サクっちやるじゃん! アーマーラットは素早くてそこそこ堅い相手だから厄介だったのよね」
「そ、そうかな? ガイ君が援護してくれたお陰だよ!」
「まぁ3層ぐらいなら俺達でも余裕っぽいな」
今のところはまだ苦戦するような様子は無い。デバフすら必要ない敵ばかりだ。
「3層まではあたし1人でも何とかなるしね。でもさっきみたいなアーマーラットとかが面倒なのよね。だからいつも2層で妥協してるのよ」
「なるほど。苦労してるんだな」
「でも2人が居れば4層もいけそうだわ! この調子で5層まで目指すわよー!」
「おー!」
それからも特に苦労することなく進めることができた。
途中で発掘ポイント見つけてはテレサが発掘し、俺とサクラで護衛をしていた。
そんな調子で進んでいくと、次の階層へ続く道が見えてきたのだ。
「さーて。いよいよ4層ね。ここからは本格的に強いモンスターが出てくるからね。気合入れていくわよ」
「分かった」
「が、がんばる!」
「そんじゃ行きましょ!」
一呼吸置いた後、4層へと突入した。
周囲の光景は今までと変わり映えはしなかったが、今までとは違った雰囲気が漂っているように思えた。
どことなく得体の知れない気配が感じる気がする。
そのまま進んでいくとテレサが何かを見つけたようで、足を止めて前方を見つめた。
「おっ。発掘ポイント発見! 幸先いいわね。あそこにいきましょ」
「おっけー」
テレサが動き出して発掘ポイントらしき場所まで移動した。
そしてツルハシを取り出して担いだ。
「4層の発掘ポイントは初めてなのよね。きっといい物が出てくるに違いないわ! よーし気合入れて掘るわよー!」
意気込んでツルハシを大きく振りかぶった時だった。
「……げっ。先客かよ」
俺達以外の声が聞こえてきたのだ。




